ほぼ日刊イトイ新聞

勉強の夏、ゲームの夏。2018

さあ、今年もはじまります!
ほぼ日がお届けする
夏休みの終わりの風物詩といったら、これ!
勉強とゲームの両立をめざす恒例企画
『勉強の夏、ゲームの夏。2018』!
勉強サイドでは、ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」をお呼びして、
勉強や受験のコツを教えていただきます。
一方、ゲームサイドでは、
乗組員がヤングとアダルトの2チームにわかれ、
本気の「ババ抜き」で真剣勝負! 
しかも、最大4台のビデオカメラを使い、
勝負のかけひきを動画で生中継しちゃいます!
あ、そうそう、毎年恒例のシェフこと、
武井がつくる「静岡おでん」は、
すでにいい感じに煮込まれていましたよ。
夜までずっとたのしくやってますので、
ときどきのぞきに来てくださいね。
それでは今日一日、どうぞよろしくお願いします!

今年のゲームサイドは生中継!

再生ボタンを押すと、
すぐに中継がご覧いただけます。

事前に読者からお寄せいただいた
勉強や宿題についての相談に、
ほぼ日のまわりにいる
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
ときどき、おでんの様子も。

ご登場予定の講師のみなさん

新谷陽一さん (東京大学の学生・ほぼ日インターン生)
税所篤快さん(国際教育支援NGO「e-Education」創業者)
山内奏人さん(ワンファイナンシャルCEO)
竹之内祥子さん(okatteにしおぎ)
長瀬勝彦さん(経営学者、首都大学東京教授)

2018/08/23 15:30

好きな授業しか受けない。

goro.inazaki
2018/08/23 15:30

好きな授業しか受けない。

goro.inazaki
できることなら
3時間くらいじっくり話を
聞いていたいのですが、
今日はなんてったって、
リアルタイムなテキスト中継です。

なので、さっそく本題に入ります。

山内さん、いまも学生ですけど、
勉強はできるほうですか? 
いわゆる学校の成績は良い?

「ぼく、勉強、得意じゃないんです」

ええーー。そんな、そんなーー。
おじさん、そんなウソは信じないです。

「本当です。学校の勉強は苦手なんです。
 というか、勉強は好きじゃないです。
 でも、ぼくのいまの高校は中高一貫で、
 自分の好きな授業が選択できるんです。
 なので、ぼく、
 本当に好きな教科しかとってません」

どんな教科が好きなんですか?

「とってる授業数も少なくて。
 ぼくがとってる教科は、
 (スマホに保存した時間割をみながら)
 政治経済、憲法、英語、
 国語表現、倫理、体育、現代文‥‥」

ちょ、ちょっと! 
完全に文系じゃないですか。
数学や物理がひとつもない。

「もし理系か文系かって聞かれたら、
 自分は文系だと思いますね。
 いまの世の中がどうとか、
 人間ってどういうことを考えるとか、
 そういうのが好きなんです。
 あと、文章も好きです。
 なので、国語表現とかもとってます。
 国語表現ってけっこう大事ですよ。
 アウトプットする力はある程度ないと、
 コミュニケーションするのが、
 けっこうきついですからね」

ちなみに成績ってどうなんですか。
10段階でいうと、
どのへんなんですか?

「それが自分でもおもしろくて、
 10のものもあれば、1もあります。
 なので、平均をとって5くらい(笑)」

山内さんのご両親は、
勉強のことでなにか言いますか?

「いっつもいわれますよ。
 『勉強やれ、やれ』って。
 いっつも家で寝てるので、ぼく」

読者のからの質問でも、
「子どもをやる気にさせるには、
 どうしたらいいですか?」
というのが多かったんですね。
山内さんは、
中学受験もされたわけですが、
どうやって勉強の
「やる気」を出したんですか。

「やれっていわれると、
 やりたくなくなりますよね。
 ぼくもギリギリまで、
 全然勉強やんなかったです。
 でも、学校の授業って、
 ものすごくおもしろいのもあれば、
 全然おもしろくないのもあります。
 ぼくの場合は、
 おもしろいものは
 自然と「やる気」が出たというか、
 やっててたのしかったんです。

 誰でも好きな教科、きらいな教科って、
 絶対あると思うし、
 きらいなものはどうしようもないです。
 なので、ぼくは、
 自分の好きな教科が選択できる、
 いまの学校とすごく相性がいいんです。
 好きな授業しかとってないので」
2018/08/23 15:15

15歳で会社をつくる。

goro.inazaki
2018/08/23 15:15

15歳で会社をつくる。

goro.inazaki
独学でプログラムを覚えた山内さん。
11歳のときには
「中高生国際Ruby
 プログラミングコンテスト」の
15歳以下の部で最優秀賞を受賞されます。

