私と芸術、私の友情。瀬戸内寂聴 私と芸術、私の友情。瀬戸内寂聴
2021年の夏、東京では
横尾忠則さんの作品があちこちで見られます。
国内外の団体がここぞと力を出し合い、
類稀なる存在をあらためて知らしめる、
しずかで大きな芸術活動です。
ほぼ日もそのちいさな一端を担います。

50年来の友人である作家の瀬戸内寂聴さんは、
横尾忠則さんを
「近代日本を代表する天才的人物」と言います。
第2回 人としての横尾忠則よりも。
──
私は、横尾さんと奥さまの関係も、
とても好きで、うらやましく思っています。
瀬戸内
あの奥さんと横尾さんは、
十代からでしょ、おそらくね。
あの奥さんだから、
横尾さんはもってるんだと思います。
横尾さんはやさしくて、
なんでもないような顔をしているけれども、
つきあったらあんがい大変ですよ。
なにしろ、芸術家の中でも天才だから。
私は友人として、
図々しいから平気ですけど、
そうじゃなきゃ困ることもあるんじゃないかしら。
──
ほんとうに、横尾家のみなさまは、
おやさしいご一家です。
瀬戸内
そうでしょう。
──
私は何度か、糸井と一緒に
「合宿」と称した旅のようなものに
行ったことがあるのですが、
みなさんと別れるのが寂しくなるほどです。
瀬戸内
ほんとにねぇ。
写真
──
寂聴さんと横尾さんはこれまで
長いおつきあいをなさってきましたが、
これまで横尾さんの作品に影響を受けられたことや、
横尾さんの絵について
思っていらっしゃることはありますか?
瀬戸内
私は最初から、
人物としての横尾さんよりも、
その絵が、
すごいと思ったんですよ。
──
絵がすごい、と。
横尾さんご自身よりも。
瀬戸内
そうですよ。
それはもう、絵です。
絵が入口となっておつきあいがはじまったので、
「ああ、やっぱり人もすごいな」と思いました。
(横尾 影の声)

絵は人なりですか?
──
横尾さんが画家宣言する前の、
若いときの絵でそう思われたのでしょうか。
瀬戸内
ええ。それで、私の新聞小説の絵を
ちょっと頼んでみたのね。
「描くだろうか、どうかな」と思ったら、
喜んで描いてくれたんです。
それが、ほんとうにすばらしかったの。
私が思ってる以上の絵を
描いてくれたんですよ。
それから何度も頼んだんです。
何度も、ちゃんと描いてくれた。
するとますます、こっちは
信頼するじゃないですか。
(横尾 影の声)

信じるは神よ。いや仏かな。
──
『奇縁まんだら』の絵も、
毎回あたらしい試みの跡も見えるし、
見ごたえがあって‥‥頭が下がります。
瀬戸内
でしょう。
私はね、音楽はあんまり
よくわからないんだけどね、
絵はひじょうにわかるんですよ。
横尾さんの絵がすばらしいってことは、
最初に、すぐわかったの。
(横尾 影の声)

絵はだませるからね。
──
横尾さんは絵を、
寂聴さんは小説を書いておられて‥‥。
瀬戸内
横尾さんはね、絵だけじゃなく、
文章もとても上手いんですよ。
横尾さんに小説を書かせたのは、私なんです。
(横尾 影の声)

ハイ、無理やりです。
──
ああ! そうなんですか。
瀬戸内
横尾さんが書く文章を見て、
「あ、これは、書ける」と思った。
それで小説を勧めて、無理に書かせたの。
そうしたらすぐ賞を取ったでしょ。
(横尾 影の声)

賞金が100万円。もっとだったかな?
──
小説『ぶるうらんど』がいきなり泉鏡花賞を
受賞しましたね。
その後、横尾さんは
講談社エッセイ賞も受賞されています。
瀬戸内
そうよね。
いまはもう、書くのは平気になって、
いくらでも書いているでしょう。
小説、ほんとに上手いですよ。
何でもできるんですね。
(横尾 影の声)

