あやや
ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
どんなに忙しくても録画したドラマは必ずチェック。
毎週発表される視聴率なども無意味に把握。
幼少期から蓄積されたテレビの知識は無尽蔵。
荒井清和
漫画家・イラストレーター。ほぼ日刊イトイ新聞にて
『TVウォッチャーの逆襲』を連載中。
「写真より似てる」という高品質な似顔絵には定評が。
ドラマ、スポーツ、バラエティー番組などが好き。
森下佳子
脚本家。『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』
『佐々木夫妻の仁義なき戦い』『MR.BRAIN』などを担当。
大ヒットしたドラマ『JIN-仁-』の脚本も手がける。
好きなテレビ番組は、ドラマやバラエティーなど。

 
さぁ、この秋、期待のドラマはどれ?
まずは、この2本をチェック!
『妖怪人間ベム』『南極大陸』

2011-10-28-FRI
手堅くおもしろい? 意外に暴走?
『11人もいる!』『家政婦のミタ』

2011-10-31-MON
朝の連ドラから、
木曜夜のガチンコ対決まで。
『カーネーション』『DOCTORS』
『ランナウェイ』

2011-11-01-TUE
ライトな謎解き? コスプレ七変化?
『謎解きはディナーのあとで』
『専業主婦探偵〜私はシャドウ』

2011-11-02-WED
ドラマの役柄を憎んだことある?
『蜜の味』『僕とスターの99日』

2011-11-03-THU

月9は王道の恋愛モノ?
そして、恒例の米倉涼子主演作!
最後に3人のおすすめは‥‥?

2011-11-04-FRI

 



