気仙沼のほぼ日便り

前回、お伝えしたとおり、
4月から「気仙沼のほぼ日」に
あたらしい乗組員が加わりました!
自己紹介を兼ねて、
新人乗組員のサユミが
「今年の気仙沼の桜」のこと、お伝えします。
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はじめまして。
このたび「気仙沼のほぼ日」に
乗組員として勤務することになりました、
佐藤由実と申します。
すでにみなさんからは、サユミと呼ばれています。


「気仙沼のほぼ日」を読んでいるみなさんに
気仙沼のことをいろいろとお伝えして行くため
日々、勉強中です。
まだまだ不慣れなことばかりではございますが、
これから、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、3月に
東京から気仙沼に引っ越してきました。
気仙沼市民になって1ヶ月が過ぎ、
あんなに寒いと思っていた一日が
だんだんと暖かくなって、
もう春なんだなぁという感じがしています。


私はもともと、
宮城県の松島というところの出身なので、
寒さはいくらでも我慢できると思っていたのですが、
東京の気温にすっかり慣れた体に吹き付ける
気仙沼の海風は、とても厳しいものでした。

それだけに、今年の「春なんだなぁ」は、
いつもより特別です。
ようやくこちらでも
梅につづいて、桜が咲き始めました。
春がやってくることと、
桜が咲くことを、
ずっと待っていたような気がしています。


当たり前のことですが、
桜は毎年春を告げるように咲きます。
昨年の震災の直後も、気仙沼の桜は
立派に花を咲かせていました。
でも、気仙沼の人は
その景色をほとんど覚えていません。
「去年、桜咲いてたっけ?」という人すらいます。
それだけ、目の前に
信じられない光景があったということだと思います。


冒頭の本の表紙になっている桜の写真は、
写真家の初沢亜利さんが
震災から1ヶ月後に撮影した
気仙沼市街を流れる大川の桜並木です。

初沢さんは、気仙沼を中心に、
震災で被害のあった地域に滞在しながら
1年間写真を撮り続けてきました。


写真には、
たくさんの気仙沼の人たちが登場しています。
被災した結婚式場で
震災後初めて行われた結婚式の新郎新婦。
避難所の広場でスケボーをする少年。
成人式の振袖を着て
元気な笑顔を見せる金髪の女の子。

撮影した写真を見せていただいて感じるのは、
初沢さんが、気仙沼の中に入り込んで、
人と生活を共にして撮影をしてきたということです。
目を覆いたくなるような被害を受けた
「被災地」と言われる場所であっても、
当然のように、
そこで生活している人がたくさんいます。
そして、みんなが一生懸命に
ならざるを得ない状況だからこそ、
ここに生きている人達が、カッコ良く見えたり、
笑顔が素敵に見えたりするんじゃないかなぁと、
写真を見ながらそんなふうに思いました。


さて、今気仙沼では、
2つのイベントがあります。
1つめは、初沢さんがこの1年間で撮影した
気仙沼の風景や人を中心にした写真展、
「True Feelings-気仙沼の1年-」です。
会場は、気仙沼八日町のお茶屋さん、
マルト齊藤茶舗。
(昨年、台湾のミュージシャン、
 スミンさんがライブをした会場です)
4月6日(金)に発売となった初沢さんの写真集
『True Feelings - 爪痕の真情。
 2011.3.12〜2012.3.11』
も販売されています。
会期は4月29日(日)までですので、
ご興味のあるかたは、お早めにどうぞ。
会場のお茶屋より
500円で抹茶甘味セットも提供されていますよ。


また2つめは、震災前まで毎年行われていた
「気仙沼大川さくらまつり」
再び開催されることです。
会期は4月22日(日)〜29日(日)です。

会場では屋台もあり、
桜を眺めながら、気仙沼の美味しい食べものを
楽しむことができそうです。
気仙沼の春フォトコンテストも開催されるとのこと。
こちらの様子は、また後日ここで
お伝えしていきたいです。


桜には、いろんな意味がありますが、
もっと単純に、みんなが春を、今年の桜を
待っていたんじゃないかと思います。
満開の桜をみて
「ああ、春がきたなぁ」と思える日が、
気仙沼にも、
もう、すぐそこまでやってきています。
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東京では、
もうすっかり散ってしまったところの多い桜、
気仙沼では、これからなんですね。
なんだか、うやらましいなぁ。

あたらしいことがはじまるこの季節、
みなさんは
どんな気持ちで桜を見ているのでしょう?
それでは、また。