気仙沼のほぼ日便り

3月11日は、
なにをして過ごしますか。

どういうふうに過ごしても、正しい。
どう過ごしてもいいから、
3月11日をどういうふうに過ごすか、
ひとりひとりが考えよう。

わたしたちの大切な友人のひとり、
齋藤茶舗の斉藤道有さんがリーダーとなり
気仙沼の若者を中心としたメンバーが
考えた3月11日の過ごし方を
ご紹介させてください。

3月11日からのヒカリ」。
東日本大震災発生から一年をむかえる明日。
悼みと希望の意味をこめて
気仙沼の内湾、三ヶ所から
ひかりの柱を立ち上げるプロジェクトです。

なぜひかりの柱なのか。

震災の犠牲者を悼み、手を合わせるために
人々が集う場所や慰霊碑が
他の多くの被災地と同じく、
気仙沼にはまだありません。

斉藤道有さんは言います。
「瓦礫の片付いた道の至る所に
 花が手向けられている。
 何もなくなった場所に
 手を合わせる方々が、口々に言った。
 『どごさいけばいいんだべ?』
 家も墓も、位牌さえもなく、
 それでもどこかで
 気持ちをよせ合いたい人々が
 たくさんいる。
 ここには、
 失いつづけてゆく大切なものが、
 いつか本当に人々の心から
 消え去ってしまうかもしれないという
 恐怖がある。
 大丈夫だ、やるしかねぇ、
 立ち上がろう、できることでいい、
 そうやって毎日を過ごしてきた。
 やっと辿り着く一年だと思っている。
 だからこそ、
 どうしても私たちから届けたいのだ。
 苦しみに耐え続ける人々が
 分かち合えるように。
 日本中が気持ちを寄せあえる日に、
 それぞれの想いが、
 立ち上がる光を目指して集まれるように。
 こっがら、
 もういっかいはじめっぺし!!」

ひかりの柱が立ち上がる場所は、
気仙沼内湾の三ヶ所。

柏崎、神明崎、蜂ヶ崎。

この三ヶ所で囲まれた気仙沼湾は、
古来から「鼎が浦」と
呼ばれているそうです。
「鼎(カナエ)」とは、
三つの足に支えられた器のこと。
三陸海岸を支えてきた
「海、山、人」の営み、
そして、「過去、現在、未来」を
三本のひかりの柱が
あらわしているそうです。

これからの航路を照らす
灯火となるようにと祈りをこめて
明日の日の入り後、
18時30分ごろから深夜0時まで
ひかりの柱が気仙沼湾を照らします。

最近読んだ小林秀雄の
『考えるヒント2』の中に
こんな言葉がありました。

「過去とは、思い出すという事だし、
 現在とは行動している事だし、
 未来とは願望し選択する事だ。」

東日本大震災から
一年という節目を目の前にして
いま、思うことは
その日を思い出し、
「忘れない」ことから行動をおこし、
つよく願い、選択していく未来が
どの人にも
平等に与えられているということです。

明日は気仙沼で
糸井、乗組員の仲間
そして気仙沼の友人と共に
しずかに立ち上がっていく
三本のひかりの柱を
眺めたいと思います。

「3月11日からのヒカリ」
詳しくはこちらのページを
ご覧ください。

Ustreamでライブ中継も行われるそうです。