ほぼ日テレビガイドシリーズ春の連ドラチェック2019 あややとふたりのプロフェッショナル
連ドラチェックと言いつつ、 
その掲載時期の微妙なズレから
チェック機能はあまりなく、
すっかり「ドラマ座談会」として、
それでも多くの人に待たれている
恒例のコンテンツです、お待たせしました!
さあ、とにかくサッサとはじめましょう!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
有意義な話のなかにくだらない雑談も?
いえいえ、むしろバランスは逆で、
基本雑談、脱線上等、いい話もときどき。
例によって長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが担当。
それでは、はじめまーす! 沼のハナヨメ 気仙沼のほぼ日
連ドラチェックと言いつつ、
その掲載時期の微妙なズレから
チェック機能はあまりなく、
すっかり「ドラマ座談会」として、
それでも多くの人に待たれている
恒例のコンテンツです、お待たせしました!
さあ、とにかくサッサとはじめましょう!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて語ります。
有意義な話のなかにくだらない雑談も?
いえいえ、むしろバランスは逆で、
基本雑談、脱線上等、いい話もときどき。
例によって長くなると思いますので、
どうぞのんびりおたのしみください。
進行は、ドラマのことはまったくの素人、
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストは、
「沼のハナヨメ」でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが担当。
それでは、はじめまーす!


  • あやや

    ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
    どんなに忙しくても
    録画したドラマは必ずチェック。
    毎週発表される
    視聴率なども無意味に把握。
    幼少期から蓄積された
    テレビの知識は無尽蔵。
  •  荒井清和

    漫画家・イラストレーター。
    高品質な似顔絵には定評が。
    ドラマ、スポーツ、
    バラエティー番組などが好き。
    キャラクターデザインを手がけた
    Nintendo Switch用DLソフト
    『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』
    配信中。
  • 森下佳子

    脚本家。『JIN-仁-』
    『世界の中心で、愛をさけぶ』
    『白夜行』『天皇の料理番』などの
    名作ドラマを生みだす。
    NHK朝ドラ『ごちそうさん』で
    向田邦子賞を受賞。
    近作では『義母と娘のブルース』が
    大ヒット。



