이블(イブル)
はじめてソウルを訪れたのは、
20年くらい前。
布の美術館や博物館をめぐり、
旅から帰ったあと、
自分なりのポジャギ(*)を作る‥‥という取材。
毎日、朝から晩まで、
目にするのは布、布、布。
とくに問屋街の物量には圧倒されたものでした。
限られた時間で、
気に入りの布を探すというミッションを抱え、
必死に問屋街を歩き回る私。
それでも、
疲れないし、飽きることなどない。
「好き」という気持ちはすごいのです。
昨秋、娘と久しぶりにソウルを訪れ、
問屋街に入ったとたん、
思い出したのは「イブル」という存在。
そうそう、こんなキルティングの生地、
前も見た気がする。
いや、でもだいぶ洒落たものになっているぞ。
その時会った友人に、
イブルって韓国の人にとってどんな存在?
と尋ねると、
「?」と不思議そうな顔。
あまりに生活に定着したもの過ぎて、
今の私たち日本人から見た「おしゃれ」なイメージに、
ピンとこないんですって。
今週のweeksdaysは、
韓国のイブルをご紹介。
今の私たちの暮らしに合うような、
シックでシンプルなものができましたよ。
(*)ポジャギは褓子器と書き、韓国伝統的の布。
端切を縫い合わせてパッチワークでつくる。
日本の風呂敷のように物を包んだり、飾ったりして使う。
伊藤まさこ
2025-12-19-FRI