ほぼ日、なにしてる?ほぼ日、なにしてる?

2008/07/02 12:47
sugano

日本語は残った

「そうやって
 おおあわてで
 一生懸命残したのが
 いまの日本語なんですねー」

なるほど。
祖父江さん、
めちゃめちゃお忙しいのに
午前中いっぱいつかって
教えてくださって
ありがとうございました。

「スガノさんも会社に怒られるねぇ」

‥‥やばい、帰ります。
祖父江さん、
ありがとうございました!

また来ますね!

「バヤヤァ〜イ」
2008/07/02 12:39
sugano

日本語は簡単にしなければ
いけなかった

「戦後までは、日本は
 すっごい難しい漢字を
 いっぱい使っていて
 雑誌なんかは全部に
 ふりがなを振るのが基本だったんだけど
 『路傍の石』の山本有三さんって人が
 それをやめよう!って言い出したんです。

 それから、戦後、アメリカから
 日本語は、むずかしいので
 ぜんぶ英語にしちゃいましょう!
 と言われてあわてて作ったのが
 当用漢字なんです」
2008/07/02 12:32
sugano

変わる時代

「こうやって日本語は
 どんどん変わってったんだよ」

なるほど。

「話し言葉から霊的なものが抜けて
 読むための道具に
 切り替わっていくんです」

やさしく学ぶために、
いろんなものを統一する必要も
あったんですね。

「辞書も、いろはだったんだけど、
 アイウエオ順に変わりました。
 このとき、いろいろと論争が
 起こったみたいだよ。
 つまり、“辞書はいろはでしょー!”
 “言葉には心があるってこと
  忘れてる感じよ?”ってね」 
 
2008/07/02 12:26
sugano

どんどん変わっていく

では、さきほどの
あいうえお表をお借りして‥‥

「まだまだですよぅ。
 国語は、明治36年〜42年あたりが
 いちばんおもしろいんだから」

そうなんですか。

「こうやって、カタカナのアイウエオと
 ひらがなのいろはにほへとが
 見開きで載っている教科書から、
 ひらがなのあいうえおといろはが
 両方載っている教科書になっていって」
2008/07/02 12:18
sugano

本居宣長

では、五十音表の起源は
どこなんでしょうね?

「それは、この人に訊くといいよ」

『本居宣長』小林秀雄。

吉本さんに近づいてきました。
2008/07/02 12:12
sugano

日本書紀をひもとく

「こうして
 巻き物を
 ひもときましてね」

実際に“ひもとく”人を
はじめて見ました。

「ほうら、ここにあるでしょ、
 カタカナが。
 こうやって、中国からきた
 漢文を読むための補助として
 カタカナを振って
 読んでいたんですねぇ」

そういえば、高校のとき
こうやって漢文を読んでいました。

「カタカナの文字が、みんな
 左下に流れる形をしているのは、
 こうやって文章に
 クサビを打つような機能があったからだと
 いわれてるんです」

ほおおおお。

これがカタカナのはじまり。
だから、カタカナは記号っぽいんですね。
だから、アイウエオはカタカナはじまり
なんですね。
2008/07/02 12:09
sugano

そんでね

「そもそも
 カタカナというのは
 どういう文字だったかというとね
 (ゴソゴソゴソ)」

‥‥日本書紀。

「帰りたくなってきた?」

いえいえいえいえ。

「とうとう巻き物の世界まで
 来ちゃいましたねぇ」
2008/07/02 12:05
sugano

ではカタカナは

ひらがなは
文楽や歌舞伎の浄瑠璃文に
たくさん残っているそうです。
どちらかというと
歌や楽譜がひらがなに
ぴったりだったんですね。

「では、カタカナはというと、
 こういう、西洋事情みたいな本の
 “理解するため”の字として
 使われていたっぽいわけ」

なるほど。
2008/07/02 11:58
sugano

ひらがなは
100種類以上あった

なんでアイウエオは
カタカナからはじまったんですか?

「それはね、
 むかし、ひらがなは
 100種類以上字があったからです。
 変体仮名といいましてね、
 たとえばこれ!
 この本、ぜんぶおんなじ
 『詞の玉緒(ことばのたまのお)』
 というタイトルなんですよ。
 だけど、一巻から七巻まで
 おなじ表記をするのは避けて、
 こんなふうにしてるわけです」

あ、おそば屋さんの看板も
読めない字で書いてあるのは、
その、粋な仮名なんですね。

「そーそー」

だから、五十音に
まとめられなかったんですね。

「というのもあるし、
 ひらがなというのは記号というより
 もっと、魂に近い
 存在だったからだろうね」

へぇぇぇ。
2008/07/02 11:52
sugano

江戸時代

「ちなみにこれは
 江戸時代の庭訓往来っていう、
 いわゆる往来ものって
 呼ばれるやつなんだけどね」

‥‥江戸時代ですか。

「うん、江戸後期です。
 各ご家庭に一冊、みたいな本で、
 昔は教科書がなかったから
 寺子屋もこういう本で
 勉強したりしていたのね。
 ここにいろはが載ってます」

はああ。ここは博物館じゃなくて
デザイン事務所ですよね?

しかも、祖父江さんは
おもしろい顔ができる人じゃなくて
日本を代表する
ブックデザイナーですよね?