第1回
	さあ、春の連ドラをチェックしましょう!今季、ドラマはさらにボーダーレス?
──
お待たせしました。
春の連ドラチェックです。
よろしくお願いいたします!
森下
お願いしまーす。
あやや
はーい、連ドラチェックですよー!
荒井
よろしくお願いします。
あやや
あのですねぇ、みなさん!
(机をドンと叩く)
──
いきなり、なに。
荒井
まだなにも言ってない。
森下
どうしたの。
あやや
最初に言っておきたいんです。
いいですか、みなさん。
もう、しゃべりたいものを、しゃべりましょう!
──
なんなの。
荒井
なんだなんだ?
森下
どうしたの。
あやや
いろいろ悩んだ結果、
そういう結論にたどり着いたんです。
しゃべりたいドラマについて、しゃべる。
それしかないのです!
(机をドンと叩く)
──
ウーロン茶がこぼれるから。
森下
で、どうしたの。
あやや
なにかというとですね、
この連ドラチェックという企画、
ずいぶん長くやってますが、
基本的には、各局がそのシーズンに
力を入れているドラマを軸にして
あれこれしゃべってきたわけです。
ということはつまり、
曜日と時間帯からなる「枠」を中心に
「押さえておきましょうか」とか、
「ゴールデンはこれですね」とか言ってきた。
──
まぁ、そうだね。
あやや
ところがですよ、それって、
もう、意味がなくなってきた気がするんです!
もう机は叩きませんけど!
森下
あーー、昨今は、そうだねぇ。
あやや
なんでそう思ったかというとね、
ずばり、私、前クールで、
いっちばんおもしろかったのが、
『フルーツ宅配便』だったんです。
森下
あああ、おもしろかったねぇーー。
そうなの、そうなの。
──
それは、枠としては、メインじゃなかったの?
あやや
土曜日の深夜です。テレビ東京。
いままでは「深夜ドラマ」
という見方をしてたんですが、
けっきょく、これがドラマとしても
私はいちばんおもしろかった。
──
これまでだと、ここで語るときも、
「実験的な内容で、
わりと安い予算でつくるのが深夜ドラマ」
みたいな見方をしていたけども、
そういうメインじゃない枠に、
ふつうにおもしろいものが出てきた、と。
あやや
そう、おもしろいんですよ。
それに、白石和彌さんが監督!
森下
そうそうそう。
白石和彌さんが撮ってて、
うまいんですよねー!
──
え、『孤狼の血』の?
あやや
そう! 豪華でしょ?
もう「深夜」とかそういう問題じゃないでしょ?
荒井
そういえば『おっさんずラブ』も
深夜といえば深夜か。
あやや
そう、あれも11時15分。
森下
『フルーツ宅配便』はさらに深い、
深夜12時台だったからね。
ちなみにテレビ東京ではそのあとに
『日本ボロ宿紀行』というをやってて、
私、それまで見てました!
荒井
それは録画をして?
森下
2本分、まるまる録画して。
あやや
私もさすがに録画してましたけど、
翌日、早起きして、
朝7時半からはじまる
『サワコの朝』よりも早く観てました!
荒井
それは早い(笑)。
森下
でも、まちがいなく、
いちばんおもしろかったよね、
『フルーツ宅配便』。
あやや
『フルーツ宅配便』でしたよ、前クールは。
荒井
うーん、ノーチェックだったんですよねー。
やっぱり、枠で考えちゃったからかなぁ。
あやや
ああ、いや、でも、
これまでの見方だとそうなんです。
だからね、みなさん!
‥‥言ってもいいですか?
森下
言うんでしょ?
荒井
言うんでしょ?
──
言うんでしょ?
あやや
あのね、このまま、いつもどおり、
この「連ドラチェック」の
おしゃべりを3人でやっていると、
私たちの話すことが、
世間とずれる可能性があるわけです!
森下
あーー。
荒井
なるほど。
──
いままでのように、枠でドラマを追ってると。
あやや
そう。だからもう、枠にこだわらない。
森下
しゃべりたいものをしゃべるって、
そういうことね。
あやや
そういうことなんです。
もう、局とか枠とか言ってる場合じゃない。
──
でも、去年、『おっさんずラブ』は
ちゃんと「イチおし」したじゃない?
あやや
いや、思い出してください、
あれ、ぎりぎりだったんですよ!
枠で進めて全部しゃべったかな、というとき、
最後に森下さんが「これが気になる」と言って、
ピックアップしてくださったんですよ!
──
ああーー、そういえばそうだった。
最後の最後でしゃべって大逆転だったんだ。
あやや
だからもう、ほんと、
これまでの基準は当てにならない。
荒井
いまや、深夜のなかでも
「いい深夜枠」があったりしますよね。
『トリック』枠とか、ゴールデンに近かったり。
森下
たしかに、どこに当たりがくるかわからない。
荒井
深夜でも豪華キャストで
力入れてたりしますからねー。
──
WOWOWとか、ネット配信とかもあるし。
あやや
そうそうそう、
オリジナルドラマ、きっとこれからも増えますよ。
荒井
枠は意味がなくなってくるか。
あやや
もう、いろんな境界が崩れてきますよ。
そういう意味では、これ、どうですか。
テレビ東京の金曜深夜に、
Vチューバーのドラマがあります!
荒井
V‥‥?
──
チューバー‥‥?
森下
ほーー。