国語は大嫌いだった。ずっと2だった。
──
お話もおもしろいし、写真もすごいし、
何でもできる、そう思います。
今回、東京のオリンピックの時期に
横尾さんの大きな展覧会を
東京で開くことになったのも、
ほんとうにすごいことで。
瀬戸内
すごいですね。
私ね、今年、百歳だからね。
体が、もうねぇ。
東京へ気軽にはもう行けないんだけれど、
この展覧会はやっぱり行かなきゃいけないなと
思っております。
(横尾 影の声)

もう歩かないでください。
こちらから展覧会を寂庵へ
巡回します。
──
おお!! すごい。
瀬戸内
だからね(笑)、
どうやって行こうかなと思ってるんですけどね。
(横尾 影の声)

宙を飛んできてください。
──
ぜひ、東京で、
ごらんになっていただきたいです。
瀬戸内
7月でしょう。
──
7月17日、東京都現代美術館で
開幕です。
※「横尾 影の声」は横尾忠則さんによる加筆です。
(つづきます)
2021-07-01-THU


この夏、横尾忠則さんの作品が
東京のあちこちで見られます。
ほぼ日は渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」で
横尾忠則さんのお人柄や生活にスポットをあてた
展覧会を開催します。

また、みなさまからの熱い要望により、
連載『YOKOO LIFE』を
糸井重里との新規対談を加えて書籍化します。



みなさま、この夏、
『YOKOO LIFE』の本を片手に
「東京YOKOOめぐり」をなさってください。
(めぐった方には横尾只海苔をプレゼント!)
写真
『YOKOO LIFE』
横尾忠則(著)

糸井重里(聞き手)

1,320円(税込)

渋谷PARCO ほぼ日曜日で
7月17日より注文販売。
7月21日より先行販売。
東京都現代美術館のショップ、
横尾忠則現代美術館、豊島横尾館で、
7月21日より先行販売。
ほぼ日ストア、全国書店で
8月3日より販売開始予定。
写真
打ち合わせや旅のあいだのおしゃべりが、
宝もののようで、聞き逃がせなかった。
だから録音機をできるだけまわした。
どうおもしろいのか、説明はできない。
そんなふうにおそるおそるはじまった、
横尾忠則と糸井重里による
「ほぼ日」のおしゃべり連載は、
通な方々のあいだでじわじわと話題となった。

「あれ、本にすればいいのに!」
という声をいただくも、
編集方針について迷いに迷い、数年経過。
この記念すべきYOKOOイヤーに、
思い切って追加の対談を収載し、
奇跡のような本を誕生させます。
本になって、さらに宝もののような、
貴重な内容です。
写真
「YOKOO LIFE 

横尾忠則の生活」
会期/2021年7月17日(土)→8月22日(日)

   11:00→20:00

会場/渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」

入場料/450(¥OKOO)円

主催/ほぼ日

協力/朝日新聞社



2021年7月17日(土)→10月17日(日)

東京都現代美術館 企画展示室1F/3F



2021年7月21日(水)→10月17日(日)

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3



2021年7月17日(土)→9月5日(日)

丸の内ビルディング、新丸の内ビルディング



ジャケットとパンツを
2021年7月1日(木)から順次発売

ISSEY MIYAKE SHIBUYA(渋谷PARCO2階)、
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE / AOYAMA、
ISSEY MIYAKE SEMBA、
ISSEY MIYAKE MARUNOUCHI、
ISSEY MIYAKE ONLINE STORE
写真
横尾只海苔

(よこおただのり)

プレゼントします。
写真
横尾さんの描き下ろし直筆文字入り!



渋谷PARCOの「YOKOO LIFE」展入口で、
東京都現代美術館で開催する
「GENKYO 横尾忠則展」のチケット
(電子チケットの画面可)をご提示の方に、
横尾忠則書きおろし文字入り
「横尾只海苔」(ホンモノの海苔)を
プレゼントします。
※「横尾只海苔」はなくなりしだい配布終了します。
「GENKYO 横尾忠則展」チケットは
観覧前、後どちらも可です。