「はい。リマインダーとタスク管理が
 一体になったようなアプリですね。
 ぼく、忘れ物がすごく多いので。
 それがあると便利だなあって」

さらに、12歳で子供向け
プログラミングワークショップを
企画、運営します。
‥‥って、これもホントですか? 
もう、スーパー中学生じゃないですか。

「ああ、はい。やりましたね。
 なんでワークショップをやったかというと、
 ぼくのまわりにプログラミングをする
 友だちがいなかったからです。
 なので、ぼくがプログラミングを教えれば、
 仲間ができるかと思って。
 できたらうれしいなあって。
 全部で600人くらい教えた気がします」

お、おぉ‥‥。
で、そのあと15歳のときに、
いまの会社の前身となる
「ウォルト」を創業されます。

「はい。でも、その前に、
 いろんなベンチャー企業の立ち上げを
 手伝わせていただいたんです。
 それが12、13歳くらいのときですね。
 Rubyで賞をとったこともあって、
 いろいろと声を
 かけてくださる方が増えたんです。
 その頃はスタートアップの
 コミュニティにも出入りしてました。
 あと、よく使っていたシェアオフィスで、
 隣になった人から
 『ちょっと手伝ってくれない?』
 みたいな感じで誘われたりもありました」

中学生でシェアオフィスですか。
もう、おじさん、クラクラしてきました。
ちなみに、いまのオフィスは‥‥。

「六本木にあります」

ギロッポン! ゴイスー!
2018/08/23 15:00

どんな子供だったのでしょう。

goro.inazaki
2018/08/23 15:00

どんな子供だったのでしょう。

goro.inazaki
山内さんのことをネットで調べてみると、
いろんな天才エピソードがありすぎて、
「これ、ほんとかぁ?」
なんてものばかりなんです。

なので、今日はご本人の口から、
その情報があってるか、あってないかを、
直接聞いちゃおうと思います。

「ああ、はい。なんでもどうぞ」

えっと、じゃあ、
まず生まれは2000年ですか?

「あ、ちがいます。2001年です」

2001年、つまり、21世紀生まれ。
それだけですごい。
ネットによると6歳のときにお父さんから
パソコンをもらったと‥‥。

「はい、そうです。
 ああ、でも、パソコン自体は
 もう少し前から触ってたかな」

パソコンでなにするの? 6歳で?

「ワードとかエクセルですね。
 文字を打って、
 新聞をつくったあそんだり、
 エクセルでおこづかい帳つくったり、
 それがたのしかったんです。
 自分がなにかしたら、
 そのリアクションが返ってくるでしょう。
 エクセルだったら、
 数字を入れるとグラフになったり。
 そういうインタラクティブな感じが、
 たのしかったんだと思います」

すごい‥‥。
ふつうに話すけど、それってすごいことだよ。
だって、6歳でしょう。はぁー。

で、9歳のときに
独学でプログラムを学んだと。

「はい。地域の図書館に行って、
 そこで本を借りて、自分で覚えました。
 大人向けの本でしたね。
 でも、本を読むのが好きだったので。

 最初はパソコンの本だったんです。
 ワードとか、エクセルとかの。
 でも、その横の棚に
 アニメーションづくりの本があって、
 その横にプログラムの棚があって‥‥。
 そうやって釣られるように、
 隣の棚の本を読んでいただけなんです」
2018/08/23 14:40

山内奏人さん。

goro.inazaki
2018/08/23 14:40

山内奏人さん。

goro.inazaki
3人目の講師は、
山内奏人さんです。

現在17歳の山内さんですが、
テック業界ではかなり知られた
天才プログラマーです。

15歳のときに会社を起業し、
16歳のときに個人間決済アプリ
「ONE PAY」をリリースし、
その後、1億円の資金調達を実施(!)。

最近ではレシート買取アプリ「ONE」を
リリースしたことで、
その名はますます知れ渡るようになりました。

まあ、とにかくすごい高校生なんです。
なかには「未来の孫正義」という声もあるくらい。

今日は「勉強の夏、ゲームの夏。」の
講師としてお越しいただいたので、
ビジネスのことや
プログラムの話は抜きにして、
山内さんがこれまで
「どのように勉強をしてきたのか」
「勉強は好きなのか、嫌いなのか」など、
そのあたりのことを
いろいろ聞きたいと思います。

山内さん、ようこそ、ほぼ日へ。

今日はどうぞよろしくお願いします。
2018/08/23 14:38

おでんをどうぞ。

asami.fujita
2018/08/23 14:38

おでんをどうぞ。

asami.fujita
いろいろな質問にこたえてくださった
新谷先生と税所先生、

いま、名物の静岡おでんを
召し上がっています。

‥‥美味しそう!!
2018/08/23 14:32

前に進んだって、後ろを振り向いたっていい。

yoko.hasada
2018/08/23 14:32

前に進んだって、後ろを振り向いたっていい。

yoko.hasada
税所くん、
今日は本当にありがとうございました!

