ほぼ日刊イトイ新聞

勉強の夏、ゲームの夏。2018

さあ、今年もはじまります!
ほぼ日がお届けする
夏休みの終わりの風物詩といったら、これ!
勉強とゲームの両立をめざす恒例企画
『勉強の夏、ゲームの夏。2018』!
勉強サイドでは、ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」をお呼びして、
勉強や受験のコツを教えていただきます。
一方、ゲームサイドでは、
乗組員がヤングとアダルトの2チームにわかれ、
本気の「ババ抜き」で真剣勝負! 
しかも、最大4台のビデオカメラを使い、
勝負のかけひきを動画で生中継しちゃいます!
あ、そうそう、毎年恒例のシェフこと、
武井がつくる「静岡おでん」は、
すでにいい感じに煮込まれていましたよ。
夜までずっとたのしくやってますので、
ときどきのぞきに来てくださいね。
それでは今日一日、どうぞよろしくお願いします!

今年のゲームサイドは生中継!

再生ボタンを押すと、
すぐに中継がご覧いただけます。

事前に読者からお寄せいただいた
勉強や宿題についての相談に、
ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
ときどき、おでんの様子も。

ご登場予定の講師のみなさん

新谷陽一さん (東京大学の学生・ほぼ日インターン生)
税所篤快さん(国際教育支援NGO「e-Education」創業者)
山内奏人さん(ワンファイナンシャルCEO)
竹之内祥子さん(okatteにしおぎ)
長瀬勝彦さん(経営学者、首都大学東京教授)

2018/08/23 16:30

牧草が増えていくおもしろさ。

okuno
2018/08/23 16:30

牧草が増えていくおもしろさ。

okuno
「ここには、料理が好きな人はもちろん、
 お掃除が好きな人、
 おしゃべり好きのムードメーカー、
 たくさんの人が集まってきます。
 流しそうめんをやろうと企画が出たら
 竹を切ってきてくれる人、
 その竹で流しをつくってくれる人‥‥」

牧草、増えてますね。

「思いもよらない活動が生まれるんです。
 大学人に入るときの研究計画書には
 いわゆる「サードプレイス」のことを
 学びたいと書きました。
 でも、okatteにしおぎと並行して、
 大学院で学んでみたら、
 ある意味で「流行のワード」である
 「サードプレイス」とは、
 ちょっとちがうと思うようにもなって」

たしかに、いわゆるサードプレイスって、
コーヒーショップとか酒場とか、
「消費する」がメインだと思いますが、
ここは、「コモンズ」‥‥
共有の牧草地と考えるとしっくりきます。

思いもよらない、
めずらしいキノコが生えてきそうですし。

「ことしからはじまった稲作部なんて、
 まさしく、そんな感じです。
 群馬に田んぼを借りて稲作するなんて、
 思ってもみなかったので」
2018/08/23 16:25

大学院で出会った、
コモンズ論。

okuno
2018/08/23 16:25

大学院で出会った、
コモンズ論。

okuno
楽しかったからこそ、続けられたんですね。
楽しかったからこそ、修士論文も書けた。

ちなみに
「okatteにしおぎのひみつ」のゆくえは?

「大学院で、コモンズ論に出会って‥‥」

コモンズ論。

「コモンズの悲劇、という考えがあります。
 これは、牧草地など、
 昔の農村にあったような共同管理地で
 それぞれが
 自己利益の最大化するために行動すると、
 たとえば、牧草地の牧草は、
 ぜんぶ食べられて、荒れ地になっちゃう」
 
なるほど。

「そういう考え方があるんですが、
 エリノア・オストロムさんという人が
 そのコモンズ理論で
 ノーベル経済学賞に輝いたんです。
 こむずかしい話は省きますが、
 共有の牧草地でも、うまく管理すれば、
 『タダ乗り』する人を生むことなく
 じょうずに運営できるんだ、って。
 その考え方が、
 いまのシェアの考えに応用できるんです」

当時は、現代的な意味での「シェア」、
つまり「シェアキッチン」と言ったときの
「シェア」が含む意味合いって、
まだ、なかったと思うんですが、なるほど。
時代を超えて応用できる、コモンズ理論。

「そこで、そうか、okatteにしおぎは、
 ちいさなコモンズだと思いました。
 ここでは、いろんな人が、
 いっしょにごはんをつくって食べるという
 目的のもとに、
 お米や野菜という食材だけでなく、
 情報や経験、スキルまで持ち寄ってくれる。
 そうやって回っているんです。
 牧草は、減らない。むしろ増えていきます。
 あたらしい活動が生まれていくんです。
 大学院でコモンズ理論を学んで、
 わたしは、
 okatteにしおぎのそういうところを
 おもしろがっていたんだなあ、と」

