時代を超えて長く着られる
「ニューベーシック」を提案する日本のブランド、
「TICCA(ティッカ)」が
「weeksdays」に初登場します。

 traditional /伝統的な、歴史的な、正統の
 individual /個性的、個々の、個人
 contemporary /現代的な
 comfortable /心地よい、快適な
 attractive /魅力的、かっこいい
という5つのキーワードが名前の由来。
形はベーシックでも、10年後、20年後、30年後と、
ヴィンテージになっても残っていくような、
うつくしくて長く着られる製品をつくるため、
TICCAはどんな努力をつづけてきたのでしょう?

ブランドがスタートした年に営業として加わり、
現在はデザイナーを務める上村功さんに、
ブランドのあゆみや服づくりの技術のこと、
そして今回扱う
「シャツチュニックプルオーバー」の魅力について、
伊藤まさこさんがお話を聞きました。

上村功さんのプロフィール

上村功 うえむら・いさお

TICCAデザイナー。
ブランドのディレクションや商品開発を担当。
桑沢デザイン研究所
ファッションデザイン専攻科夜間部を卒業後、
レディースブランドやメンズブランドで、
商品企画、営業、生産など
服作りに関わるさまざまな仕事を学び、
株式会社FLAPPERSに入社、現在に至る。

「好きなことが仕事になりました」
という、生粋のものづくり人。

01
技術のバトン

伊藤
はじめまして。
上村さんがデザイナーになろうと思われた
きっかけから聞かせていただけますか。
上村
中学生くらいからファッションが好きで、
卒業したあと、昼間に働きながら
「桑沢デザイン研究所」(渋谷区にある
デザイン専門学校)の夜間コースに通いました。
最初に就職したのは
いろんなブランドの服を作るOEM
(Original Equipment Manufacturing/
外部の工場に商品の生産を委託すること)の会社で、
そのあとメンズブランドに転職し、
企画、営業、生産まで担当しました。
いろんな経験を積んで、
今はTICCAでデザイナーをさせてもらっています。
伊藤
営業からスタートして、今はデザインも。
アパレルにかんするいろいろな仕事を
幅広く経験されてきたんですね。
TICCAに入られたのはいつ頃ですか。
上村
10年ほど前、
僕が前の会社で営業をしているときに
TICCAを展開しているフラッパーズ
(アパレル、小物のセレクト企業)の
長島(現フラッパーズ社長)と出会って、
「うちへ来ないか」
と誘っていただいたんです。
ちょうどTICCAが1年目のときですね。
伊藤
誘われたとき、
すぐに転職を決意なさいました? 
上村
実は長島からはそのさらに10年前、
つまり今から20年ほど前に、
営業職として声をかけていただいたんです。
でも、そのとき僕は20代で
夢を追いかけていたというか‥‥、
OEMの会社で働いて、
服を「作る」方に力を入れていたので、
お断りしたんですよね。
伊藤
じゃあ、二度目のお誘いだったんですね。
一度目に断られて二度目に受けられたとき、
上村さんはどんな状況でいらしたんですか。
上村
二度目に誘ってもらった頃は、
ブランドで服を作るという道が一筋縄ではいかず、
メンズブランドからさらに小さいOEMの会社に入って
営業として働いていたときでした。
だから、夢を忘れたような気持ちでいたんです。
それで、誘われてTICCAに入ったときも、
作る側ではなく営業職でしたけれど、
1年ほど経った頃かな、
「まだ何もあきらめる必要はないな」
って思えたんですよ。
ここでなら何でもできると、考え方が変わりました。
実際に今は営業もしながら
デザイナー兼ディレクターとして働けているので、
本当にありがたい限りです。
伊藤
TICCAに入って考え方が変わられたのは、
そのお仕事がたのしくなってきた、
というのもあるんでしょうか。
上村
それは大きいと思います。
20代~30代の頃はやりたいと思っても
経験や立場的にできないことが多かったので、
自分が年を重ねたという部分もあるのかもしれません。
アパレルはシーズンごとに新商品を出すので
かなり忙しいときもありますけど、
今は好きなことができて幸せだなと思います。
今一緒に仕事をしてくださっているのは、
世界でもトップレベルのものを作っていらっしゃるような
日本が誇る職人さんたちなので、
光栄ですし、やりがいもあって
すごくたのしいです。
伊藤
そういうお仕事を引き受けてくださる方たちは、
徐々に増やしていかれたんでしょうか。
上村
まさにそんな感じです。
TICCAをスタートした一年目には、
相手にもしてもらえなかった人たちもいますから(笑)。
伊藤
そこから、
どうやって受けてくださるように?
上村
まず、断られる理由として
先方がTICCAというブランド自体を知らない、
というのがあったんですが、
だんだん、店頭やメディアを通して
生産者の方たちの目にも
留まるようになったんだと思います。
伊藤
メディアに取り上げられるのも、
最初はお客さんが着てくださって
ちゃんと良さが伝わったからですものね。
すごいことですよ。
上村
自分たちが成長して
ブランドの知名度が上がれば、
生産者のみなさんのところにも
熱意が伝わるんだなと思えました。
シャツの縫製を依頼している工場は
依頼を受けていただくのに
2年くらいかかりましたけど、
何度断られてもアプローチし続けました。
最終的に受けてくださった理由には、
僕らがまとまった数を継続して発注できるようになった
ということもあると思います。
伊藤
作る側の方たちにとって、
それは大事なことでしょうね。
上村
すごく切実な問題です。
日本には本当に素晴らしい技術があるんですけど、
いっぽうで、技術者の高齢化や後継者不足といった問題に
直面しているのが現状です。
そういった中で僕たちは何ができるかというと、
継続して、まとまった量の仕事をお願いすること。
そして、でき上がった「いいもの」で
お客さまによろこんでいただく。
そうやってバトンを回して
技術をつないでいくというのが、
僕たちTICCAの仕事だと思うんです。
伊藤
ほんとうにそうですね。
そのリレーが今、順調ということですね。
上村
はい。
ありがたいことに
作ってくださる仕入先さまにもお客さまにも
ご協力いただいて、
自信を持って「いいもの」をつくらせていただいています。
(つづきます)
2026-09-21-MON