四月一日(わたぬき)さん家の

テレビ東京●金曜24時52分

あやや
実験的というか、なんというか、
どうとらえればいいんでしょう、これ。
『四月一日(わたぬき)さん家の』。
森下
なんと(笑)
──
‥‥パッと見、アニメだけど?
あやや
アニメみたいですよね?
なのに、バーチャルユーチューバー?
Vチューバー?
森下
Vチューバーは、アニメっちゅうか、
なんなんだろう。
荒井
これ、ドラマなのかなぁ。
あやや
そもそも、Vチューバーってなに?
──
Google的に言うと、
「外見がコンピューターグラフィックスや
CGやイラストのキャラクターである
ユーチューバー」らしいです。
つまり、その、ユーチューバーなんだけど、
自分の映像、外見がアニメ風に
変換された状態でしゃべるってことかな。
森下
まぁ、なんかそんな感じですかね。
荒井
それをどうやってドラマにするんですか?
しゃべりまくるの?
あやや
それだと、フリートークになっちゃいますよ。
ドラマにジャンル分けされているってことは、
なにか筋というか台本があって、
役者さんがVチューバーってこと?
──
あ、あれじゃないですか?
『やっぱり猫が好き』みたいな感じに
なるんじゃないですかね?
見たところ、女性3人ですし。
脚本はだいたい決めてあって、
アドリブがどんどん入る、みたいな。
森下
うーん‥‥わからない‥‥。
荒井
というか、このメンバーで、
Vチューバーのドラマを語ること自体が
おかしい気がしますね。
あやや
無理せず語れることを語りましょう。
脚本は、ふじきみつ彦さん。
『バイプレイヤーズ』を担当した
脚本家の方のひとりみたいです。
森下
ああ、『バイプレイヤーズ』、
大杉漣さんの遺作になったドラマですね。
荒井
名脇役がいっぱい出る話でしたね。
──
脚本家がいるからドラマなのかなぁ。
っていうか、脚本があるからドラマ?
じゃあ、なに、ドラマって、脚本?
荒井
うーーん。
森下
うーーん。
あやや
うーーん。
──
連ドラチェック開始から10年以上経って、
「ドラマとはなんぞや?」という
哲学的な問いかけに直面。
あやや
まぁ、でも、よくわかんないけど、
なにしろこういう新しい挑戦は、
私は基本的にウェルカムですね。
だって、よくわかんないものに
出会いたくないですか?
森下
うんうん、チャレンジするのは、
なにしろいいことだよね。
荒井
はい、いろんな可能性があっていいと思います。
あやや
ともかく、おもしろけりゃなんでも。
映像が実写でもCGでもアニメでも。
いまは大人もみんなアニメ見ますし。
森下
いや、それどころか、若い子は、
ドラマ見るよりアニメ見るほうがふつうですよ。
だからね、変な言い方になるけど、
私たちが学生のころって、
アニメ見てるっていうと、
ちょっとオタク扱いされたんですよ。
でも、若い子と話しているといまや逆で、
ドラマ見てるほうが、少数派、
ドラマオタクって感じなんだって。
あやや
えっ!
荒井
ああ、なるほど。
たしかに、数でいうとそうかもしれませんね。
──
音楽もそんな感じですよね。
洋楽とかロックとか聴いてるほうが少数派。
アイドルとかボカロ聴いてるほうがふつう。
あやや
なになに? ボカル?
森下
ボカルじゃなくて、ボカロ(笑)。
荒井
ボーカロイド。
森下
初音ミクとか。
あやや
ボカロ? 初音ミク?
いや、すみません、そのあたり、
ほんとに私、うとくって。
森下
あー、オタクだ。
荒井
ドラマオタクですね。
──
ドラマオタクだ。
あやや
みんな、そうじゃん!
森下
でも、うちの子は私の影響で、
ドラマオタクだなー。
あやや
うちもそうですよ。