なるほど。ただ奪い合うだけの場所には、
誰かが、玉ねぎを、
こんなふうに置いてはいかないですよね。
2018/08/23 16:20

忙しく、刺激に満ちた日々。

okuno
2018/08/23 16:20

忙しく、刺激に満ちた日々。

okuno
ご自分ではじめたシェアキッチン
okatteにしおぎの、ふしぎ。
okatteにしおぎの、ひみつ。

それを解明すべく、大学院へ。

「この『場所のちから』ってなんだろう、
 と思ったんです。
 それまでマーケティングの会社で
 培ってきた経験や知識でも、
 okatteにしおぎという『場』についての
 うまいこたえは
 得られませんでした。
 そこで、社会学から経営から哲学まで、
 多種多様な教授の集まる
 21世紀社会デザイン研究科の試験を受けて
 学んでみようと思いました。
 入学してみたら、
 学部から上がってくる若い人だけでなく、
 CSRをやりたい会社員、NPOの人、
 ソーシャルな会社を起業したい人、
 リタイア後の人まで‥‥さまざまでした。
 社会で活躍している生徒が多いので、
 教授との関係もフラットで。
 たった2年間で修士論文を書くのって、
 すごく忙しいんですが‥‥」

はい。わかります。
2年間、本当に頑張ってギリギリでした。
でも、竹之内さんは、
会社もやって、okatteにしおぎもやって、
そのうえ修士論文。はあ。

「たしかに忙しかったけれど、
 毎日はとっても刺激に満ちていました」

ちなみに授業は、週に‥‥。

「1年目は4日です。
 2コマ取ると、18時から21時まで。
 土曜日にはゼミもありました」

週に4日、池袋まで通って。

「はい」
2018/08/23 16:15

okatteにしおぎのひみつを、
解明したい。

okuno
2018/08/23 16:15

okatteにしおぎのひみつを、
解明したい。

okuno
「okatteにしおぎをはじめる前、
 阿佐ヶ谷で開催されている
 『おたがいさま食堂』に参加したんです。
 そのとき、みんなで食材を買って、
 みんなでつくって、みんなで食べることが、
 とっても新鮮だったんです。
 名刺のやり取りからはじまって
 用意された食事を食べる異業種交換会とは
 あきらかにちがうものでした。
 いっしょにごはんをつくることで
 すごく打ち解けられて、すっごく楽しくて。
 そこで、「おたがいさま食堂」の主催者の
 齊藤志野歩さんといっしょに
 みんなでごはんを食べる場をつくろうと」

それが、okatteにしおぎをつくった理由。

「そうやって
 okatteにしおぎをはじめてみると、
 毎日が、ほんとに、おもしろかったんです。
 会員さんが増えていくこと自体も
 なぜだろうってふしぎだったし、
 会員さん同士で、
 自然に活動がはじまったりも、するんです。
 手芸部とか、
 最近では地方に田んぼを借りて米を育てる
 稲作部まで、できました。
 これは、それまで参加した食事会なんかと、
 あきらかちがいました。
 それで、なにがちがうんだろう‥‥と」

思って。

「はい。そのひみつを解き明かしたくて、
 立教大学大学院の
 21世紀社会デザイン研究科へ入学しました」

okatteにしおぎのひみつを解きに、大学院へ。

このようにして、竹之内さんは、
「三足目のわらじ」をはくことになりました。
2018/08/23 16:10

結婚後、倒産の危機!
そこで、夫婦で会社を起業。

okuno
2018/08/23 16:10

結婚後、倒産の危機!
そこで、夫婦で会社を起業。

okuno
ひとつめの大学院を出たあと、
同じ会社の同僚だった旦那様と知り合い、
ご結婚された竹之内さん。

でも、直後、会社が倒産の危機に!
そこで、旦那さまとふたり、
マーケティング会社を立ち上げました。

その会社が、ことしで創業37周年。
さらに3年前には、
この場所「okatteにしおぎ」をオープン。

月々の会費を払えば、
いつでも、
この共同キッチンを使うことができて、
みんなでごはんをつくって食べたり、
ワークショップなんかもひらける場所。

シェアキッチンって、
いまでこそよく聞く言葉ですけど、
ここができた当時は、
まだ珍しかったんじゃないでしょうか。

「レンタルキッチンみたいな場所は
 あったんですけど、
 会員制で、お互いを知っている人たちが
 気ままに集まれる
 『みんなのお勝手』みたいな場所は
 あまりなかったかもしれません」

オープンにこぎつけるまでのストーリーも
かなりスピード感のある日々を
過ごしてらっしゃったみたいですけど、
そこに、さらに「大学院」までプラス‥‥。

その理由は、
まさに「okatteにしおぎ」にありました。
2018/08/23 16:05

上智大学文学部を卒業後、
マーケティング会社に
就職するも。

okuno
2018/08/23 16:05

上智大学文学部を卒業後、
マーケティング会社に
就職するも。

okuno
竹之内さんの出身大学は、上智大学。
文学部で『白鯨』で有名な
メルヴィルの『ビリー・バッド』で
卒論を書き、
そのまま上智の文学研究科(大学院)へ。

大学院では、その同じメルヴィルの『白鯨』で
修士論文を書いたそうです。

学部卒業後にも大学院へ行ったんですね。
じゃ、もともと文学や勉強がお好きで?

