色無地について(機械織りのこと)。

「色無地」は機械織りです。
機械織りを採用したのは、
手染め・手織りのシムラにおいて初めてのことです。

「機械織りだからダメだ、という考えは持っていません。
機械織りであってもatelier shimuraの世界観は
きちんと表せると思っています」
と昌司さん。
きちんと気持ちが通わせられれば、
織機であっても手の延長になるし、
手機でも心を込めずにただやってるだけだったら、
それはいい作品にならないということです。

「例えばminä perhonenの皆川さんは、
全部機械でされていますけれど、
ひとつひとつディレクションをされて、
細部にまで精神を宿し、心を込めて作ることを
きちんと実践されてると思うんです。
うちも着物は手織ですけれど、
織機というのも、ある種の機械です。
どこまでが機械でどこまでが手かという境界線は
実はとても曖昧だと思っているんですよ。
今回は、私たちの理想とするストールを
織ることができる工場を探すところからはじめました」

そんなとき、大正紡績の近藤さんから、
フランスのとても有名なメゾン系のブランドが
近藤さんの糸でストールをつくっている工場があると
紹介をしていただいたそう。
そこで試作をしてみると、
できたものが本当に素晴らしかった!
工場にもうかがって、
たかいプライドを持って仕事をしている現場に、
昌司さんたちは感激します。

「この工場と組みたい、と思いました。
うちが糸を染めたものを織ってもらう仕事は、
普通だったら先方は『加工』になるのでしょうが、
ここの工場の人たちにとって、
この仕事は『加工』ではないんですよ。
向こうがうちから原料としての糸を引き取って、
商品にして、こちらにまた売るという考え方なんです。
つまり、このストールは、
ふたつのチームが協業してつくった、
お互いの商品でもあるんですね」

そのため、工場の方の基準に満たない製品は
納品されないのだそう。

「自分たちの商品として
認められるようなものしかつくらない。
そしてそのクオリティがすごく高いんです」

いろいろなやりとりがありました。
たとえば最後にお湯につけて、
糊などを落とす工程では、
草木で染めた糸というのは、すごく色が落ち、
端の白い部分に移染してしまうことがあります。
atelier shimura側が想像していた色とは、
だいぶ違う色が返ってきたことも。
その温度を下げて、たとえば水で洗ってほしいと考えても、
お湯でなければ最終的に
フンワリとした風合いが出ません。
結局、色落ちの激しい染料は使わないことで
解決に持っていったそうです。

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