おいしい店とのつきあい方。

096 お店の情報とのつきあい方。 そその22コントラストの強い写真のお店は?

職業柄もあり、ブログをやっているということもあり、
おいしそうな料理や、
たのしかった時間の思い出を残しておきたくて
写真を撮ります。

仕事に使うこともあろうかと
スマホではなく、コンデジ。
しかも画素数の大きいかなり上等なカメラで撮る。
一眼レフに比べるとかなり小さく、
レンズを交換できるわけではないけれど、
テーブルの上の料理をおさめるのに過不足ない良き画角。
明るいレンズで、
暗いレストランの中でも写真がキレイに撮れる。
照明の色の都合でちょっとへんてこりんに撮れても、
パソコン上の修正ソフトでチャチャっとすると
本来の色を取り戻す。
愛機と呼ぶにふさわしい、いいカメラです。

けれどそんなカメラも苦手な環境がある。
どんなに修正技術を駆使しても
どうにもならない場所があるのです。
そういうお店で撮った写真は、
料理やお皿はギラギラ明るいのに、
お皿の縁や端っこ、あるいはテーブルの角が暗くて、
陰鬱な絵になってしまう。

コントラストが強いのですネ。
明るいところと暗いところの差が激しい。
どちらかというと失敗写真に近い出来。
暗いところでストロボをたいて写真を撮ると
よく似た写真ができあがりますけれど、
そんな写真は、なかなか上手に修正できません。
SNSに投稿するときも。
ブログに画像を貼り付けるときにも、
失敗写真に見られちゃうのは、
嫌だなぁ‥‥、とビクビクしちゃう。

そういう写真が撮れてしまうお店は
大体にしてムード満点の大人のお店がほとんどです。
ダイニングバーとか、ラウンジ的な
夜のムードを押し出したい店。
店全体は照明をギリギリ落として暗くする。
テーブルの上や壁の絵、
あるいは奥行きを出すため
部屋の角などにピンスポットを当ててそこだけ明るくする。
フランス料理や和食のように
オーセンティックな料理の店でも、
モダンな感じを演出したいとき、
そういう照明にするのです。

老舗のすし店がカウンターをピンスポットで照らすことは
まずないでしょう。
白木のカウンターを照らすにふさわしい照明は、
明るく店全体を照らす照明。
スーツ姿の紳士が似合う店になります。

その老舗店の職人さんの
息子さんが独立したといたしましょう。
若い人らしいお店にしたい。
場所は六本木のような街。
今までの寿司屋の雰囲気じゃない店にして、
シャンパンとかワインがおいしく楽しめるような
モダンな寿司屋を作りたい。
そんな時にはスポットライトの出番です。
スポットライトが似合うカウンターは、
光にあたってキレイに見える素材が映える。
例えば大理石のカウンターならば、
外国人が大好きな店が出来上がる。

コントラストの強い写真が
多く投稿されているお店に行くとき、
ボクはおしゃれをすることにしています。
モダンなしつらえに負けぬよう。
そういうお店を好む人たちに溶け込むように、
ちょっと気取った装いで行く。
そんなヒントがSNSの写真の中に潜んでいます。

ピンスポットが落とす光の大きさが小さければ小さいほど、
ムードが出ます。
部屋全体が暗ければ暗いほど、
ピンスポットの効果は大きくなっていく。
そしてそれは、カメラにとって
過酷な環境になっていく‥‥、ということでもある。
なやましい。
しかもその「過酷な環境」は
カメラにとってだけではないのですネ。
人に対しても過酷な環境。
どういう意味か、そういうお店で
料理じゃなくて顔の写真をとってみれば一目瞭然。
暗いところに顔の上から強い光が一筋落ちる。

実は先日大学の同級生たちと、
ひさしぶりに会食をしました。
昔のコトを思い出して、
当時、おしゃれで有名だったレストランを予約しました。
ピンスポットがうつくしい店。
みんな装いも若々しく、
学生時代に戻ったような気持ちで集まりテーブルにつく。
ピンスポットの下に座ったお互いをみて、
誰ともなく笑いはじめた。
だって、上から当たった強い光線で
ほうれい線はクッキリ目立ち、
顔の筋肉がみんな下へ、下へと
なだれ落ちているように見えるのですから。
しかも頭を直撃した光が
すっかり薄くなってしまった頭を目立たせ、
「年とったなぁ‥‥」ってしみじみさせる。
コントラストの強い店とはそういう店‥‥、なのでした。

サカキシンイチロウさん
書き下ろしの書籍が刊行されました

『博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか
半径1時間30分のビジネスモデル』

発行年月:2015.12
出版社:ぴあ
サイズ:19cm/205p
ISBN:978-4-8356-2869-1
著者:サカキシンイチロウ
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「世界中のうまいものが東京には集まっているのに、
 どうして博多うどんのお店が東京にはないんだろう?
 いや、あることにはあるけど、少し違うのだ、
 私は博多で食べた、あのままの味が食べたいのだ。」

福岡一のソウルフードでありながら、
なぜか全国的には無名であり、
東京進出もしない博多うどん。
その魅力に取りつかれたサカキシンイチロウさんが、
理由を探るべく福岡に飛び、
「牧のうどん」「ウエスト」「かろのうろん」
「うどん平」「因幡うどん」などを食べ歩き、
なおかつ「牧のうどん」の工場に密着。
博多うどんの素晴らしさ、
東京出店をせずに福岡にとどまる理由、
そして、これまでの1000店以上の新規開店を
手がけてきた知識を総動員して
博多うどん東京進出シミュレーションを敢行!
その結末とは?
グルメ本でもあり、ビジネス本でもある
一冊となりました。

2017-01-26-THU