Symposium ボーダーシャツを語ろう。[轟木節子さん篇]

  • 轟木節子さん(スタイリスト)
  • 江藤 公昭さん(「PAPIER LABO.」ディレクター)
  • 尾崎 雄飛さん(「SUN/kakke(サンカッケー)」デザイナー)
title:

File 01 着たいのは「攻めのボーダーシャツ」。

date:

2013/02/26 TUE

content:
ほぼ日 本日はおあつまりいただきありがとうございます。
お三方とも、ボーダーを着てきてくださったんですね。
轟木 はい、わたしが
ドレスコードを出しました(笑)。
ほぼ日 ああ、なるほど。
みなさん着慣れてらっしゃいますね。
轟木 わたしの中での
「ボーダーいえば‥‥この人。」は
このお二人でした。
黒田 ぼくにとっては、それが不思議で(笑)。
そんなに持っているわけでも、着ているわけでもないし。
そもそも、ボーダーを着るようになったのは
4~5年前と、わりと最近のことで‥‥。
轟木 えっ、そうなんですか?
以前お会いしたときにも、今とおなじ
黒地に白のボーダーシャツを
すごくかっこよく着ていらしたので
印象に残っているのですよ。
「あ、わたしもこの配色のボーダー買いに行こう」
って思いましたから。
黒田 へえ、そうだったの? 意外。
まぁ、でも、それまで全然着てませんでしたから。
封印してました。
小鳥 封印?
黒田 そう、着ることを封印してたんです。
二十数年前にボーダーシャツが
ものすごく流行ったときがあって、
そのときぼくもチャレンジしたんですけど、
もう全然似合わなくて(笑)。
轟木 えー、そうだったんですね。
黒田 ぼくは、極端にイギリスびいきなんですよ。
だから、フレンチのムードに
いまいちハマらなかったのかもしれません。
今も変わらず、イギリスびいきで、
毎日のようにオックスフォードシャツを着ています。
ボーダーは、ときどき着るていど。
轟木 黒田さんの奥様、ともこさんとも
仲良くさせていただいているんですけど、
黒田さんにボーダーを着せるのに、
15年かかったとおっしゃってました。
黒田 あぁ、そんなことを、また(笑)。
轟木 黒田さんのためにボーダーを買っていても、
当時は1、2回袖を通したっきりで
着てくださらないから、
ともこさんが着るという流れだと(笑)。
小鳥 きっと、心の底から、
似合わないって思ってたんでしょうね(笑)
黒田 そうですね。
イギリスのものって、
全体的に落ち着いていることもあって
ボーダーは派手だと感じていました。
ほぼ日 着るようになったのは、
なにかきっかけがあったのでしょうか?
黒田 うーん、これといってないのですが、
あるとき、よく服を買いに行く店に
黒地に白のボーダーがおいてあって、
これならフレンチのムードもそんなにないから
着れるかも、と思ったんです。
ちょっと、目先を変えてみたくなったのかな。
轟木 年を重ねてからの、
”今こその”ボーダーですかね?
黒田 そうかもしれませんね。
轟木 小鳥さんは、雑誌の撮影でよくご一緒するんですけど、
たまたまお互い似たようなボーダーを
着てきたときがあって。
小鳥 ロケだったので、
新婚旅行みたいになっちゃった(笑)。
黒田 ははは、新婚旅行(笑)。
ほぼ日 小鳥さん、今日はまた個性的なボーダーを
着ていらっしゃいますね。
小鳥 これね、台湾のすっごく田舎の小学校の、
体操服なんです。
一同 えっ、体操服!?
轟木 胸に書いてある「六甲」っていうのが、
小学校の名前?
小鳥 六甲は、その小学校がある地域の名前です。
以前、その地域にある小学校を訪問して
写真を撮ったことがあるんですけど、
そのときに、子供たちが着ていて、
超かわいかったんですよ。
あ、この写真です。
轟木 かわいーい!
黒田 ああ、いい写真ですね。
轟木 前は、楳図かずおさんデザインの
赤白のボーダーも着てましたよね?
小鳥 そうそう、
楳図かずおさんがマイブームだったから(笑)。
赤白のボーダーは3枚もってたんですけど、
全部着たおして、ダメになっちゃって。
今は、この六甲がお気に入り。
轟木 小鳥さんは、いろんなボーダーシャツを
もっているというよりも、
お気に入りをずっと着続けるタイプですかね。
小鳥 そうですね。
今、ボーダーシャツはこの六甲ボーダーと
「アニエス ベー」のボーダーの2枚だけですが、
かなりのヘビーローテーションです。
黒田 轟木さんは
昔からボーダーっ子だったんですか?
轟木 いえ、それが、あんまり着てなかったんです。
「セントジェームス」を着ている人が多くて、
同じものを着るのが嫌だった、とんがり時代(笑)。
だから、「アニエス ベー」の
ピンクとグリーンの太幅ボーダーとか、
珍しいものを着てましたね。
小鳥 今は、オーソドックスなやつも着てますよね。
轟木 はい。ボーダーはブランド志向です(笑)。
「オーシバル」と「セントジェームス」。
ほぼ日 どちらも老舗のボーダーシャツブランドですね。
轟木 それで、
ボーダーシャツのタイプで着方を変えてます。
黒田 へえ、タイプによって、着方を変える?
轟木 Tシャツ全体にボーダーが入っている
「総ボーダー」と、
上下に無地部分があって途中だけボーダーが入っている
「パネルボーダー」で、サイズを変えて。
わたしの場合、総ボーダーはメンズサイズをゆったり着て、
パネルボーダーはジャストサイズできれいめに着ます。
小鳥 へーっ!
なんでそうしてるんですか?
轟木 わたしが小柄だということもあるかもしれませんが、
総ボーダーのほうは
ちょうどいいサイズで着ていたら
どうもおしゃれをしていない感じに
見える気がするのかな‥‥。
黒田 そのまま着ました、という印象になるのかな。
轟木 そうですね。
黒田 たしかに、総ボーダーに比べて、
パネルボーダーのほうは、
デザインされている雰囲気がありますよね。
轟木 そうそう。
だから、1枚でも様になるのかな。
あ、黒田さんのような黒地に白のボーダーは
ぴったりサイズを着るのもすてきですね。
ほぼ日 色でも、着方が変わりますか。
轟木 なんとなくですけど、わたしは
ベースが濃い色のボーダーはジャストサイズ気味で着て、
ベースが淡い色で、縞がはっきりとした色のボーダーは、
ゆったり着るほうが、かっこよく感じるかな、と。
コントラストも関係してくるのかな。
小鳥 へえ、そうなんだ。
轟木 ユニセックスでサイズ展開している
「オーシバル」や「セントジェームス」のボーダーは、
いろんなサイズが選べるのがいいですね。
レディースのカットソーで
サイズ展開しているところは少なくて。
サイズで着方や気分を変えられるっていうのが、
たのしいですね。
ほぼ日 なるほど。
ボーダーの入り方や色でもスタイリングが
変わることを考えると、
すごくたのしめる洋服なんですね。
小鳥 そっか、なるほどー。

