ほぼ日酒店 YOI
HOBONICHI
Les Forts de Laputa 2017はこんなワイン。
「Les Forts de Laputa 2017」
(通称“ラピュータ レ・フォール”)の
コルクを抜き、グラスに注いでおどろきました。
ふわっと、果物そのものような
いい香りがするんです。
これ‥‥回してから飲むほうがいいのかな。
時間がたつと、かわるんだろうか。
合わせるおつまみは、何がいいの? 
ソムリエの大山圭太郎さんに
解説していただきました。

まず、デキャンタにうつさず、瓶から直接グラスに注ぎ、
回さないで、普通に飲んでみてください。
最初に鼻に抜ける香りが、赤い果実そのもののような、
突き抜けるような印象なのがわかると思います。

瑞々しい感じと、
全体的に酸も苦みも甘みも塩気もタンニンも
コンパクトに口の中でまとまる、
そんなバランスのよさがあります。

こんどはすこしグラスを回して香りを開かせてみます。
すると、最初の印象とはまた違う感じになるはずです。

さらに30分ほどおくと、またちがう印象になります。
栓をあけて瓶のままでもいいですし、
デキャンタに移せば、よりリッチになります。
やや酸が出てきて、すこし苦味も強くなります。
香りも、なめし革のような香りや
鉄のような匂いが出てきます。
最初のフレッシュでコンパクトなワインから、
複雑味が出て、デートで使えそうな味に変化するんです。
もちろん1時間経てば、また変わる面白さがあります。
ちょっと土っぽい枯れ葉のニュアンスを
感じるかたもいるかもしれません。

このワインは、開けて1時間半くらいまでに
飲み干すのがいいと思います。
それでもじゅうぶん「ゆっくり」です。
おちょこで日本酒をたのしむ感覚で、
というのがいいかもしれませんね。

リッチなワインであり、かつ、
アフターフレーバーがそんなに残りませんから、
そのままでも楽しめるおいしさがあります。
なにかつまむなら、
チーズ、パテにバゲットなどのおつまみ。
あるいは、意外なことに、醤油ベースで甘みのある
和風のお肉の料理も合いますよ。
角煮ですとか、すき焼きですとか。
お魚だったら、揚げ物系。
アジや海老のフライにもいいですよ。
マスカット・ベーリーAっていうぶどう品種自体、
生の魚に合わせると、ちょっと臭みが出ますから、
熱を通したもののほうがマッチします。
ぜひ、試してみてください。

ちなみに、残ったワインを冷蔵庫で保管したり、
抜栓していなくても、室温と冷蔵庫を往復すると、
酸味が強く出過ぎてしまいます。
このマスカットべーリーAをはじめ、
ピノ・ノワールやガメイなどの
ぶどう品種のワインの特徴です。
抜栓しない状態でのご家庭での保管は
14~16度くらいの場所がおすすめです。

抜栓しない状態で保管するときは、
14~16度くらいの室温が最適ですが、
冷蔵庫で保管するときは、乾燥が大敵なので、
できれば野菜室で横にしておいてください。
庫内に立てておくならば、コルク栓のところに
濡れたハンドタオルやティッシュ、
新聞紙を巻いておき、保管中はたまに
霧吹きで水をふきかけて、コルクの乾燥を防ぎます。

セラーがあるかたは、
1年寝かしておくのも面白いと思います。
アフターフレーバーと、味わい、余韻が、
もっと伸びると思います。
ボルドーとか、濃いカベルネ・ソーヴィニヨン、
メルローなど、もともと濃いワインは、
時間が経つと「縦に伸びる」というんですが、
線が細くなっていくんですね。
でもピノ・ノワールやマスカットべーリーAは、
時間とともに「横に長くなっていく」。
このぶどう品種ならではのたのしみです。

2021-04-23 FRI
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