ふつうに録画したドラマ見てますよ。
『科捜研のオタク』‥‥じゃなくて、
『科捜研の女』‥‥。
荒井
『科捜研のオタク』(笑)!
森下
あははははは、
『科捜研のオタク』(笑)!
──
もう、やめてくれよ(笑)、
また編集であとから
ふざけたこと言わせてるみたいになるよ。
あやや
ちょっと混ざっただけです!
荒井
沢口靖子さんのキャラクターが
まったく変わりそうですね、
『科捜研のオタク』(笑)。
──
ドラマオタクが見る
『科捜研のオタク』。
あやや
ドラマオタクって言わないで!
──
いや、でもさ、このコンテンツって、
10年以上も同じメンバーで集まって
ドラマのことばっかり言ってるんだよ?
しかも、何十年も前のドラマのタイトルとか、
俳優とか脚本家とかすらすら言い合って。
あやや
きゃぁ、キモーイ!
私たち、キモーイ!
森下
そうだよ、キモーイ。
荒井
で、肝心の内容としてはどうなんですか、
『四月一日さん家の』は?
──
よくぞ話を戻してくださいました。
公式ページを見てみましょう。
あやや
はい、それでは、ポチッと。
‥‥‥‥。
森下
‥‥‥‥。
荒井
‥‥‥‥。
──
公式ページ見た途端、黙るのやめてください。
あやや
また、「ドラマとはなんぞや?」問題に直面‥‥。
荒井
「踊ってみた動画キャンペーン」とかやってます。
森下
あ、「踊ってみた」ね!
みんなが自分で踊って投稿するんだよね。
あやや
ああ、あのドラマでやって、
すごく話題になりましたよね。
あの、ガッキーと星野源さんの『恋バナ』!
じゃなくて! 『恋わた』!
──
こっ!
森下
こっ、『恋わた』(笑)!
荒井
‥‥『逃げ恥』ですか。
一同
(悶絶)
あやや
『逃げ恥』! わかるでしょ!
──
ひと文字も合ってないぞ!
森下
『恋わた』(悶絶)。
荒井
「恋」はまだしも「わた」は‥‥。
──
それ、『渡鬼』の「わた」だろ。
一同
(悶絶)
荒井
すっごいなー(笑)。
森下
やめて、お腹いたい(笑)。
あやや
いや、でも、
あながちまちがってないんですよ。
主題歌が星野源さんの『恋』だったでしょ?
で、『渡鬼』でしょ?
──
おおまちがいだ。
「『渡鬼』でしょ?」じゃないだろ。
森下
お腹いたいー(笑)。
荒井
どうすればいいんだ(笑)。
──
はい、もう、ここまで、ここまで!
まだ1本目ですよ! 
また掲載が遅れちゃう。
あやや
『逃げ恥』‥‥『恋わた』‥‥。
荒井
ガラッと話を変えまして、タイトルについて。
「四月一日」って書いて、
「わたぬき」って読むんですね。
森下
すごいよね。
あやや
これ、ほんとにそう読むの? 当て字?
──
いや、実在する名字ですよ。
難読苗字の例として、よく挙がる。
「小鳥遊」って書いて「たかなし」さんとか。
なんかいわれがあるんですよね。
あやや
あっ、わかった!
もしかして、万葉集からじゃないですか!
荒井
ほんとか(笑)。
──
じゃなくてね、なんか、着物とか布団のなかの
「綿を抜く」のが四月一日だから、
「わたぬき」になった、みたいなことらしいよ。
あやや
なんですか、永田さん。
急に知的な面を出してきて。
新たなタグを増やそうとしてませんか?
──
どんなタグだよ、それ。
あやや
「難読苗字に詳しい」とか。
──
役立てる機会ないだろ、そのタグ。
1本目から脱線しすぎ。
あやや
ともかく、
古いドラマファンの視点としては、
脚本家が『バイプレイヤーズ』の
ふじきみつ彦さんということで期待しつつ、
なにしろ新しい試みに期待です!
森下
いやぁ、しかし、あやや、
一本目からすごい(笑)。
荒井
びっくりしました。
──
つぎ、行きましょう!