── えー、半年ぶりのご無沙汰でございます。
本日はたいへんお忙しいところ‥‥。
あやや 遅い!!!!!
森下 よろしく‥‥。
荒井 お願いします、と。
あやや 遅すぎるってば!!!
── いや、もう、はい、すいません。
森下 遅いって?
荒井 なにが?
あやや 取りかかるのが遅いってことですよ!
もう、ドラマ、はじまっちゃうじゃないですか!
森下 まあまあ。
荒井 まだまだはじまらないですよ。
あやや 甘い!!!
これから、この永田が
ちんたらちんたら編集するわけですから、
記事が掲載されるころには、
例によってほとんどのドラマの
初回が放送されてからになりますよ。
森下 なるほど。
荒井 鋭い。
── たしかに。
あやや 「たしかに」じゃなくて!
たまには初回の放送前にやりましょうよ!
── まことにもって私の不徳の致すところです。
森下 ところで今日は、いつもの和室じゃないんですね。
荒井 そうそう、しかも、昼ですよ。
いつもだいたい夜なのに。
あやや そうそう、これはいったいどういう意図で?
── あ、はい、これはですね、
いつもいつも同じ場所で同じようにやっていると
やはり、多少のマンネリムードといいますか、
まったりしすぎた雰囲気なってしまいますので
たまには、こう、新鮮な感じを演出しようかなと。
荒井 ほう。
森下 ほう。
あやや へぇ。
── そして、もうひとつ、裏の目標としては、
こう、夜にありがちな「だらだら感」を払拭し、
濃く、コンパクトな収録ができれば、と。
あやや ンン? なにソレ?
ようするに時間を短縮しろってこと?
── いやいや、そういうわけじゃなくて。
まあ、そうもいえるけど。
あやや なにソレ! なにソレ! なにソレ!
わたしの至福の時間を奪わないで!
ていうか、そこ、このコンテンツの目玉でしょ!
そこを削っちゃったら本末転倒でしょう!
── いや、だからさ、そこまで大げさな話じゃなくて、
多少、ぎゅっと締めていきましょう、と。
あやや なにソレ! 急がせる気ですか!
だらだらしちゃダメなんですか!
たのしくおしゃべりさせてくださいよ!
── ああ、これは言い方が悪かった。
すいません、訂正します。
みなさん、いつも、収録に
何時間くらいかかってるかご存じですか?
森下 たしかに、いつも長いよね?
荒井 2時間以上、しゃべってるんじゃ?
あやや それくらいいいじゃないですかー。
── ‥‥毎回、だいたい5時間かかってます。
あやや ひゃあ!
森下 ひー。
荒井 おー。
あやや たしかに、いつも、お弁当とか、
サンドイッチ食べながらはじめるのに、
終わるころにはお腹すいてますもんね。
── さすがに長すぎます。
テープ起こしするだけでもひと苦労です。
さぁ、そこでみなさん、今回の目標です!
あやや やめてーー、目標主義とか、やめてーー。
── 目標! 4時間!
森下 それでも長いよ(笑)。
荒井 ははははは。
あやや むー、がんばろー。
── ま、それはあくまで裏の目標ですから、
あんまり意識せずに、いつもどおり、
たのしく脱線してください。
それでは、よろしくお願いしますーー!
あやや よろしくお願いしますっ!
森下 よろしくお願いしますー。
荒井 よろしくお願いします。
妖怪人間ベム
日本テレビ系●土曜日午後9時
あやや じゃあ、さっそく参りましょう。
最初はどこから行きましょうかね。
ええと、じゃあ、森下さん、
気になるドラマを1本、挙げてください。
森下 うーん、じゃあ、『妖怪人間ベム』。
わたし、これ、ちょっと観たい。
あやや ああーー、『妖怪人間ベム』。
森下 わたし、こどものころ、大好きだったんですよ。
あやや あの、あれですよね、もとは、アニメ?
── あやちゃんの年だと知らないでしょ。
あやや そう、あの、失礼ながら、
まったく観てなくて、知らないんですよ。
その、ベムという人間を。
森下 人間じゃなくて妖怪。
あやや あ、妖怪?
荒井 妖怪人間。
あやや ようかいにんげん?
── ま、むつかしいね、そのへんはね。
あやや ???
── ていうか、ほんとに、
あの『妖怪人間ベム』をやるんですか?
ドラマで? 実写で?
荒井 やるみたいですよ。
森下 まえに『怪物くん』をやったじゃないですか。
あれで道ができたのかもしれないですね。
あやや あっ、そうですよ、
ほら、脚本家の西田征史さんって
『怪物くん』の脚本を手がけられた方ですよ。
荒井 日テレの新しい個性かもしれないですね。
『銭ゲバ』とかもその路線でしょ。
アニメやマンガの、ちょっと暗めの名作を
いまに持ってくるっていうパターン。
しかも、ぜんぶ同じ枠だし。
あやや ああ、そうですね。いまはなんでしたっけ。
