もくじ
第1回はじまりは大失恋 2017-12-05-Tue
第2回彼女に怒って帰られる 2017-12-05-Tue
第3回悲しいうちに書いとこう 2017-12-05-Tue
第4回歌詞にメッセージ性はない 2017-12-05-Tue
第5回そういう体質 2017-12-05-Tue
第6回失恋の対価 2017-12-05-Tue

16歳の老犬と暮らしています。
春夏秋冬、いつでも歩き回っています。

恋を、音楽にささげた人。

恋を、音楽にささげた人。

担当・中川

第3回 悲しいうちに書いとこう

――
恋はいつもしてるんですか?
大久保
好きな人は常にいる。
――
常に!?
大久保
やっぱり曲を書くにあたって常に対象が‥‥。
――
でも恋ってしようと思ってできるものじゃないでしょ?
大久保
うん。だから基本的には
ザックリ言うと“近々に別れた子”のことを
ずっと思い続けて。
それが消えるのは次の人が出てきたときになる。
――
別れたら会わなくなる派?
大久保
うん。
――
会えないまま思い続けるってこと!?
大久保
あはは! 俺、超燃費いいよ。
一回、喪失感満タンにしたら数年走れる(笑)。
――
でもさ、失恋の後の作業って、
少しずつ捨てていくことなのかなと
わたしは思っていて。
そこにあった親密さだったり、
記憶とか、相手に使う時間だったりも
捨てていく、惜しみながらだけど。
それをしないとなかなか立ち直るということは
難しいんじゃないかと思うのです。
大久保
うん。
――
大久保くんは、それを捨てずに持ち続けるの?
大久保
いやでも徐々に立ち直っていくけどね。
でも基本的に悲しい状態は、好きっちゃ好きなんよね。
――
悲しい自分が好き?
大久保
ふふっ。20代はそうだった。
基本的にそういう感情‥‥悲しいときのほうが
心が動くと思うから。
――
それってなんだろう。
大久保
なにもないのが嫌なんよ。
だから、満足した状態で過ごすよりは、
絶望のほうがまだいい。
――
‥‥信じられない。
大久保
(笑)
――
絶望なんて嫌じゃない?
特に失恋なんてもう
心臓から血が出てるんじゃないかってくらい痛い。
大久保
でもなんとなくどこかで
「いつかは忘れるだろう」っていうのがあるから。
確実に戻ってはいくし。
――
戻る前に書くってこと?
大久保
うん。なるべくその状態にあるうちに書こうとはする。
――
血を流しながら?
大久保
うん(笑)。
――
そうか~。
大久保
でもそれは、基本的に自分のことを
天才だと思ってないからっていうのがあるんだけど。
――
それは「才能がある人は想像で書ける」っていう話?
大久保
そう。
だから「もうこの状態は数年ないだろうから、
今のうちに書いとこう」みたいな感覚がある。

(つづきます)

第4回 歌詞にメッセージ性はない