きのう何食べた?

テレビ東京●金曜24時12分

あやや
じゃあ、これ、行きましょう。
『きのう何食べた?』。
荒井
お、またテレビ東京の深夜。
過去にないですよね、
この座談会のはじまりに
テレビ東京の深夜枠が連続するなんて。
あやや
しゃべりたいドラマをしゃべる、です!
荒井
そうしましょう。
森下
これ、漫画が原作ですよね。名作と評判の。
あやや
そうなんです!
原作読んだ方? はーい!
森下
ぜんぶじゃないですけど、読みました。
あやや
おもしろかったです。
森下
これはあれですね、私の大好きなBL。
荒井
「私の大好きなBL」(笑)
──
もう、すっかりBL好きの脚本家として、
キャラが定着してきたような。
森下
のぞむところです。
あやや
主人公がゲイのカップルなんですね。
「シロさん」「ケンジ」と呼び合う恋人どうし。
──
あ、この漫画ってあれだ。
ほぼ日の「おらがジャム」が
生まれたきっかけになった漫画。
あやや
そうそうそうそう。
森下
んん? どういうこと?
あやや
この漫画の最初に
主人公がジャムをつくる回があって、
それがきっかけで糸井重里が
ジャムづくりにハマることになったんですよ。
で、それがやがて「おらがジャム」という
ほぼ日のオリジナル商品になった。
森下
へぇー。
荒井
へぇ、そうなんですか。
あやや
この漫画、ほかにもいろんなレシピとか載ってて、
すごくおもしろいんです。
で、原作読んだ身からすると、
このキャスティングは、
すばらしいんじゃないかと思います。
内野聖陽さんが、そうとう寄せてきてますよ。
みなさんに、ぜひ原作の絵を見てもらいたい。
森下
役、つくり込んでるんだろうなぁー(笑)。
どうやってつくり込んでいったのか、
じっくり訊いてみたい。
あやや
内野聖陽さんって、どちらかというと、
真逆なイメージですよね、わりと。
こう、坂本龍馬的な。
それが今回、ぐっとソフトな路線で、
ケンジの役にそうとう寄せてます。
森下
そこにどんなプロセスがあったのか‥‥。
だってね、内野さん、『JIN-仁-』で
坂本龍馬を演じたときは、高知に行って、
「土佐の風を染み込ませてきたぜよ」みたいな
ムードをまとってくるぐらい、
役づくりしてらっしゃったわけですよ。
あやや
ははははは。
森下
今回は、どこに
ムードをまといに行かれたんだろう。
あやや
写真を見るかぎり、
ばっちりケンジさんになってるもんなぁ。
森下
西島秀俊さんのシロさんも
かなり雰囲気近くてレベル高そう。
あやや
似てます、似てます。
西島さんって、丁寧に演じる人だから、
内面的にも几帳面で倹約家っていう
シロさんのキャラクターとシンクロしそう。
そして、西島さんの顔って、きれいですよね。
ずっと見てても飽きないんですよ、西島さんって。
私、ずっと見てられます、西島秀俊さん。
森下
へぇー。
荒井
けっこう意外ですね。
いままで、ぜんぜん語ってないですよ。
あやや
あ、言ってませんでしたっけ?
私、ほんとに好きな人のことは
簡単に語ったりしないんですよ。
──
深田恭子さんのときといっしょだ。
あやや
そー、そー、そー。
深キョンと同じです。
森下
それまでぜんぜん反応してなかったのに、
あるとき急に深キョンについて
語りだしたもんね。
──
あの発言は衝撃的でした。
何年も何年もドラマと役者について語ってて、
あるとき急に
「じつは私、深キョンが日本でいちばん好き」って。
荒井
はははは、そうでした。
あやや
実は私、西島秀俊さんは、
『あすなろ白書』のときから好きなんですよ。
森下
そうなの? ぜんぜん知らなかった。
あやや
内野さんと西島さんの役づくり、
ものすごくたのしみです!
荒井
しかし、これ、
『フルーツ宅配便』の枠の後番組だから、
日付が変わってから放送ですよね。
24時過ぎに、こんな豪華なキャストって、
ちょっと前なら考えられないですよね。
森下
もう、ほんとに、枠は関係なくなってきてますね。
──
テレビじゃなくても、という気すらします。
けっきょく録画して見るわけだから、
視聴者目線でいうと放送もネット配信も関係ない。
あやや
そうそうそう。
実際、私、WOWOWでも、Netflixでも、
ドラマけっこう見てます。
森下
Amazonもあるしねぇ。
荒井
ふーむ‥‥。
──
ってことは、この「連ドラチェック」は
より求められるかもしれないですよ。
あやや
え!?
──
枠と局とかメディアの境界がなくなって、
ドラマがわやくちゃになってしまうと、
ドラマ好きの人たちはいっそう、
「あの3人は何に注目してるんだ?」と
この「連ドラチェック」を
頼りにするようになるわけですよ。
あやや
だとしたら永田さん、ますます、
もっと早く編集して
放送初回に間に合うように掲載しないと‥‥。
森下
それな。
荒井
それな。
──
げふん、げふん、げふん!
話をドラマに戻しまして‥‥。
荒井
このドラマ、
「ひと月の食費を2万5千円以内に抑える」
というのがテーマになってるんですね。
あやや
ひと月2万5千円以内って、
けっこうたいへんなことですよ。
森下
ねぇ。
あやや
生ハムとか買えないです。
