さよならは、こんなふうに。 さよならは、こんなふうに。
昨年連載した
訪問診療医の小堀鷗一郎さんと糸井重里の対談に、
大きな反響がありました。
あの対談がきっかけとなって、
ふたりはさらに対話を重ね、
その内容が一冊の本になることも決まりました。



小堀鷗一郎先生は、
死に正解はないとおっしゃいます。
糸井重里は、
死を考えることは生を考えることと言います。



みずからの死、身近な人の死にたいして、
みなさんはどう思っていますか。
のぞみは、ありますか。
知りたいです。
みなさんのこれまでの経験や考えていることを募って
ご紹介していくコンテンツを開きます。
どうぞお寄せください。
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illustration:綱田康平
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つらい決断でしたが、
受け入れました。
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私の父は60歳で
食道がんで亡くなりました。
亡くなる1年前に食事がとれなくなって、
そこから1年で旅立ちました。



病院が嫌いだった父、
きっともっと前から
体の異変には気づいていたでしょう。



私たち家族もちいさな異変には
気がついていましたが、
言うことを聞かない父を長年見ていたので、
見守っていました。
病名がわかったときにはステージ4でした。



手術はしましたが、
その後転移が見つかり、
抗がん剤治療がつらかった父は、
2度目の手術はしないと決めました。



それは家族にとってつらい決断でしたが、
私たちは受け入れることにしました。



父は自分の余命は1年だと、
まるで先のことが
わかっていたかのように旅行に出かけ、
母がひとりになることを心配して
身辺の整理をし、そして最後は
大好きなジャイアンツの日本一になった日に
旅立ちました。



もっと生きてほしいという気持ちより、
本人がどう生きてどう命を全うするかが大事なんだと
父を見て感じました。



あがくこともなく後悔することなく逝った父。
その姿はとてもかっこよかったし、
私もそうやって人生を全うしたいと思っています。




(Y)
2021-01-29-FRI
小堀鷗一郎さんと糸井重里の対話が本になります。


「死とちゃんと手をつなげたら、
今を生きることにつながる。」
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『いつか来る死』
小堀鷗一郎 糸井重里 著

幡野広志 写真

名久井直子 ブックデザイン

崎谷実穂 構成

マガジンハウス 発行

2020年11月12日発売