「ありがとうございました。
僕もいろいろ振り返ることができて、
勉強になりました。」

最初に書いた『前へ!前へ!前へ!』
という本から、
ずいぶん心持ちやいろんなことが
変わっていそうですね。

「その80歳の魔女研究の方に、
人生は前へ!前へ!じゃないと
言われました(笑)。
人生は前だけじゃなく、
後ろにも道がある、と。

楽しく生きていれば必ずいろいろあるから、
そのひとつひとつを
大事に味わうように生きていくと、
80年くらいたつと
いいアウトプットができると聞いて、
ほんとうにそうなんだろうなと思いました。

日本の教育は前へ前へすぎて、
後ろ向きな子が
矯正されてしまう傾向があります。
それはすこし悲しいですよね。
前に進んだって、後ろを振り向いたっていい。
でも行くときは行かなきゃいけません。
疲れたら止まればいいですよね。」

ほんとうにそのとおりですね、
はあーー、
あいかわらず言葉に魂がこもっていて
おもしろいです。

ちなみに「前へ!前へ!前へ!」は
英語に訳され発売が決まったそう!
ほんとうにおめでとうございます!
今日はありがとうございました。

「ありがとうございました。
また遊びにこさせてください!」
2018/08/23 14:28

質問にこたえます(3)

yoko.hasada
2018/08/23 14:28

質問にこたえます(3)

yoko.hasada
では最後の質問にいきましょう!



こんにちは
facebookで流れてきて記事を読みました。
私には小学生と幼児の2人息子がいます。
幼い頃の自分は保育園に通い、地元の小中学校に通っている事に何の疑問も持たず、嫌々でしたが、他の道があることも知らず過ごしていました。

自分が親になり、公立の学校はもちろん、私立、オルタナティブスクール、フリースクール、不登校とさまざまな道があるという事を知りました。


親として子どもの進路を考えるにあたり、勉強(成績)が上がる道、そうではないけれど本人が希望する道、どのように考えていったらいいでしょうか?

これから彼らが生きていく上で勉強というものは、学歴が重視されていた30年くらい前と変わっていくのでしょうか?

勉強が出来た人たちから見て、これからの「勉強」というものをどうお考えかお聞きしたいです。

--------

親御さまからの質問です。
親になったばかりの税所くん、
どうでしょうか?

「親としては先輩なので言いづらいですが、
ここはずばり答えますね(笑)。

僕が思うのは、
お母さんの好奇心を大事にしていただいて、
その好奇心を子どもにぶつけるのではなく、
自分自身が楽しんで、
学んでいる後ろ姿を
子どもにみせてあげることが、
いちばんいいと思います。

いい学校に行かせたいと思うなら、
自分も勉強をたのしんでやってみる。
好奇心を爆発させている親の姿が、
子どもにとっていちばん参考に
なるんじゃないかと思います。」

子どもではなくて、
自分がたのしむんですね。
税所くんもそれは意識していますか?

「そうですね。
今も社会で活躍している東大生に会うと、
たいがいの方が
「親に勉強しろと言われなかった」
と言うんです。
子どもは強制されて育つものでは
ないと思います。」

これからの子育てがたのしみですね。
なにかやってみたいことはあるんですか?

「恋は究極の好奇心って言いましたけど、
息子が小学生くらいになったら、
世界を旅しながら、
彼が恋しそうな素敵な女の子に
街を案内してもらいたいです。
そうしたら話したいけど話せない
じゃないですか。
そのできない辛さを体で感じてもらったら、
勝手に外国語を勉強したくなるはず
ではないかと(笑)。」

あははは、
その方法とってもいいと思います!
2018/08/23 14:17

質問にこたえます(2)

yoko.hasada
2018/08/23 14:17

質問にこたえます(2)

yoko.hasada


勉強したくても、どうしても他のことが頭を覆ってしまって、手をつけられないことがしばしばあります。
あのとき生意気なこと言っちゃったかなと不安になったり、好きな人やものに夢中になったりして、もういっろいろ考えてしまうんです。
気持ちに踏ん切りをつけるとき、なにか心がけていらっしゃることはありますか?

