- ――
- 恋はいつもしてるんですか?
- 大久保
- 好きな人は常にいる。
- ――
- 常に!?
- 大久保
- やっぱり曲を書くにあたって常に対象が‥‥。
- ――
- でも恋ってしようと思ってできるものじゃないでしょ?
- 大久保
-
うん。だから基本的には
ザックリ言うと“近々に別れた子”のことを
ずっと思い続けて。
それが消えるのは次の人が出てきたときになる。
- ――
- 別れたら会わなくなる派?
- 大久保
- うん。
- ――
- 会えないまま思い続けるってこと!?
- 大久保
-
あはは! 俺、超燃費いいよ。
一回、喪失感満タンにしたら数年走れる(笑)。
- ――
-
でもさ、失恋の後の作業って、
少しずつ捨てていくことなのかなと
わたしは思っていて。
そこにあった親密さだったり、
記憶とか、相手に使う時間だったりも
捨てていく、惜しみながらだけど。
それをしないとなかなか立ち直るということは
難しいんじゃないかと思うのです。
- 大久保
- うん。
- ――
- 大久保くんは、それを捨てずに持ち続けるの?
- 大久保
-
いやでも徐々に立ち直っていくけどね。
でも基本的に悲しい状態は、好きっちゃ好きなんよね。
- ――
- 悲しい自分が好き?
- 大久保
-
ふふっ。20代はそうだった。
基本的にそういう感情‥‥悲しいときのほうが
心が動くと思うから。
- ――
- それってなんだろう。
- 大久保
-
なにもないのが嫌なんよ。
だから、満足した状態で過ごすよりは、
絶望のほうがまだいい。
- ――
- ‥‥信じられない。
- 大久保
- (笑)
- ――
-
絶望なんて嫌じゃない?
特に失恋なんてもう
心臓から血が出てるんじゃないかってくらい痛い。
- 大久保
-
でもなんとなくどこかで
「いつかは忘れるだろう」っていうのがあるから。
確実に戻ってはいくし。
- ――
- 戻る前に書くってこと?
- 大久保
- うん。なるべくその状態にあるうちに書こうとはする。
- ――
- 血を流しながら?
- 大久保
- うん(笑)。
- ――
- そうか~。
- 大久保
-
でもそれは、基本的に自分のことを
天才だと思ってないからっていうのがあるんだけど。
- ――
- それは「才能がある人は想像で書ける」っていう話?
- 大久保
-
そう。
だから「もうこの状態は数年ないだろうから、
今のうちに書いとこう」みたいな感覚がある。
(つづきます)