Interview Yoliのこと。Yoli 菊池春香さん・高品逸実さん

HOBONIKKAN ITOI SHINBUN

日常に溶け込み、さりげないのに存在感がある服。

どんなスタイルと合わせても違和感なく、
主役のアイテムを引き立ててくれる服。

そう、Yoliの服は、名脇役。

いままで、あるようでなかった、
あたらしい役割の服です。

このブランドを立ち上げたのは、
菊地春香さんという女性。

そこに、「ほぼ日」でもいつもお世話になっている
スタイリストの髙品逸実さんが参加して、
服づくりを始めました。

おふたりの出会い、
そしてブランドの立ち上げ、服づくりのことなど、
たっぷりお話を聞きました。

>菊地春香さん プロフィール

>髙品逸実さん プロフィール

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[後編]生活の中に、あってこそ。

――
服づくりで、大切にしてること、
どんなことを意識してますか?
菊地
すごく大事にしてるのは、
「生活の中の服」っていうことですね。

全部が、生活の中にあるんですよね。

ヒントも全部、そこにある。

とにかく、まいにち気軽に着られるものを作りたいんです。

みなさんの生活の中にあって、
「これがあるから大丈夫」っていう感じ。

たとえばこの「シンプルブラウス」って、
見ただけでは、よさはたぶん、伝わりにくいんですよ。

シンプルブラウス(アイボリー・1) 12,100円(税込)

――
たしかに、すごく、ふつうに見えますね。
菊地
見た目からは想像できないくらい動きやすいんです。

私は、子育てが中心の生活で
とにかく動きが多いこともあって、
一回つくって形にしたら、しばらく着てみるんです。

で、動いてみて、ちょっとでも気になることがあったら、
もう、どんどん修正をかけて。

体の動きはすごく注意して作りました。

着ている方は、そこに気づかれて
「すごく、いい」って言ってくださる。

すっごくうれしいです。

シンプルブラウス(ライトグレー・1) 12,100円(税込)

――
着たら、想像以上に動きやすい。
菊地
そもそも私、カットソーってあまり好みじゃなくて、
自分では着ないんですね。

でもカットソーみたいに
らくに着られるものはずっと欲しかった。

だから、カットソー感覚で着られるブラウスとして、
これが生まれた、っていうのもあるんです。

日常でとにかく迷わずにサッと着れる。

かつ、何かの下にも着れる。

そういう万能さが欲しくて、
このシンプルブラウスは生まれたんです。

動きにくいっていうストレスがあると、
けっきょく、着なくなるんですよね。

で、クローゼットから、いつかいなくなる。

悲しいけど、そういうことも何度も経験してきましたから。

ふつうに見えて、ふつうじゃない。

――
今回「ほぼ日」でご紹介するのは
シンプルブラウスもふくめて4アイテムです。

それぞれについて教えてください。
菊地
シンプルブラウスは
本当に、シーズンレスで、
まいにち着られます。
髙品
透け感のあるブラウスとして
1枚でももちろん着られますし、
意外と秋冬とかでも、ニットの下に着て
袖口からちょっとブラウスを見せたりすると
アクセントになっていいんですよ。

そういうシャツ的な着方もできます。

いろいろな見せ方ができるアイテムですね。



重たいニットの中に
こういう透け感があるアイテムを合わせたりすると、
奥行きが出ていいんですよね。

1枚で着る時は、中にタンクトップを合わせたり。

体のラインが出るのが気になるという方は、
長袖のインナーを合わせてもいいと思います。

――
Tシャツも、かっこいいです。

ちょっと大きめのシルエットで、袖も長めですね。

Tシャツ(ホワイト・1) 7,920円(税込)

髙品
そうですね。

普段あまりTシャツを着ない方でも
気に入っていただけるTシャツが欲しいなと思って作りました。

いわゆるTシャツって、
けっこうひじが出るものが多いと思うんですけど、
これはひじが隠れるぐらいの長さで、
肩もけっこう落ち感があって。

Tシャツなんですが、
ブラウス感覚で着ていただけるんじゃないかなと思います。



全体的に落ち感もあるし、
裾がややすぼまっていて
シルエットがきれいに出ます。

Tシャツ(チャコールグレー・3) 7,920円(税込)

菊地
生地の厚さも、分厚すぎない、絶妙な厚さで。

真夏も着ていただけると思います。



あと、襟ぐりがポイントなんです。

Tシャツって、人を選ぶんですよ。

詰まりすぎてたり、ゆるかったり、
首の雰囲気でTシャツの好みが分かれると思っていて。

だから首元はすごく、何回やったかっていうぐらい
もう、ミリ単位で何回も調整しました(笑)。
――
Tシャツはユニセックスで着ていただけるので、
大きいサイズはぜひ男性の方にも
着ていただきたいですね。

そして、ボトムスふたつは、シルク。
菊地
シルクパンツは、太いのってよくあると思うんですよ。

これは、ワイドすぎず、細すぎず、
ワンピ―スの下とかにもサラッと履けるようにと考えました。

シルクパンツ(ブラック・2) 30,800円(税込)

――
1枚でも履けますよね。
菊地
そうですね。

ちょっとテーパードがかかって、
丈もやや短めなので、もたつかず、
動きやすいと思います。

シルクパンツ(ライトグレー・2) 30,800円(税込)

