さよならは、こんなふうに。 さよならは、こんなふうに。
昨年連載した
訪問診療医の小堀鷗一郎さんと糸井重里の対談に、
大きな反響がありました。
あの対談がきっかけとなって、
ふたりはさらに対話を重ね、
その内容が一冊の本になることも決まりました。



小堀鷗一郎先生は、
死に正解はないとおっしゃいます。
糸井重里は、
死を考えることは生を考えることと言います。



みずからの死、身近な人の死にたいして、
みなさんはどう思っていますか。
のぞみは、ありますか。
知りたいです。
みなさんのこれまでの経験や考えていることを募って
ご紹介していくコンテンツを開きます。
どうぞお寄せください。
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illustration:綱田康平
020 朦朧としていた父が母の姿を見て。
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肺がんとわかってから3年、父が入院しました。
一方、母は白血病から慢性腎不全になり、
週3回透析に通っていました。



免疫力の落ちている母を病室に呼ぶことを
ためらっていたのですが、
ある日、夫が母を透析の帰りに
父の病室まで連れてきてくれました。



痛みどめで朦朧としていた父ですが、
母が来たことがわかるとやにわに体を起こそうとし、
何か声を発しました。
手を取り合いふたりとも泣いているのを見て、
連れてきてくれた夫に心から感謝しました。



それからほどなくして、
桜が咲く頃に父は静かに逝きました。
いまでも桜の季節になると
「気をつけて帰るんだよ」という
父の最後の声を思い出します。



数年後、母も父の元へ旅立ちました。



(T)
2020-12-01-TUE
小堀鷗一郎さんと糸井重里の対話が本になります。


「死とちゃんと手をつなげたら、
今を生きることにつながる。」
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『いつか来る死』
小堀鷗一郎 糸井重里 著

幡野広志 写真

名久井直子 ブックデザイン

崎谷実穂 構成

マガジンハウス 発行

2020年11月12日発売