土曜日の9時だから‥‥
ああ、保育士とヤクザの。
森下 『ドン★キホーテ』。
あやや そうだ、そうだ、保育士とヤクザが、
ちょっと子どもにやさしくして
ハートウォーミング、みたいな。
たしかに「怖いけどやさしい」っていうあたりは
なんとなく共通してるかも。
『妖怪人間ベム』も、そういう感じ‥‥ですよね?
森下 「怖いけどやさしい」?
荒井 うーん、まぁ、そうかなぁ。
あやや あの、はっきりいってわたし、
アニメ全般に詳しくないんですけど、
これは、ベムがなにをするんですか?
なにしたらいいの? ベムは?
── ベムはね、はやく人間になりたいの。
荒井 そう。はやく人間になりたい。
あやや はやく? 人間に? なりたい?
森下 はやく人間になりたぁぁぁぁい!!
三人 ワハハハハハ。
あやや むきー、マジメに聞いてるのに!
森下 ごめん、ごめん(笑)。
荒井 ようするに、悪の妖怪と戦って人間を救う。
まぁ、ヒーローものなんでしょうねぇ。
森下 『デビルマン』みたいなもんッスよ。
人間じゃないのに、人間のために戦うっていう。
あやや へぇーー。じゃあ、いい人?
森下 いい妖怪。
あやや あ、妖怪なんですね、やっぱり。
でも、ドラマの紹介文には
「ヒューマンタッチに描く」
って書いてありますけど‥‥。
── 妖怪を「ヒューマンタッチに描く」!
荒井 ははははは。
あやや 「人目を避けて数百年も生き続ける
 妖怪人間の悲しみをヒューマンタッチに描く」
うーん、やっぱり人間になりたいんですか。
どうやったら人間になれるんですか?
森下 えー、なれないんじゃないの?
荒井 あっさり(笑)。
あやや なれないの?
森下 いや、わかんないですけど。
── はやく人間になりたい問題はさておき、
ドラマの内容のほうをお願いします。
荒井 これ、キャスティングがわりと絶妙なんですよ。
なんていうかな、亀梨和也くんも杏さんも、
どこにでもいそうっていうよりも、
ちょっと浮き世離れした雰囲気があるから、
「じつは妖怪」っていわれても
意外に違和感がないっていうか。
あの、いい意味でですよ?
あやや わかります、わかります(笑)。
配役の評判はけっこういいみたいですね。
わたしとしては、刑事役の北村一輝さんに注目。
久しぶりに見れてうれしいです!
森下 わたしはベラがどうなるか気になります。
アニメの『妖怪人間ベム』ってね、
とにかくベラがめっちゃめちゃ怖かったんですよ!
荒井 ああ、そうですねー。
森下 ベロはかわいくて、
ベムはたのもしい。
で、ベラだけ、とにかく、いつでも怖い!
あやや それを杏ちゃんがやると。
森下 配役としては絶妙だと思いますので、
あとはベラの怖さがどこまで表現できるのか、
あるいは、ぜんぜん違うベラになるのか、
そのあたりがたのしみですね。
あやや こういう、アニメの実写化って、
アニメとか映画でもすっかり定着しましたけど、
いままででいちばんの成功作って、
どれになるんですかね。
荒井 『怪物くん』は数字的には成功でしょうね。
あやや もちろん成功ですけど、
みんなが目指してる理想はなんだろうと思って。
過去のドラマとかもぜんぶ振り返って、
いちばん成功したのって、どれになるんだろう。
── 『ヤッターマン』?
森下 話題としてはそうなのかなー。
あやや でも、あれが最終的な理想型かというと。
森下 そうですねぇ。
荒井 最近では『ヤマト』とか、
ドラマだと『こち亀』もありますね。
── もっと昔だと『キャシャーン』。
森下 あーー。
あやや あっ、わかった、すごい成功例、あった。
── なに?
あやや 『西遊記』! マチャアキの!
あれ、みんな観てたじゃないですか。
森下 そうだけど、
あれ、原作はアニメじゃないよ?
あやや あっ、そうか!
いや、でも、原作があって、
それを「実写化」するという意味でいえば、
『西遊記』はすごいじゃないですか。
荒井 そんなこといったら、
理想型は『JIN』じゃないですか?
あやや ああああああ、そうだ!
── そのとおりだ(笑)。
森下 いやいやいや、そんな。
南極大陸
TBS系●日曜日午後9時
あやや 続きましては、これ、行っときましょう、
『南極大陸』!
荒井 これは、あれですよね、
いわゆる映画の『南極物語』と同じモチーフ。
森下 そうです、そうです。
あやや 『南極物語』は、すごいですよ!
わたしが物心ついて、はじめて観た映画ですよ!
── それが、すごい理由?
荒井 内容は、まったくいっしょなんですかね。
南極越冬隊を描いたドラマ?
森下 あ、でも、そこ、微妙に違うみたいです。
製作側に知ってる人が多いので聞いたんですけど、
