いろんな仕事。
さまざまな種類の仕事についてのメールが、
最近、「ほぼ日」にたくさん届いているんです!
ちょっと、臨時の新コーナーにしてみました。

第6回 いろんなバイト。


※いろんな仕事、いろんな職業病が、
 とっても好評で、たくさんのメールをいただいてるので、
 ここ数日に届いたおたよりを、ホヤホヤのままま掲載!
 あなたのまわりの仕事ばなしも、
 postman@1101.com
 ぜひぜひ、こちらまで、お送りくださいね!





・私の父は大工職人です。
 家族でたまに外食などに行くと、
 その店の内装や外装についての解説が始まります。
 時折、壁をコンコン叩いてみたり、
 天井や床の隅々まで見渡して、
 店の設計、材質、職人の仕事の良し悪しまで、
 家では無口な父が語ります。
 子どもの頃はホワイトカラーのお父さんに憧れて、
 そんな父を恥ずかしくも思いましたが、
 今ではそのおかげで、建物を眺める楽しみを
 1つ与えられたことをうれしく思っています。
 (たらを)



・私はインドネシア・ジャカルタに駐在しています。
 毎日華僑のお客さんから激しい値引き交渉を受けます。
 半値八掛け当たり前、本当です。
 インドネシアの華僑は
 東南アジアで一番セコイという人がいます。
 中国→台湾→タイ→シンガポールと
 流れ流れて失敗したり騙されたり。
 敗者復活戦みたいにジャカルタあたりで
 止まった人が多いと聞きます。
 こんなところに5年も居て買い物の仕方が
 すっかりおかしくなってしまいました。
 値切らないと気がすまない、それも半値八掛け。
 この前、日本へ行って、中古ゴルフクラブ屋さんで
 いつもの調子で値引き交渉。
 店長さんが目を丸くして
 「いつもこんな物の買い方してるんですか?」
 呆れられてしまいました。
 私は東京出身でデパートで値切るという
 大阪の人の真似は出来ないと思ってたほうでしたが。
 いつのまにか華僑のやり方が身についていました。
 そういう人を傷んだバナナと言います。
 外見は黄色いけど一皮向けば黒くなってるからです。
 欧米に長くいる人は新鮮バナナです。
 (ジャゴラビ)



・輸出入の通関をする仕事を始めて
 もうすぐ1年たちます。
 といっても、資格も持ってないし、新入社員なので、
 実務は簡単な輸出の通関手続以外は
 ほとんどしてないですが。
 でも、某有名メーカーの下着の輸入通関をする時、
 使用原材料のうち日本製の材料分だけ関税・消費税を
 差し引くための計算をしなければならず、
 それは私の担当でした。
 インボイスとにらめっこしながら、
 種類、スタイルナンバーを
 間違えないように計算するのはかなり神経を使います。
 (間違えたら税関からお呼びがかかります。
  そしてますますややこしい手続をしなければならない)
 そういう仕事をしていた所為か、
 下着売場でそのメーカーの下着を見ると、
 スタイルナンバーをついチェックしてしまい、
 「これは私が計算したスタイルナンバーの下着かなぁ?」
 なんて思ってしまいます。

 今はもうそのメーカーを担当している代理店と
 仕事をしていないので、
 その計算をすることはないのですが、
 下着売場でのチェックはくせになってしまいました。
 さらに、原価もわかってしまうので、
 市場価格の高さに馬鹿馬鹿しくなってしまいます。
 職業病だなぁと思います。
 (ゆみ)



・10数年前、私は中堅の紳士服販売の
 チェーン店の本部で営業事務をしておりました。
 その会社では、毎週月曜日の朝に全員で朝礼を行い、
 いろんな情報を報告する習慣がありました。
 当時はデザイナーズブランドが全盛期。
 その会社でも、メンズのブランドを取り扱わなくてはと
 少し焦っていた時期のように思います。
 ある日の朝礼で、商品を買い付けてくるバイヤーが
 「えー、皆さんは紳士服ばかりを扱って
  レディスブランドにはウトいかと思いますが、
  いま、女性には『アグネス・ビー』が人気です!
  えー、『アグネス・ビー』の服とは・・・」と、
 非常に真剣な表情でスピーチを始めたのです。
 ・・・・そりゃ『アニエス・べー』だろ!
 女の子スタッフは全員心の中でツッコんだようです。
 それから数年で、私はその会社は辞めましたが、
 彼は今でも『アグネス』だと思っているのか
 聞いてみたい気もします。
 (みーも)



