Hobonichi Striped-T Institute

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ボーダーのピッチ(縞と縞の間隔)、
配色の候補、素材と順調に決まってきた、
井伊さんがつくる「原点のボーダーシャツ」。
本日からは、いよいよ細かくデザインを検討していきます。


「原点のボーダーシャツ」は、
上下に余白の部分がある「パネルボーダー」タイプ。
生地全体にボーダー柄が入っている「総ボーダー」と違い、
ボディと袖に入れるボーダーの本数を
サイズごとにはっきり決める必要があります。
ボーダーの本数を決めると、
上下の余白の分量も自然に決まってきますから、
ボーダーシャツの全体の印象を決定づける、
大事な工程といえます。


でも、いきなりボーダーの数を決めろと言われても、
どうしていいのかわかりませんよね。


そこで井伊さんはまず、
「オーシバル」や「セントジェームス」など、
老舗のボーダーシャツの本数を調べることにしました。



こちらは、「原点のボーダーシャツ」の
元となっているヴィーンテージの「オーシバル」。



ボーダーの数をカウントしたところ、
ボディの部分が20本で、袖の部分が14本でした。
次に、現在発売されている「オーシバル」の
ボーダーの数を数えて、くらべてみると‥‥。



サイズ「16(レディースのM相当)」だと、
ボディが14本、袖が13本。



サイズ「2(メンズのS相当)」では、
ボディが18本、袖が14本。


もう1つのボーダーシャツの定番ブランド
「セントジェームス」の「ナヴァル」シリーズも、
数えてみました。



サイズ「0(レディースのXS~S)」では
ボディが15本、袖が12本。



「4(レディースのM~L、メンズのS)」では
ボディが16本、袖が13本。


「なるほど‥‥。
 尾崎さんがお持ちの
 ヴィンテージの『オーシバル』とくらべると、
 最近のものは上の余白を広めにとっていますね。
 ‥‥あれ? 『オーシバル』はサイズごとに
 上下の余白がちがうのに、
 『セントジェームス』は上の余白、いっしょですね。」


ほんとですね、たしかに。
ブランドやモデルによって、
考えかたが、ぜんぜんちがうんですねえ。


「原点のボーダーシャツ」はどうするのがいいのか、
今回も、パソコンでプリントアウトしたボーダー柄を
体に当てて、視覚的にいい塩梅に見えるところを、
探っていくことにしました。



もちろん、井伊さん自らも、ためしてみながら、
じっくり検討します。



「このバランスが一番しっくりくる気がする。」と
井伊さんが選んだボーダーの本数は、
レディスサイズではボディが16本、
メンズサイズではボディが18本。
袖の部分は、どちらも16本にすることにしました。
上の余白がかなりすくなく、
首もと近くまでボーダーがあるのが特長です。



「ボーダーのピッチがゆったりしている分、
 縞の数はそこそこ多めでも、気にならないみたい。
 逆に、本数が少ないと間の抜けた感じになる気がして。
 上の余白はちゃんとあるけど、すくないっていうのは、
 ほかにはないので、おもしろいんじゃないかと思います」


井伊さんが着たいボーダー像、
だんだんはっきりしてきましたね。


「はい、そうですね。イメージわいてきました。
 細部のデザインについても、
 たとえば、この袖口なんですけど‥‥」


次回は、この細部のデザインについてお伝えします!


井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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