(つづきます)
T project archive list:
  • File 01 それぞれの個性、それぞれのボーダーとのつき合い方。 2013-02-26-TUE
  • File 02 ボーダーは「コスプレ」である。 2013-02-27-WED
  • File 03 見た目はがっしり、でも着心地がいいボーダー。 2013-02-28-THU
  • File 04 「六甲成分」を入れよう。 2013-03-01-FRI

轟木 節子(とどろき・せつこ)

スタイリスト。
1972年、熊本生まれ。
ファッション誌、カルチャー誌、広告などで幅広く活躍。
シンプルな中にスパイスの効いた、
独自の空気感が漂うスタイリングが人気。
ナチュラル志向なライフスタイルも注目されている。
モデル・女優の今宿麻美さんのフォトエッセイ
『HEART BALANCE』(双葉社刊)で
フォトグラファーとしてもデビュー。
日々のスタイリングのヒントがつまった
『毎日のナチュラルおしゃれ
 着こなし手帖』
が発売中。

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黒田 益朗(くろだ・ますお)

グラフィックデザイナー。
カタログ、CDジャケット、ビジュアルブックなどの
グラフィックデザインや店舗サインなどを手掛ける。
kuroda design主宰。
そのシンプルなデザインのなかには、
黒田さんのこだわりがふんだんにこめられている。
轟木さんとは、家族ぐるみのお付き合い。

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川島 小鳥(かわしま・ことり)

写真家。1980年東京生まれ。
早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、
沼田元氣氏に師事。
2006年、ひとりの少女を4年間撮り続けた作品で
第10回新風舎平間至写真賞大賞受賞、
2007年写真集『BABY BABY』 を発売。
2010年『未来ちゃん』で
第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞。
被写体の心の揺らぎを捉えるセンスの正体は
物腰がやわらかく、とてもさわやかな男性。
シンポジウムの話の中に出てくる『明星』は、
小鳥さんの台湾の写真に、
画家の箕浦建太郎さんがイラストを書いた作品。
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