はちみつ探検隊 蜂名人の誠太さんに会う、の巻。 1万年以上前から人が食べていて、いまも変わらない食べかたで親しんでいるもの、それは、はちみつです。ある日、わたしたちはひと瓶の、花のかおりあふれるはちみつに出会いました。それは作家の塩野米松さんからいただいたものでした。日本の花と蜂がもたらすめぐみをもらう旅。はちみつ探検隊、一歩ずつ進みます。 はちみつ探検隊 蜂名人の誠太さんに会う、の巻。 1万年以上前から人が食べていて、いまも変わらない食べかたで親しんでいるもの、それは、はちみつです。ある日、わたしたちはひと瓶の、花のかおりあふれるはちみつに出会いました。それは作家の塩野米松さんからいただいたものでした。日本の花と蜂がもたらすめぐみをもらう旅。はちみつ探検隊、一歩ずつ進みます。
藤原誠太さん、1957年盛岡生まれ、明治34年創業、藤原養蜂場の3代目。東京農業大学客員教授。みつばち飼育の普及に努める。/はちみつ探検隊ほぼ日乗組員3人、S 蜂が好き、O 花が好き、T 酒が好き
第6回 みつばちと植物。

誠太さんと日本みつばちの話をしながら、
養蜂場のまわりを歩いてみました。

ほぼ日のはちみつ「日本の花」のお店が
オープンいたしました。
お買いものはこちらからどうぞ。
▲養蜂場のある山。
▲まわりには蜜源となる植物もたくさん
植わっています。
▲たくさんのりんご箱。
こんなふうに箱を積んでいるところに
日本みつばちがよく棲みつく。
▲誠太さんが実を拾ってくれました。
探検隊S
この実は、なんですか?
誠太
これは、トチです。
生活のたのしみ展の「日本の花」
はちみつのお店でも扱った
「いわてのやまのトチノキ」のトチですよ。
▲トチの実。
誠太
東北ではトチはひじょうにメジャーな木です。
でも、日本全体で広葉樹林が少なくなってきていて、
トチもめずらしい木のひとつに
なってしまったようです。

はちみつの品種としては、みなさんおそらく、
アカシアの名前をよく聞くでしょう? 
でも、はちみつが採れるアカシアの木
(正しくはニセアカシア)は外来種。
トチは日本の在来種です。
日本に自生していた木だということもあり、
トチのはちみつを好む人は多いです。

アカシアは味もマイルドでさらさらしていて、
料理にも汎用性があります。
需要が高まれば、欲しい人が増えて価格もあがります。
でも、これまでみなさんがいろんなはちみつを
食べてきてわかるように、
「何がおいしい」ってことはないんです。
植物それぞれに、おいしさがあります。
アカシアのはちみつがよく採れる韓国でも、
アカシアより菩提樹のはちみつに
人気があったりします。
▲誠太さんは養蜂場のまわりを歩いて、
森の植物を見せてくださいました。
誠太
トチは日本の木で、落葉広葉樹。
大木に育ちやすく、森を豊かにしてくれる木です。
花からは蜜が採れて実は食用になります。
ところが、針葉樹の人工林が山に増えて、
トチの木は激減してしまいました。
ですから、養蜂家のみんなには
ふたたびトチを植え森を育て、
トチのはちみつを採ってほしい。
仲間にもそう話しています。
探検隊O
「生活のたのしみ展」でも、
ラベンダーや日本みつばちのはちみつに
人気がありましたが、
味見してトチのはちみつが好きだ、と
おっしゃる方もけっこういらっしゃいました。
誠太
うん、トチノキはバタートーストに合うんです。
来年トチのはちみつが採れたらまた、
みなさんに召しあがっていただきたいなぁ。
探検隊T
ぼくらもまた、できれば次の春にも秋にも
はちみつのお店を開きたいと思っています。
はちみつを通して、まだまだ知りたいことが
いっぱいありますから。
誠太
ラベンダーのはちみつも、
「日本の花」が扱っているものは特別の、
岩手のアーク牧場の草原に生えている
ラベンダーですからね。
国産のラベンダーは赤道を超えずに輸送できるから
品質が変わらずおいしいんですよ。
香りも最高級です。
探検隊O
わたしは、ユリノキのはちみつを
飲みものに入れるのが好きでした。
探検隊S
コーヒーもまろやかになりましたよ。
ロイヤルミルクティーに入れたら最高でした。
誠太
ちょうどあそこに生えているのがユリノキですよ。
▲葉っぱの形がおもしろいユリノキ。
探検隊T
ユリノキのはちみつはくせがなくあっさりしてて、
はちみつに慣れてないぼくも、
すごく食べやすかったです。
誠太
世界に何千何万種類と木があるけど、
なかでもユリノキはすごく変わった植物なんです。
酸性雨が、葉にふれて幹をつたって
地面に落ちるまでにアルカリ性になる
唯一の木と言われています。
花蜜がひじょうに豊富で、養蜂には
もっとも適した木のひとつと言えるでしょう。
▲蜜源に囲まれて暮らしているみつばち。
探検隊S
みつばちを通して、植物にも
親しくなれそうです。
探検隊O
また機会があったら、
春に採蜜を見に来ていいですか?
誠太
うん、いつでも岩手に遊びにきてください。
探検隊T
誠太さん、いろいろ教えてくださって
ありがとうございました。
(みつばち探検隊秋冬の旅、おわりです)
おしえてBEEKEEPER!
蜜源になる植物には何があるの?

みつばちはさまざまな花から花蜜を集めます。
はちみつの味や成分は、
その蜜源となる植物によって大きくかわります。
いろんなはちみつを食べて、
「自分の好きな花」や「合う料理」を
見つけてください。

いくつもの種類の花から集められたはちみつを
「百花蜜」といいます。
木の樹液、または樹液を吸った虫の分泌物から
甘味を得てみつばちが作るはちみつを
「甘露蜜(ハニーデュー)」といいます。

木の花のはちみつ

トチ・アカシア・ハゼ、さくらなど

ナッツの花のはちみつ

くり・アーモンドなど

ハーブの花のはちみつ

ラベンダー・ローズマリー・菩提樹・タイムなど

草花のはちみつ

クローバー・ひまわり・れんげなど

フルーツの花のはちみつ

みかん・いちご・りんご・レモンなど

甘露蜜(ハニーデュー)

松の木・もみの木・メープルなど

(こたえ:藤原養蜂場 藤原誠太さん)

2018-01-31-WED