「いえ、ひとつめの大学院へは、
 ほとんどモラトリアムの延長のようにして
 通っていました。
 当時の進路って、女性は商社などのOL、
 男性は学校の教員になる人が多くて。
 そのどちらにも興味が持てなかったので、
 どちらかというと消極的な理由でした」

消極的と言いますが、そのときに学んだことで
無駄になっていないことって、ありませんか。

じつは自分も大学院へ行ってますが、
あのときに「修士論文」という長い文章を、
がんばって書いた経験は、
ぜんぜん関係ないことやってるいまも、
けっこう「血肉」になっている気がしていて。

「はい。私は英語で論文を書いたんです。
 いま思うと、よくやったなって感じですが。
 でもそのときに、
 わからないことがあったらちゃんと調べる、
 というクセがついたと思います。
 そのことは、社会人になっても活きました」

その後、マーケティング会社へ就職、
将来の旦那様ともその会社で出会います。が。
2018/08/23 16:00

4人目は、okatteにしおぎの、
竹之内祥子さん。

okuno
2018/08/23 16:00

4人目は、okatteにしおぎの、
竹之内祥子さん。

okuno
4人目の先生は、
西荻窪で「okatte(オカッテ)にしおぎ」
というシェアキッチン&シェアハウスを
運営されている、竹之内祥子さん。

竹之内さんとは
震災後の東北で知り合いまして、
これまでに、
福島のお米を自宅で育てるキット
「ちいさな田んぼキット」の収穫祭を
やらせていただいたりしました。
(写真2枚め)

ここ、ほんとうに居心地がいいんです。

自分は会員ではないのですが、
もう、4回目くらいになるでしょうか。
なにか理由をつけて、遊びに来てます。

木が中心の建築のちからもあると思いますが、
おいしいごはんの思い出とともに
覚えている場所なので、よけいなのかも‥‥。

ともあれ、竹之内さんは、
マーケティング会社を経営しつつ、
okatteにしおぎを運営しつつ、
さらに、昨年度までは
立教大学の大学院にも通って学んでいました。

ただでさえ忙しい「二足のわらじ」なのに、
そのうえ、なぜ、大学院へ?

大学院で勉強したことって、
実際の事業と、どう関係しているんですか?

おとなの学び、というようなテーマで
お話をうかがっていこうと思います。

竹之内さんのパートは
真っ青な空のもとの「okatteにしおぎ」から
お届けしていきます。
2018/08/23 15:55

最後の質問。

goro.inazaki
2018/08/23 15:55

最後の質問。

goro.inazaki
もっと取材したいところですが、
そろそろ終わりにしなくてはいけません。
部屋を変えて、おでんを食べながら、
最後はぼくからの質問です。

「子どもが家でダラダラして、
 なにも興味なさそうにすごしている」

 今回、そういう漠然とした相談も
 たくさん届きました。
 山内さんはそれこそ9歳のときに
 プログラミングに出会い、
 自分の「好き」を見つけられましたが、
 そうじゃない子を持つ親は、
 子供たちにどんなことを
 してあげられると思いますか。

「やっぱり子供って『鍵』がないと、
 自分の道は決められないと思います。
 要は、どんな世界があるかも知らないのに、
 『将来の夢は?』と聞かれても、
 そんなの答えられないですよ。

 だから、子供のときって、
 外からもらう影響が大きいと思うんです。
 ぼくがプログラミングをはじめたのも、
 家に自由に使っていいパソコンがあって、
 図書館にいつでも好きなときに、
 お母さんが連れて行ってくれたから、
 自分の好きを見つけられました。
 この2つがあったからなんです。

 だから、無気力でなにも関心がない、
 という子供がいるなら、
 とにかくたくさんの習い事させるのも、
 ひとつの手だと思うんです。
 というか、ぼく、
 習い事の数はすごかったですよ。
 いまでもピアノはひけますし、
 サックス、バイオリンもできます。
 サッカーや、水泳もやってましたね。

 いまは全部やめちゃいましたが、
 そのとき得た経験は、
 いまでもずっと残ってます。
 結果的に音楽はやめちゃったけど、
 そういう世界をみせてくれた親には、
 本当にすごく感謝してるんです。