森下
え、生ハム買えるよ。
あやや
生ハム買えないよ。
森下
買える生ハムもあるよ。
あやや
買えるけど生ハム買ったらたいへんですよ。
森下
たいへんじゃない生ハムもあるよ。
あやや
そんな生ハムありますか。
森下
生ハムの切れ端とか売ってるよ。
400円ぐらいだけど、おいしいよ。
あやや
私、生ハムは妥協したくないんです。
森下
そういうこと言い出すと、
生ハムは買えないよ。
──
生ハムの話は
それくらいにしてもらっていいですか。
荒井
あらためて、
BL好きの森下さんとしては、
どうですか、このドラマ。
森下
うん、期待してますよ。
そして、なんというか、
古いBL好きとしては、
いろいろ思うところがあります。
あやや
といいますと?
森下
最近のブームのように言われますが、
むかしっからあるわけですよ、BLものは。
──
「森下佳子、BLを語る」。
森下
私が腐女子だったころは‥‥。
荒井
「私が腐女子だったころは」!
森下
いちいち反応しない(笑)。
まぁ、いまは私、
腐オバさんになってしまったわけですが。
あのですね、むかしのBLといえば、
美しい男子と美しい男子の物語が基本だったんですよ。
しかし、最近実写化されるBLのお話は、
どうもそっちじゃない。
あやや
ああ、そうですね。
どちらかというと、くまさんたちのBL。
森下
そうなんです。
我々、腐オバさんが慣れ親しんできたのは、
美少年だったんですが、
美少年のほうはちっとも実写化されず、
ドラマになるのは、おっさんばかり。
あやや
いまや、おっさんになってます。
森下
なぜか、おっさんBL、花盛り。
ま、おっさんもBLも好きな私としては
それはそれで大歓迎しますけど。
荒井
『おっさんずラブ』の影響はあるでしょうね。
森下
そうですね。
でも、それだけじゃないと思うんですよ。
あやや
でも、おっさんのBLが多いのはわかる気がします
こっちのほうが見たいんですよね。
ホッとするというか、なんだろうなぁ。
荒井
ま、美少年どうしのラブを
テレビでこってり見せられても、
というのは、ありますね。
あやや
美少年どうしって、生々しすぎるんですよ。
森下
いや、でも、現実では絶対、
おっさんどうしのほうが生々しいよ。
あやや
あ、そうなんですけどね、
なんというか、おっさんどうしだと、
ラブシーンとかなくても大丈夫じゃないですか。
荒井
まぁ、ないですよね。
──
『おっさんずラブ』はなかったの?
あやや
ほとんどないです。
荒井
おっさんどうしで、
ラブシーンを感じさせないようにして、
コメディ寄りにしたほうが、
制作側も描きやすいし、見るほうも見やすいとか。
あやや
まぁ、美少年どうしで、
ラブシーンやったら生々しいでしょうね。
でも、BL好きの目線としては、
若い美少年子ふたりに、
ラブシーンやらせたくないんですか?
森下
いや、そこをグッと我慢。
一同
(笑)。
森下
グッと我慢するのがいいんだよ。
グッと我慢は、いい我慢。グッド我慢。
──
「グッド我慢」(笑)!
あやや
そうですよね、
「くっついちゃえよ!」
みたいなのがいいんですよね。
森下
ドラマのなかの「くっついちゃえよ!」は、
くっついちゃダメなんですよ。
荒井
名言、出ました。
──
「くっついちゃえよ!」は、くっついちゃダメ!
あやや
「くっついちゃえよ!」が
そのままくっついたら、ドラマにならない。
森下
そこは、グッと耐える。グッド我慢。
むかしのBLだってそうですよ。
あやや
むかしのBLは耐えてたんですか?
森下
むかしのBLはね、
どっちかがノンケのパターンが多かったのよ。
あやや
ああー、なるほど、その切なさが。
森下
グッと耐えるのが、むかしのBLの美学だった。
耐えてガチで思う、みたいな。
耐えて、耐えて、それでこそBL。
もしも私が、BLものやってください、
って言われたら、耐えるよ。
美少年と美少年で、絶対持ちこたえさせるよ。
チューすらさせないよ。
──
森下佳子、チューさせない宣言!
荒井
目がマジです。
あやや
それは、片方ノンケで描くんですか?
森下
私の性癖的には、片方ノンケになると思います。
──
「私の性癖的には」(笑)。
あやや
けど、この『きのう何食べた?』は、
年齢的には美少年とはいえないものの、
『おっさんずラブ』よりは、そっちより。
西島さんの顔は目の保養にもなりますし、
BL好きじゃない私も、けっこう期待してます。
あと、これ、料理もののドラマとしても、
参考になることとかいっぱいあって、
すごくたのしいんですよ、
煮物のつくりかたとか。
森下
うん、うん、軸がそっちだけじゃなくね。
あやや
あと、よしながふみさんが原作なので、
深いですよ、描き方が。
森下
よしながふみさん、好きー。
もう天才!
『大奥』何回泣かされたか。
まだ泣かされてるけど。
あやや
だから、このドラマ、期待です!
荒井
はい。総合点、高そうです。
(おそくなってすみません。つづきますー)
2019-04-26-FRI

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN