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上大岡トメの、タネがいっぱい。
上大岡トメさんの
プロフィール
100万部を超える大ベストセラー『キッパリ!』の著者、
上大岡トメさんは、山口県の宇部に住んでいます。
いつも「ほぼ日」を読んでいて、
宇部はお魚がおいしいよ、おいでよ、と
メールをくださったので、
会いに行ってきました。
不思議と、遠いような気がしなかった‥‥。
細い腕、住むは山口、ふたりの子ども。
『キッパリ!』『しろのあお』の名著を次々に生んだ
トメさんにもらった「何かのタネ」を、
「ほぼ日」のみんなに、お届けします。

聞き手は突撃取材担当の
「ほぼ日」菅野でお送りします。
トメのタネ その9 自分をいったん、ものすごく嫌いになったから、できる。
── 『キッパリ!』は、
「ほぼ日」の乗組員は、みんな、
印象深い箇所がちがうんですよ。
トメ そうでしょ。
幻冬舎の見城社長がこの本の内容を
気に入ってくださったんですけれども、
新聞に広告を打つときに、
私と担当の編集が
このなかでおすすめの20項目を出したら、
「ちがうだろ!!!」
と言われました。
だから、社長みずから広告用に、
20項目を挙げたんですよ。
それを見るとすっごい可笑しくて。
「気乗りしない誘いはその場でことわる」
とか
「アイメイクはちゃんとする」
とかね!
── おっと、そこですか。
トメ 選ばせるとその人の内面が。
── 出ますねえ。
人それぞれ、心の穴はちがいますね。
書店に出ているPOPでも
「あれ? これなの?
 もっとグッとくることが
 書いてあるのに、なんでこれを?」
と思ったりします。
トメ あの項目はね、きっと、
POPを作ってくださった営業の女性がね、
── グッときたんでしょうねえ!
トメ ハハハハ!
── 最新著書の『しろのあお』は、
小学生についてのお話ですが。
トメ これは、モデルが最初は息子だったけど
ほぼフィクションなんです。
漫画とエッセイの構成。

── 主人公のあお君たちの生活が
とりあえず窓口になっているんですが、
これもまたすごい本ですね。
トメ 学校生活の1年を
なぞらえた形をとっています。
ほんと、勉強したわ。
ねえ、お子さんをもってから
涙もろくなりません?
私は自分で書いてて、すっごい泣いたんです。
ばかやろ? 自分で書いたマンガで。
── いや、気持ち、わかります。
トメ ほんとに、バカだと思った。
でも泣けて泣けてしょうがなかった。

子どもって琴線に触れるようなことを
ときどき言うんですよ。
息子はプロ野球選手をめざしているんですが
「俺ぜったいプロ野球行ったら
 とーちゃんとかーちゃんを
 レストランでごちそうする」
なんて言っちゃって。
「かーちゃん、俺が大きくなって
 家を出るとき、泣くよな。
 俺は、絶対泣くから」
── おいおい(泣)!
トメ 娘も、たぶん学校でやったんだと思うんだけど
「かーちゃんいつも
 いそがしいのにありがとう」
という文字の入ったアームカバーを
くれたんです。
私に内緒でせっせとやってたと思うと
もうぼろぼろ。かーちゃんは。
── 『しろのあお』のように、
子どもをとおしてわかることがあるのは、
なぜでしょうか。
トメ やっぱり、子どもには、
バカな素直さがあるから。
なんでも根底から新鮮に見て
学んでいくでしょう。
大人も見習うべきですね。
── でも、大人がそうなるには、
子どもと同じようでいてちがいますね。
素直さとバカさを、もういちど
勝ち取らなければならないです。
トメ 「勝ち取った素直さ」ね!
そうだね! よし。
── 若いころは人でなしで
おもいっきり武装して。
トメ そうだよ。
歩くたびにガシャコン、ガシャコン言ってた。

── おもいっきり武装したものを、
今度は、おもいっきり解除。
トメ 子どもやお年寄りが近くにいると特に、
そのあたりのことがわかるのは、
「武装していないお手本」がいつも
目の前にいるからかもしれないですね。
── 『しろのあお』もめでたく発売されて、
いまはホッとされている時期だと
思うんですが。
トメ 『しろのあお』校了2日後に
エアロビクス3時間耐久という
とんでもない大会があって、
私はそれに出場したんです。
── ‥‥白目むいて倒れませんでした?
トメ 大丈夫でした。
第1次の予選を突破したんだよ。
── すごい。
しつこいですが、
なんで、そんなにパワーが出るんですか。
トメ 3年連続出場したのに
今年出なかったら悔しいから。
── そのあとの悔しい自分を想像できるんですか?
トメ はい。あきらめちゃった自分は嫌いなんです。
「這ってでも行くわよ!」という気分になる。
── それを無茶と呼ぶかチャレンジと呼ぶか‥‥。
でも、「そのあとの自分がすごく嫌いだ」
という先読みについては
最近わかるようになってきました。
トメ それは自分を
とことん嫌いになった経験があるからだよね?
私も自分をとても嫌いだったから、
そうなることは、もういやなんです。

── その調子じゃあ、この先トメさんは
落ち着くことはないですね。
トメ 忙しくて、本も映画もなかなか見られない。
年末からすっごいバタバタしててね、
だいたい、これから年賀状を書くんですよ。
これからおせち料理も食ってやる!
── 食ってください、食ってください。
トメ いまはまだ、
12月18日くらいの意識です。
── へははは! すごいや。
ああ、もう飛行機の時間がやってきました。
トメさん、また来ますね。
おいしいお魚を食べに。
トメ はい。キーウィ寿司を食べに。
── では!
トメ では!!



夕方の山口宇部空港まで、
トメさんは車で送ってくれました。
雨あがりの、のんびりした宇部の町。
今日もあの町で、トメさんは
仕事に、ダンスに、子育てに、
なんもかんも、
すごくステキに、
やっているのだろうなあ。



これで、今回のトメさんのお話は終わります。
ご愛読ほんとうにありがとうございました。
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ぜひpostman@1101.comまでお送りください。

題字・イラスト:上大岡トメ

しろのあめ当選者発表★
小沼さん
田中さん
俵さん
牧野さん
山口さん

以上5名のみなさんがご当選されました。
おめでとうございます!


2005-05-10-TUE
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いままでの「トメのタネ」
2005-04-22 その1
「知らないうちに忙しい」のは、まずい。
2005-04-25

その2
覚悟、お金、時間よ、さようなら。

2005-04-26

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2005-04-27 その4
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