白い石から

「知ってる?
天草では、日本で最も白い陶石が採れるんだよ」

ある時、
私にこんなことを教えてくれた知人がいました。
どうして天草に白い石が?
興味を持って出かけたのは、
今から5年前のこと。

地元の人の案内で、天草をまわるうちに
こんなことを知りました。
島には長さ4キロメートルにもおよぶ、
「皿山脈」と呼ばれる鉱脈があること。
その陶石の特徴は、
にごりのない
澄んだ白色なのだということ。

旅のおみやげは、
昔、船着場だったという海岸で拾った、白くてまん丸な石。
なんでも、日本各地のやきものの産地に運ぶ際に、
こぼれ落ちた陶石が、
波にもまれて丸くなったものなんだって。

家に帰って、その石を見るたび、
いつか澄んだ白い磁器の器が作れたらいいなぁ、
そう思っていました。

どんな形?
立ち上がりは?
大きさは?
デザイナーの猿山さんに相談し、
試行錯誤を重ねて、
やがてできあがったのがこの器。
5年越しの思いが実って、
うちのテーブルに来た時は、うれしかったなぁ。

今週のweeksdaysは、
猿山修さんと作った磁器のお皿を紹介。
器ができあがるまでの話や、
できあがってからどう使うか? などなど。
対談もどうぞおたのしみに。

伊藤まさこ

2019-02-15-FRI