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ほぼ日手帳

糸井重里

・「いまは、ラーメンじゃなくて情報を食ってる」
 と、ずいぶん昔に言ったのは一風堂の河原成美さんでした。
 ぼくにも、ちょっと心当たりがあるので感心しました。
 やがて、そのことばはマンガの登場人物にも語られ、
 「情報を食ってる」は、流行りの言い方にもなりました。
 そこまでで、それでおしまいの話でよかったのですが、
 いま、今日のいま、ふと思いついたことがあるのです。

 今日は一月七日。春の七草を入れた「七草粥」を食べます。
 あえて、知ったかぶりして唱えましょう。
 「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・
 すずな・すずしろ」、ほんとに「七つの草」ですよ。
 野菜らしいのは、すずな(かぶ)の葉っぱと、
 すずしろ(大根)の葉っぱぐらいかなぁ。
 あとは、なずな(ぺんぺん草)も含めてすべて野の草です。
 無病息災、長寿健康を願って粥にして食べるというけど、
 「わーい、今日は七草粥だ。うれしいな」と、
 家族がよろこぶようなものじゃない。
 いまでこそ、お店で「七草粥セット」とか売ってますが、
 これをおいしいからまた食べようなんて人はいない
 (と書くと、「わたしは大好きです!」という声も
 届くのがインターネットというものですが)。
 おいしいとか、食べたいとかじゃなくて、
 考えてみたら、これ、「無病息災・長寿健康」という
 祈り(情報)を食っていたということじゃないですか。

 そういえば、おせち料理にしても、
 もう、ひとつひとつの料理に、ぜんぶ意味があります。
 保存がきくだとかの実用的な理由もあるけれど、
 よろ昆布だとか、豆に働くだとか、目出鯛だとか、
 数の子宝に恵まれるだとかだとか、みんなダジャレで、
 ぜんぶに「祈り」だか「願い」だかの情報が入ってる。
 それを食ってきたわけですよね、わたしたち日本の人たち。

 いまのグルメブームで、ウンチク(情報)を食ってるのも、
 ただ食ってただうまいだけじゃ、もの足りないんですね。
 物語を生み出す情報が、またうまいんだ、ということかな。
 なんにせよ、うちもたぶん七草粥という祈りを食べます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ほんとに好きなら、ふだんからなずなとか食べてますよね。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

12月27日(土)より、
更新時間は毎日11時になります。

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