おいしい店とのつきあい方。

061 食いしん坊的 外食産業との付き合い方。26
ドキドキとワクワク。

あけましておめでとうございます。
2018年は外食産業にとってどんな一年だったんだろう。
そして2019年はどんな年になるんだろう。
新しい年のはじめに、ちょっと考えてみようと思います。


昨年の外食産業を振り返って、特徴が2つ。
まずひとつめは「輸入ブランドレストラン」が
増えたというコト。
舶来ものと違って、
「そことは違う場所からやってきた」
レストランという意味で、輸入ブランド。

東京だとやってくるのはもっぱら海外からです。
このままいくとアメリカのちょっとしたステーキ専門店は
みんな日本にお店を作ってしまうんじゃないかしら‥‥、
と心配になっちゃうくらいたくさんできた。

新しいものを食べてみたい好奇心はある。
景気のいいとき。
例えばかつてのバブルの頃には見たこともない、
味わったこともない食べ物を好奇心にまかせて食べた。
でも、失敗も多かった。
未知の料理を食べるというのはギャンブルで、
口に合わないこともある。
でもみんな「お金を使うことそのもの」が
たのしかったから、失敗もいい思い出話になったりもした。
でも景気が悪くなってしまって、
みんなお金を使うことにおっかなびっくり。
失敗したくないのです。

だから「食べたことがあるんだけれど、それははじめて」
という料理を探す。
ホットケーキがハワイから来たパンケーキに姿を変えて
行列になった。
でも、イギリスからやってきたクランペットは流行らない。
かき氷が台湾からシェーフォアピンになって行列を生み、
それがきっかけで日本のかき氷にまで
ブームが波及したりした。

不思議なブームがバブルティーで、
日本に似たものがないまるで新しい食べ物なのに
突然ブレイク。
食事でできない冒険を、
お菓子やおやつ、別腹で満たす傾向が顕著になった。
オモシロイ。

アメリカから来たステーキにしても、
いつものステーキと違うに違いないという期待感が
人を集める。
アメリカから来たハンバーガーも同じ原理で、
これからますます増えるんだろうなぁ‥‥、
って思ったりする。

地方だと輸入ブランドは東京あたりからやってくる。
東京で今話題のレストラン‥‥、なんてふれこみで、
気づけば日本中、同じレストランが出来ていたりする。
それから「東京の老舗レストラン」が
地方に続々とできてもいきました。
天ぷらに蕎麦、寿司にすき焼きと、
この前のぞいた名古屋の駅前商業施設の顔ぶれが、
東京の百貨店の食堂街のそれと同じでびっくりしたほど。

確かに東京に住んでいて、
京都から和食のお店がやってきました、とか、
北海道の寿司屋が出てきたとかって話に聞くと、
行ってみようかと思ったりする。
それほど違いはないのでしょう。
でも、食べ慣れたものであれば、
ほんのちょっと違いがたのしい。
食べ慣れた料理を食べるときに「ドキドキ」はない。
けれど、ちょっと違うかも知れないなぁ‥‥、
と思って食べる料理には「ワクワク」がある。
ドキドキは失望になっちゃうことがあるけれど、
ワクワクに人は失望を感じない。

飲食店からドキドキがなくなっちゃったなぁ‥‥、
と去年はしみじみ思った。
日本には日本人が食べたいと思う
ほとんどすべてのものが揃ってしまったから、
しょうがないんだ‥‥、
と思い込もうとしていたら、
新たなドキドキが後半あたりからはじまった。

中国からやってくるさまざまな料理。
食べ慣れていたはずの中国料理と、
違った中国の料理の数々にドキドキすることがかなりあり、
例えば先日、蘭州の牛肉麺をたべたのだけど、
見た目はラーメン。
なのにボクたちの知るラーメンとは違った、
まるでスープを麺の形にして食べているような
みずみずしさとなめらかさに、
あぁ、まだ世界にはドキドキすることが
残っているんだ‥‥、と感動しました。

もしかしたら2019年は、
そういう料理が次々あらわれ、
日本人の料理に対する感度を
試すことになるかもしれないなぁと、思ったりする。

さて、もう一つの去年、今年の特徴は?
また来週といたしましょう。

2019-01-03-THU