今回のドラマの成り立ちって
けっこうしっかりコンセプトがあるんですよ。
私たちがよく知ってるのは
いわゆる映画の『南極物語』のお話ですけど、
あれの裏側で描かれてない話っていうのが、
じつはすごいあるらしくって。
たとえば、南極越冬隊って、第二次世界大戦のあと、
「敗戦国の日本に南極なんか行けるわけない」って、
ほかの国に言われてたときに、日本人が意地を見せて、
全国の子どもたちから募金を受けて、
みんなで一丸となって、南極越冬隊と犬を
南極に送ったっていう話なんですって。
あやや えっ、そうなんだ!
森下 でも、一般的には、
犬だけのエピソードになってるでしょ。
それはちがう、っていうところが、
これのもともとの企画趣旨なんですって。
あやや へぇーーー。
荒井 いい話じゃないですか。
森下 うん、いい話なんですよ。
あやや このドラマを観るときの視線が
大きく変わりましたよ。
── いや、これは記事にしがいがある。
さすが「ほぼ日」テレビガイドシリーズと
ほめられそう。
あやや 拍手、拍手!
一同 (拍手)
森下 や、それほどでも。
あやや その話を聞くと、
この、ドラマ全体に流れる、
「男のドラマ」な感じがうなずけますね。
森下 そうそうそう。
あやや 木村拓哉さんを囲む
男っぷりがすごい豪華ですよ。
久しぶりの柴田恭兵さん、
ほかにも香川照之さん、緒形直人さん、
山本裕典さん、寺島進さん、
そして「ほぼ日」にも
なじみの深い、堺雅人さん!
なかなかここまでのメンツはそろわないです。
荒井 もう、映画ですね。
── ん? 堺さんって、前にも南極行ってたよね?
森下 あ、映画で『南極料理人』やってたねぇ。
荒井 南極つながり?
── もう、これからは、
「南極俳優」という個性で。
あやや どういう個性ですか。
── 怪談といえば稲川淳司、というように、
南極といえば堺雅人だな、と。
森下 あるのか、その需要。
── コーラの一気飲みといえば
渡辺正行、というように
南極といえば堺雅人だなと。
あやや 南極俳優はさておき、
わたし、『南極大陸』は期待です。
求められてるレベルも高いと思いますけど、
それを超える力がありそう。
森下 うん。おもしろくあってほしい。
あやや そうですねーー。
なんていうか、本格ドラマがはじまるぞ、
っていうわくわく感がありますね。
荒井 その気分を盛り上げるべく、
主題歌は中島みゆきさんです。
あやや おおお、盛り上がりますね!
森下 逆に、不安材料としてちょっと思うのは、
女の人がいないぞー、ってこと。
ドラマを観る立場として、
なんかもうちょっとだけ
「いろどり」があれば、って思わない?
あやや ああー、あります、あります。
荒井 メインのキャストでは
綾瀬はるかさんだけですか。
森下 芦田愛菜ちゃんも途中で出るはずですけど。
あやや たしかにちょっと少ないですね。
『不毛地帯』を思い出します。
ドラマはおもしろいんだけど、
なーんか、友だちが観てくれないぞ、みたいな。
森下 まぁ、でも、しょうがないんだけどね。
南極越冬隊だから。
あやや 南極ですもんねー。
しかし、木村拓哉さんって、
つくづくすごいですね。
もう、なんていうか、
高倉健さんとか吉永小百合さんみたいな、
存在そのものがジャンルになってるような。
荒井 たしかにそういう感じですね。
あやや だって、こんな人いないじゃないですか、ほかに。
この人の代わり、いないですよね。
荒井 すでにその域になってる。
あやや 前後10年見渡してもいないですもん。やっぱり。
だから、この人は、もうそういう人で。
荒井 この人の次に来る人って
いま、決定的な人がいないような。
あやや いないですよ。
森下 うん。
── というわけで『南極大陸』に期待、と。
よければつぎのドラマに‥‥。
あやや あああっ、そうだ!!
みなさん、知ってますか?
「タロー」と「ジロー」じゃないんですよ、
犬の名前。知ってました?
森下 えっ?
荒井 犬の名前?
あやや そうそう。
「タロー」と「ジロー」じゃないんですよ。
「タロ」と「ジロ」なんです!
伸ばしちゃダメなんですよ! 知ってました?
「木村タロー」さんとか「坂上ジロー」さんと
同じだと思ったら大間違い!
そこ、要チェック! 盲点!
一同 ‥‥‥‥。
── よければ、つぎのドラマに。
森下 そうしましょう。
荒井 行きましょう。
あやや 「タロー」と「ジロー」じゃなくて、
「タロ」と「ジロ」なんですよー。
  (つづきます)

2011-10-28-FRI


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