---------

「これは、とっても悩ましいですよね。
ある日の自分をみているようです。
おそらく大半の人がこう思っているのでは。」

わたしもふと気がつくと、
YouTubeをみてしまったり
映画をみはじめたりしちゃいます。

「気持ちに抗うのはむずかしいことですし、
むしろ興味のあるものがあることは
素敵なことだと思いますけどね。」

素敵なこと、ですか。

「僕も今だに、踏ん切りをつけるのは無理です。
いろいろ工夫しましたが、
それくらい難しくて、たいせつな感情なんだなと思うようになりました。
むしろ恋をすることや趣味があることを
いけない、と矯正しようとする意識が
ストレスになると思います。
実は素敵な感情ですし、
あらがうことは難しい、ということを
知るだけでも大事ですよね。」

好きならとことん
ハマってみるのはどうでしょうか。

「いいと思いますね!
あんまり無責任なことは言えないですが、
試行錯誤してみてみつけていきましょう。」
2018/08/23 14:15

質問にこたえます(1)

yoko.hasada
2018/08/23 14:15

質問にこたえます(1)

yoko.hasada
では、そろそろ質問にこたえましょうか!
お好きなものを選んでいただけますか?

「これ、ものすごくいい質問ですね。
これは答えたいです。」



自分は中学2年生です(男子)
いい高校に入りたいのですがなかなか勉強へのやる気が出ませんどうしたらもっと勉強がはかどるでしょうか

--------

「まず、いい高校、なんてないです!
だから、いい高校という定義を
具体的にすべきですね。

自分がなんとなく好きだと思える
高校をみつけて、
見学に行ってみてはどうですか。
そうしてたのしそうな先輩をみつけたり、
この子は男子だからきれいな人やかわいい人をみつけるといいと思います。
こんな人たちに会いたいな、
ここで学びたいなと
宝探しみたいに「いいな」をみつけながら、
頭ではなく心で感じるんです。
メモなんてとっちゃだめですよ。
身体中の毛穴を開いて、
自分で感じるんです!

3−4校訪問すれば
ピンとくる学校がみつかると思います。
そこは自分の直感を信じましょう。
そこに行くためにどうしたらいいのか考えると
やる気が出て勉強がはかどると思います。」

夢のキャンパスライフを
思い描くことが大事ということですね!
ありがとうございます、
それでは次の質問にいきましょう。
2018/08/23 14:08

好奇心の育て方

yoko.hasada
2018/08/23 14:08

好奇心の育て方

yoko.hasada
税所くんのように好奇心を育てるには
どうしたらいいのでしょうか?

「僕はおもしろそうなことがあったら、
その人に対してアプローチをして、
足を動かして会ったり話したり行動をして、
また誰かに会って、行動して、を
ただただ繰り返しているんです。

原点になったのは、
秋田大学の坪井先生にお会いできたこと。
『グラミン銀行は知っていますか?』という
本がとてもおもしろかったので、
思いきって著者の坪井先生にお電話しました。
そこで会いに行って、話をして、
グラミン銀行に行くことになりました。

そうやって人に会うことと行動することを
繰り返していると道がぐっと広がって、
お告げのようにアドバイスをもらいます。
また次のステージでアドベンチャーがあって、
クリアするとお告げをもらえる。

尊敬するライフネットの出口さんの教えで、
坪井先生とのやり方をくりかえせば、
いくらでも好奇心が広がると言われました。

つい最近も、子どもをきっかけに
絵本を自分でつくりたくなったんです。
それで国士舘大学の先生にお会いしたり、
魔女研究を45年以上つづけている
絵本作家の方にお会いしたりしました。
彼女が行っていたのは、
大事なことは「本と旅と人」だと。

彼女と話していたら
好奇心が無限大なんですよね。
「魔女」という夢中になれるものが
ひとつあるだけで、
いろんなことを観察できるし
宝物に出会えるんだと思いました。
正直、まいったなって(笑)。

80歳以上の戦争や飢餓を体験している世代の
生きてきた振れ幅、
人間としての洞察力の深さはすごいです。
そういう人たちに会うと、
20代で成功しようとしていた自分が
とても小さくみえます。
今はもっとそういう人たちにも会いたいですね。」

でも20代のころって周りに流されて、
焦ってしまう気持ちはわかります。
そういう人に対して、
今ならどんな言葉をかけたいですか?

「僕自身、ある程度やりきったから
80歳の彼女に会ったときに
小ささを実感できたと思うんですよね。
だから一回やりきりましょう、
と思います。
どうせ壁にぶつかるんだから、
挫折しようぜ、と。
やりたい人を止めることはできないし、
しょうがないと思います。」

情熱があるなら、
そのまま突っ走ろうぜと。

「そうですね。
思いっきりやってみましょう!」