・40代の教師です。
 いつも楽しく読ませていただいてます。
 まだ娘も小学五〜六年のころですが、
 学校で子どもたちにお説教する時に
 つい「とーちゃんはなぁ!」と言ってしまったり、
 逆に家で娘に小言を言っている時に
 「先生はなぁ!」と言ってしまって
 困った時がありました。
 また最近も、学校で給食の時子どもたちに
 「お母さん」とか「パパ」とか
 「おばあちゃん」と話しかけられたことが何回も。
 年齢も性別もまちまちで、
 自分がどんな印象なのかなぁと思ってしまいます。
 (梅吉)



・私は美術館で仕事をしています。
 裏のお仕事なので
 毎日展示室で絵に囲まれているわけではありませんが、
 用事があって美術館内を歩く時は、
 いつも監視のお姉さんたち
(展示室でひざに毛布をかけて坐っている方です)や
 受付、警備の方に
 「お疲れ様です」「お疲れ様です」
 と挨拶をしながら歩いてしまいます。
 先日新しくオープンしたリゾート地の美術館に
 プライベートで遊びに行き、
 一般客として見ていることをつい忘れ、
 目の合った監視のお姉さんに
 「お疲れ様です」って挨拶しちゃいました。
 なんて丁寧な客。
 (うしたく)



・デパ地下の鮮魚売場でバイトをしてました。
 年末ともなると、鯛や蟹など
 様々な高級食材がたくさんでドキドキしたものですが
 (足でももげたら売り物ににならないので)、
 中でもたいへんだったのは新巻鮭。
 朝から晩まで、
 鮭を巻いて巻いて巻きまくって過ごしました。
 山積みにした鮭の中から、
 お客様がお気に召したものを目の前で巻いて
 お渡しするのですが、たいていの方は
 「んーと、ちゅうぐらいのやつ。急いでね」
 とおっしゃるだけ。店員は、
 「へい、中ぐらいのですね!」
 と言って選び出すのですが、いちいち全部を測って
 「中ぐらい」を選り分けてはいられません。
 そこで、尻尾をぎゅっと握って
 だいたいの重さを目測するのです。
 年明けぐらいになると、
 「これは3.8キロ」「こっちは4.5キロ」
 とそれぞれの重さが小数点以下まで判るぐらいまで
 鍛えられていて、ちょっとした職人気分でした。
 いまでも鮭の尻尾を見ると、
 「これって何キロぐらいなんだろう」
 と触りたくなってしまいます。
 (うな1)



・大学生の頃、
 夏休みに巨大な冷凍倉庫でバイトしたことがあります。
 届いた冷凍食品やアイスを倉庫に入れたり、
 運び出してトラックに積み込んだりする仕事でした。
 倉庫の中は「バナナで釘が打てる」マイナス20度、
 その一方で、トラックの集積場は日陰もなく、
 暑い日には40度以上にも!
 プラスマイナス60度の間を行ったり来たりしていると、
 やがて分厚い防寒具を着たままで
 真夏の炎天下に立ってても
 ちっとも暑さを感じなくなっていました。
 あの時は「人間って慣れるもんなんだなぁ」って
 変に関心したけど、今思うと、
 感覚がにぶってヤバイ状況だったのでは・・・
 (ヤギダイ)



・数年前、とあるパーティーでいきなり男性に
 「きみは、笑った顔が歪んでますね〜」
 と言われてしまいました。初対面で、です。
 笑顔が取り柄!と自負していた私は
 その言葉にビックリ。そして絶句。
 よくよく話してみると、実はその方
 「口腔外科」のお医者さんでした。
 その方は他の同僚の先生にも、私の顔を指して
 「ホラ、見てごらんよ、この子。
  ほらこれ…ねっ?すごいよねぇ?」
 などと言って、いろいろ観察していました。
 ケーススタディとして私の「あご」を見ている2人は、
 なんだか興奮気味で、とても嬉しそうでした。
 それにしても、あごに手をあてたのでもなく、
 口をあけさせたのでもなく、
 ただ、ふつうに話をしていただけで
 「左右がズレてる!」と診断できるなんてさすがプロ。
 最初のひとことには驚いた私も、
 これはチャンスだわと気を取り直し、
 その場でいろいろなご指導を受けて帰りました。
 実は未だにそのお医者さんの所には通っていません。
 顎関節症。まだ、大丈夫みたいなんで放っています…。
 (カ)