――
このシルクパンツとセットで着ていただけるアイテムとして、
今回ラップスカートもご用意しました。

シルクラップスカート(ホワイト・1) 36,300円(税込)

シルクパンツ(ホワイト・2) 30,800円(税込)

髙品
パンツとラップスカートは、
やっぱりおすすめとしては、同じ色で揃えて着ていただくのが
かわいいかなとは思います。

でも、違う色で合わせたり、
それぞれ単体で着てくださっている方もいらっしゃいますね。
――
ラップスカートは、
なぜ作ろうと思われたんですか?
菊地
巻きスカートが、好きなんです(笑)。
――
あ、好き。大切です。
髙品
エプロンみたいな感覚で、
何かの上にくるんと巻いてもらって。

でもそれだけで、
雰囲気ががらっと変わるんですよ。
菊地
これ自体、主張は全くないんだけれども。

しばらく着ていなかったものに合わせてみたら、
印象が変わって
また着れるようになるっていうこともあるんです。

そういうことがあると、
自分自身がすごくたのしいんですよね。
――
他の服を生かすんですね。

素材を選ぶときのポイントはありますか?
菊地
自分が気に入って着てる素材、というのはありますね。

そのなかでも、
私たちが「これなら」っていうものを選んでいます。

私はもともと、冷えとりのために
一年中シルクを着てるっていうこともありますね。

髙品
私は、サンプルが上がってきたら、まず洗ってます。

毎回、絶対そうですね。
菊地
私も、もう、ジャブジャブ洗います。
髙品
洗って、着て、
洗ったあともどういう風合いなのかを
一回、ちゃんと見て。
菊地
シワ感がどう出るかとか。
髙品
そういうことをクリアした生地で
作るようにしてます。
――
私たちも、届いたら、まずは洗って、
それから着るのがいいですか?
髙品
そうですね。なるべく、そうしてもらえると。

でも、それはお好みでいいんです。

たとえばシルクなんかだと、
きれいめに着たいかたは、まずそのままで。

そのあと洗っても、それもすてきですよ、って。
菊地
うん。そうそうそう。自由で。
髙品
ただ、洗えますけど、
必ず陰干し、それだけ守ってくだされば。

生活に寄り添う服でありたい。

菊地
この前、友人がこのブラウスを着てたんです。

すっごいパリッと着てたんですよ。

私、かっこいい! と思って、
「それ、どこの?」って聞いて(笑)。
髙品
気づかなかった?(笑)
菊地
「すごい似てるな」とは思ったんですけど(笑)。

――
パリッとしてたら、印象が違ったんですね。
菊地
彼女はとてもセンスがいいんですけど、
普段、シャツを着る生活の人なんですね。

アイロンがけがまいにち、日常にある。

そういう人がこの服にアイロンをかけて、
まいにち着たいって言ってくれる。

すごくおもしろいなと思ったんですよ。
――
つくった人がわからないぐらいの着方で、
しかも、かっこよく。うれしいですよね。
髙品
本当ですね。
――
着る人が「どうやって着よう」って考える、
その余地があるっていうのもいいですよね。
菊地
そう、自分で考えて着てるっていうところが、
私はすごく「いいな」って思って。

きっと、日常で丁寧に服と向き合ってらっしゃるんですね。



でも忙しい方から、
「この服アイロンかけなくてもいいから楽」って
言われるのもうれしいんですよ。

急いでても、パッと着れるとか。

そうやって、それぞれの日常に
寄り添えているのが本当にうれしい。
髙品
自分が思っていたのとはまた違うスタイリングで、
おしゃれに着てくださってるのを見ると、
すごい驚きもあったり。

なんだかうれしいですね。純粋に。

――
ところで、ブランド名の「Yoli」って
どんな意味なんですか?
菊地
ひとりじゃなくて
いろんな人が関わってできている、
いろんな糸が撚り合わさっているっていうイメージから、
糸を撚り合うという字が出てきて。

あ、いいんじゃないかな、と
自分の中でストンと落ちたんです。

それで「Yoli」という名前にしました。
――
ああ、いい意味。いい名前ですね。

Yoliの服をお届けできるのがたのしみです。

ありがとうございました。

(おわります)

2022-07-12-TUE

[前編]出発点「いいインナー、ないかな」。

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CONTENTS

Stylist Itsumi Takashina
Photo Wakana Baba
Model Lilly(Gunn’s)/
Rika Yamashita/
Suilen Higashino/
Sho Kikuchi/
Makiko Yamada/
Kazuki Ishida

菊地春香さんのプロフィール

きくち・はるか

1987年生まれ。

服飾専門学校を卒業後、
スタイリストアシスタントを経て、
セレクトショップQUICO(キコ)にて勤務。

2021年にYoliを立ち上げ。

2児の母。

髙品逸実さんのプロフィール

たかしな・いつみ

スタイリスト。

井伊百合子さんに師事し、独立。

モード誌、ブランドのカタログ、広告を中心に活動。

「ほぼ日」でも「hobonichi + a.」「MITTAN」「〈O2〉2022SS」などの
撮影のスタイリングを担当している。