 そういう世界を、
 子供が自主的に見つけるのって、
 なかなか難しいですよね。
 もし親になにかできることがあるとしたら、
 はじめの『鍵』をわたすことかなって、
 漠然とそんなことを思います」

はぁぁぁ、いい答えだなぁ。
そうだ、そうだよ、山内くん。
あ、くん付けしちゃった。
ゴメンゴメン、つい。

「はははは、全然いいですよ」

きょうは駆け足になっちゃったけど、
今度またゆっくり取材させてください。
もっといろんな話が聞きたいです。

「ありがとうございます。
 ぜひいつでも誘ってください。
 おでんもおいしいし。
 というか、ほぼ日って、
 なんか、たのしそうな会社ですね。
 さっき、トランプしながら、
 みんなで超盛り上がってたし(笑)」

あ、見られてた?
ほんと、いい大人が、ねえ(笑)。

ちょっとまたあらためて、
おしゃべりしましょうよ。
たのしかったです。
ひとまず今日はこのへんで締めますね。
ありがとうございました。

「ありがとうございました」
2018/08/23 15:45

質問メール(2)

goro.inazaki
2018/08/23 15:45

質問メール(2)

goro.inazaki
次の相談はこちらです。
ーーーーーーーーーーーーーーー

うちの小学4年生の息子は、
毎日宿題のほかに自主的に、
計算ドリルなどの勉強をしています。
がんばって自主学習をしていますが、
結果に反映してないようです‥‥。
がんばっているので、
これ以上がんばれとも言いにくいのです。
どうすれば結果が出るような
学習ができるのでしょうか?
ーーーーーーーーーーーーーーー

「なにを持って『結果』とするかですね。
 仮に、この相談された方が、
 学校の枠組みの中での『結果』を
 求めているとします。
 いい中学校に入るため、
 いい大学に入るために、
 いまよりもっと点数が必要なのであれば、
 やっぱり学校の先生に相談するのが、
 いちばんいいと思います。
 だって、その子の成績をつけているのは、
 学校の先生なんですから。
 いい成績を与えなかった先生だからこそ、
 その子の弱点のようなところも、
 よく分かっているんじゃないでしょうか。

 でも、そういう『結果』じゃないなら、
 まったく心配しなくていいです。
 だってね、メールに
 『がんばって自主学習をしている』
 って書いてるでしょう。
 もうこれはすばらしい才能ですよ。

 だって、小学4年生で自主学習できるって、
 もうすごいことですよ。ほんとに。
 そんな子、なかなかいないです。
 もっとそこを褒めてあげてほしいです。
 というか、ぼくだったら、
 そこを褒めまくりますね。
 すごいですよ、この子は。
 心配することなんて、なにもないです」
2018/08/23 15:40

質問メール(1)。

goro.inazaki
2018/08/23 15:40

質問メール(1)。

goro.inazaki
読者からの相談メールにも、
いくつかお答えいただこうと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーー


現在、簿記2級の試験に
合格することを目標に勉強しています。
通信講座で一通りの範囲は勉強し終え、
提出課題も全て出したのですが、
問題集をやると、
基本的なところでつまずきます。
何度も同じところを間違えるので、
勉強に対するモチベーションが
下がっています。
どうしたらいいのでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーー

「簿記の試験を受ける理由によって、
 アドバイスも変わると思います。
 なので、ちょっと漠然とした
 答えになってしまいますが‥‥。

 モチベーションが下がるということは、
 直近のことを見すぎてしまって
 いるのかもしれないですね。
 もうちょっと遠くを見て、
 簿記の資格があることで、
 得られる夢みたいなものを、
 イメージするのがいいかもしれないですね。

 これは自分にも言えることです。
 ぼくもうまくいかないことって、
 めちゃくちゃいっぱいあるので。

 そんなとき、
 よく「船の例え」を思い出すんです。
 近くを見すぎると船酔いするけど、
 遠くをみると船酔いはしません。
 なんか、そういうのと
 同じことのような気がしますね。

 『資格をとって自分はこうなる!』
 というイメージを、
 もっと明確に持てるようになると、
 すこしずつでもモチベーションは
 あがってくるんじゃないかなと思います。

 あとはプレッシャーを感じると、
 勉強につまずくことはあるので、
 『落ちてもいいや』くらいに
 肩の力を抜くほうが、
 けっこういい点数がとれたりします。
 それくらいの気持ちで
 受けるのがいいんじゃないかなぁ、
 って、すみません。
 なんか、ちょっとエラそうですね」

いえいえ、そんなことないです!
そもそもそういうコーナーです。
真っ直ぐなアドバイス、
ありがとうございます。