・22歳の大学生です。
 わたくしスーパーマーケットでバイトをしていたのですが
 未だに枚数が増えてくると1000円札は10枚ずつ数えて
 ぱたんと折り曲げてまとめたくなる癖がぬけません。
 ちょっとだけ、お金持ち気分になります。
 バイトのおばちゃんとかが、ぱちぱちぱちっって、
 お札を数えていくのがあるじゃないですか。
 あれができるようになると、飲み会なんかで、
 みんなから集めたお金をそうやって数えてみたりすると
 ちょっと注目の的になれます。

 あと、スーパーの売り場に並んでる缶詰の
 ラベルが正面向いてないとなんだか気になっちゃって
 店員でもないのにちょこちょこ直してみちゃったりします。
 制服着てない女の子が、一心不乱に棚の缶詰を
 並べなおしてるのは不審人物以外の何者でもあるまい。
 でも、パイナップルの缶とかみかんの缶とか
 マッシュルームとかの缶詰とかが
 ぴしいっとみんなそろってこっちを向いてると
 よしよし、と満足しちゃうのです。
 それを見てほくそえむのが私の楽しみ。
 店員さん変なお客さんでごめんなさい。
 でもちょっと綺麗にしたから誉めてちょーだい。
 (くろこ)



・わたしは2年間だけ「歯科衛生士」でした。
 専門学校のときも含めたら、
 歯との付き合いは4年間だけなのに
 今だに他人の歯が気になって仕方がありません。
 特に芸能人や政治家の方の歯を見てしまいますね。
 「すっごいきれいだけど全部作り物ね」
 「色が白すぎて顔色に合っていない」
 「作ってからずいぶん経つな」
 「政策で偉そうな事を言うけど、ヤニだらけだよ」
 辞めてずいぶん経つのにこの始末。
 現役の歯科関係者が何を考えているのか
 想像するだけで「うあー」と思ってしまいます。
 (ももたん)



・私は某大学の工学部で
 「聴覚実験の被験者」
 のバイトをしたことがあります。
 ひたすら音楽を聴いて
 どの楽器がどの方向から聴こえるかを答えるというもの。
 5時間ほど缶詰でなかなか疲れました。
 (あや)



・私の仕事は、
 1〜2ヶ月殆ど家に帰らず作業が続くんですよ。
 気が狂う程大量の資料から成り立っていて、
 それらを間違わないよう、
 夜な夜な資料から校正する日々が続くんですが、
 明け方家に帰っても出勤までの数時間、
 気が高ぶって寝付ける訳がない。
 布団の中で、買ってからろくに読んでない雑誌を
 開いたりして……しかしこれが、いいまつがいが多い。
 しょぼいレベルの。
 こんなの素読みすりゃーすぐ拾えるじゃん、
 編集長は何してんだっ、ってしらじらと夜が明ける中、
 益々目が覚めるという次第で。
 今頃は納品が済んでますので、
 あっという間に「おおらかさん」に戻ってまーす。
 (み)



・パンティストッキングをつくる会社で働いています。
 机の引き出しにはサンプルやら試作品やらの
 パンストがいっぱい。
 街を歩いてても、パンストの柄がゆがんでる人や
 引っかけキズがある人をみると
 直したくてうずうずして危険です。
 しかし。
 足マネキンが並んだ部屋で
 机の上に山盛りになったパンストを
 おじさん達が引っ張ったり手入れたりしながら
 真剣に会議してる光景は
 けっこう不思議なものかもしれませんね。
 (おかき)



・私ももやい結び、できるんです。
 4級小型船舶免許というの、持ってまして、
 その試験のときにできないとならなくて、
 ボートの上でせっせと練習しました。
 下を向いて、一心不乱に結んだりほどいたりしていたら、
 いい加減船酔いしない私ですが、おえっと来ました。
 いい思い出です。
 で、思い出したのは、
 夫がたまたま海上保安庁の「船長さん」と
 仕事で知り合って、そのつてで、一度お会いしたんです。
 場所は市民プール!
 意気込んだ私はいろいろ、
 お仕事のこととかお聞きしたりしつつ、
 「私、もやい結びとかもできるんです」
 と言ったら、「船長さん」はやさしく笑って、
 「ああ、僕はもうできないかもしれないですね、
  みんな(部下の人?)がやってくれるから」って。
 あの時、「船長さん」ってもやい結びなんてしないんだ、
 かっこいいなあ〜と憧れました。
 あれが小学生だったら、イチコロでしたね。
 私は今頃船に乗って世界を旅していたでしょう。
 いや、海上自衛隊に入っていたかしら。
 「トラッカーズヒッチ」・・・また憧れちゃった。
 もやい結びに釣られてしまいました。
 (しまバナナ)



・高校生の夏休みに墓石を建てるアルバイトをしました。
 実は近所の親戚の人が石材店を営んでいまして、
 お盆前で忙しいからと声がかかったのです。
 私の作業は、工場で加工した
 石の瓦礫(がれき)を袋に詰めて運んだり、
 セメント袋を運んだり、作業現場で
 モルタルを練ったりすることでした。
 モルタルとは、セメントと砂を水で練ったもののことで、
 墓石の隙間を埋めて接着剤にするために使います。
 あとは細々とした雑用ですね。
 使い終わった道具を洗ったりとか、
 現場を片付けたりとか。
 ちなみに、墓石なので作業現場は墓地です。
 作業が終わらずに夜になると照明をつけるので、
 現場には蛾や虫が大量に寄ってきます。
 私は蛾が大の苦手で、
 はじめの2、3日は気持ち悪がってたのですが、
 バイト終わりの頃には白い巨大な蛾を
 手でたたき潰すという荒業をできるようになってました。
 Tシャツは汗だくで気持ち悪いし、
 もう疲労で蛾ごときは気にしてられないんです。
 バイトが終わって自宅に帰ると、風呂→飯→就寝でした。
 体中の筋肉が疲れた状態で寝るのはかなり気持ちいい。
 人間はそういうふうにできているのかもしれない。
 (yamataka)



・友人は某ゲーム会社のグラフィッカーの、アルバイト。
 (とはいっても、いわゆるアダルト系なのですが)
 アドベンチャーゲームと呼ばれるような
 ゲームを想像してみてください。
 大体の場合、アニメ風の人物が出てくると思うのですが、
 あれの元になる「原画」(線のみの絵)に
 フォトショップ等で色を塗るのが
 基本的なグラフィッカーさんのお仕事です。
 場合によっては、古くなった
 原画等の線を修正する作業も行います。
 フォトショップの機能によって、
 こうしたことは簡単に行えるのだとか。
 しかし、たかがゲームと侮るなかれ。
 買って貰う為には、下手な妥協は許されません。
 特に友人はほとんど素人レベル
 (フォトショップの基本を知っているだけ)で
 アルバイトに入ったこともあり、
 最初は役立たずに等しい状態だったとか。
 現在でも、結構リテイクを出されることはあるそうです。
 で、そんな友人が、よく言うひとこと。
 私や別の友人が持って来るゲームのパッケージを見て、ぼそりと
 「……塗り直したい」
 「……線修正したい」
 「……ていうか、これで何でオッケー出るんだよ!」
 それはあんたの仕事じゃないだろう?
 疲れてるんだなあ、と思う一瞬です。
 (m)



・大学時代にアルバイトで、パン工場で働きました。
 というか、働くつもりでした。
 私の仕事は、
 焼きあがった食パンを型からはずすことでした。
 パンを型からはずす時、手のひら全体でふわっと
 持たなければいけなかったのに、
 私はついうっかりゆびに力を入れてしまったため、
 両手の親指を残して全部の指がズボッと食パンの中に。
 外側は適度に冷えていても、焼き立ての食パンの内部は
 そりゃあもう熱いの何の、
 両手8本の指全部にやけどをしてしまいました。
 結局、バイト開始30分で仕事をクビになりました。
 (バタ子)



・私が学生時代にやっていたバイトは
 旅行好きには夢のようなバイトです。
 仕事は地味で、東京の某設計事務所の社員になりすまし、
 全国の県市町村に競争入札の指名参加願い
 (役所から仕事をもらうための書類)
 を届けるというものです。
 私の担当は、
 関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、北九州などで、
 40日間で150カ所ほど回りました。
 バイト代は安かったですが
 旅費、宿泊費をもらって毎日が旅行でした。
 ただし、優雅な旅ではなく、
 旅行中ずっと時刻表とにらめっこしながら、
 もっとも早くて安いルートを探さなくてはなりません。
 宿も駅前近く、かつリーズナブルなところを
 現地で毎晩さがします。
 この仕事のおかげで「地図を見なくても
 どこの町の役所も素早く迷わずたどり着ける」
 という特技が身に付きました。
 (Cane)

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