今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。

写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子

坂井真紀さんのプロフィール

坂井真紀 さかい・まき

1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近では日本テレビ系列の朝の情報バラエティ
『ZIP!』で金曜パーソナリティを務めた。
「weeksdays」では2021年のコンテンツ
「同世代。」に登場。

●公式サイト

04
だんだんと

伊藤
最後に、今後の「weeksdays」の参考に
聞かせていただきたいんですが、
「こういうの欲しいんだよな」とか
「こういうの足りてない」ものってありますか?
服とか靴とか、インテリアでもいいんですけど。
坂井
靴。
伊藤
靴!
坂井
まさこさんはヒールを履きますか?
伊藤
はい。歩けないけど。
だからほとんど歩かない時、
つまり車でレストランに行くとか、
旅先でホテルの部屋からダイニングに行く時に。
坂井
やっぱりそうなりますよね。
歩きやすいヒールってあるんでしょうか。
あったら欲しいんですが、
ヒールってもともと、
いっぱい歩くためのものじゃないですよね、
おしゃれの歴史としても。
──
16世紀のフランスで
道に犬の落とし物とか汚物が放置されていたので、
スカートの裾が汚れないよう
広まったと言われていますね。
伊藤
そうなの?! 
でも『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリーは
すっごいヒールで、落とし物を踏んでましたよ。
で、道で洗ってた。
‥‥なるほど、歩きやすいハイヒールの靴。
坂井
うん! 
伊藤
今日履いていただいたトリッペンみたいに
ソール全体がしっかりしてて、
上げ底になっているタイプは歩きやすいけれども、
細いヒールでは難しいかもしれないですね。

IMAN DOUBLE-BREAST COAT(BLACK)/COGTHEBIGSMOKE
IMOGEN SHIRT ¥64,900/COGTHEBIGSMOKE
IDA LONG SKIRT ¥68,200
ブーツ ¥108,900/trippen(トリッペン原宿店)

坂井
歩きやすい靴でも、
スタイル良く見えて。
もうちょっと遊べるものというか。
伊藤
なるほどね。
坂井
今、靴が、後回しになってるんです、私。
だからスニーカーとか、
うんとシンプルなものを選んでる。
ちなみにサンダルを履くときは絶対黒にしてるんです。
伊藤
そっか、確かにそのイメージ。
なぜ黒がいいんですか。
坂井
何にでも合うからです。
伊藤
お仕事の現場に行ったら着替える、
っていうこともあると思うな。
仕事ではいろんなタイプの靴を履くし。
坂井
そうそう、そのために
脱ぎやすいっていうのも考えます。
だからきれいな色の靴、
赤とか差し色で、
使える靴が欲しいですね。
伊藤
ボアがついてたりとか
そういうので冒険とかもできますものね。
ところで、真紀さん、
お仕事でこれから挑戦してみたいこと、
ありますか? 
坂井
やってみたい仕事というか、
ご一緒したい監督はいらっしゃいますね。
でも、私、今、坂井さんに
こういうことをやって欲しいって言われるだけで、
すごく嬉しいんですよ。
伊藤
投げかけられるのが。
坂井
はい。いろいろやらせていただいてきた中で、
どんなことを私に期待してくれているのかなって。
で、その作品の中でしっかりと
役に立てたらいいなと思ってます。
年を重ねていていますので、
ちゃんと存在が豊かでありたいって思います。
ここ最近もいろんなお母さん
やらせてもらっていますけれど、
もっとかわいい息子・娘を増やしていくぞ、
なんて気合を入れています(笑)。
伊藤
そうか、じゃあ逆に、イメージと違うような、
おおっ、みたいなことを投げかけられると、
よっしゃ! みたいな。
坂井
そう、うれしいです。
お母さんじゃない役もまた嬉しい。
この前も『だが、情熱はある』っていうドラマで
森本慎太郎さん演じる
山里亮太さんのマネージャーさん役、
すっごく楽しかったですね。フフフ。
伊藤
その時も、
この人はこういうところに住んで、
みたいなことを考えて?
坂井
そうですね。あの役には
モデルになっている方がいらっしゃったのですが、
リアルな経歴と
そこからイメージすることをミックスし考えました。
伊藤
それを思うと、わたしのスタイリングは、
わりと自分中心。
たとえばインテリアも「こういう部屋に住みたい」、
料理も「この器ならいいな」なんて
気持ちの部分が大きい。
坂井
でもまさこさんが提示してくれてるものって、
まさこさんのストーリーですよね。
それが素敵なんです。
伊藤
「わたし」がうるさくないですか?
坂井
うるさくないですよ。
私たちはフィクションを作ってますけど、
まさこさんはそれこそ
ひとつのインテリアの中に
娘さんとのストーリーがあったり、
お料理の中にお母様とのストーリーがあったり。
それが私たちのストーリーと重なったり、憧れたり、
もっと知りたいまさこさんの物語。
ちょいちょいそのお母様の夜ご飯、食べてみたいです、
っていうふうになってます。
大丈夫、もっとうるさくても
いいぐらいですよ、まさこさん。
伊藤
本当? じゃあ塩梅を見ながら‥‥。
うるさめになってきたら言ってください(笑)。
坂井
ハハハ。そんなことない。
もっと知りたいなって思ってます。
伊藤
はい。
みんなからも質問ありますか。
──
ハイ! 観ている人を良い気持ちにさせたい、
楽しい気分にしたいとおっしゃったんですけど、
それって30年重ねてきて思うようになったんですか、
それともキャリアの最初の方から
そういう思いでお仕事をされてきたんですか。
坂井
20代の、仕事を始めた頃は「自分、自分」でした。
次はこんな役をやりたい、この映画に出たい、と、
やりたいことがいっぱい溢れていました。
でも、だんだんと、ですね。作品が世に届き、
見てくれた方の反応があると嬉しいですし、
母親になったこともすごく大きいと思います。
どうしても子どもを通して
世の中のことが気になりますし、
自分自分ではなく、
子どもの未来のことが気になります。
だから社会がちょっと良くなったり、
優しい気持ちになったり、
届けた作品でそういうふうになったら嬉しいなと。
伊藤
だって、人間を1人生んだんだものね。
すごいことですよ。
坂井
そうですよね。
まさこさんも生んでるんです。
伊藤
わたし、生んだ時に、
大変なことをしてしまったってすごく思いました。
坂井
育児はやめられないですもんね、途中で。
伊藤
そう。でも今となっては
それがわたしを育ててくれたんだなと思います。
20代のまま50代になってたら、
今、すごくわがままだったと思う。
坂井
ハハハ。
伊藤
「そっか、世の中には
思い通りにいかないこともあるんだな」と、
わかったのもよかったです。
坂井
思い通りにならないことの方が
多かったりしますもんね。
──
坂井さんは息抜きってなにかあるんですか。
リフレッシュ方法は‥‥。
伊藤
お酒?
坂井
そうですね、1杯飲むのは
すごくリフレッシュになるかな。
仕事終わってプシュッって。
あとは、午前中空いたら映画館に行って
映画を観たりとか、
大きめの仕事が終わったら
ちょっと旅行に行ったりとか、
そういう自分の時間ですね。
伊藤
そっか、気分転換って必要だものね、
誰しもが。
坂井
でも忙しい時は走り続けなきゃいけないので、
今はその走る時期だって思っています。
だから1杯飲むのがリフレッシュ。
伊藤
走り続けながら、自分にとっての
インプット的なことってどうしていますか?
坂井
そこは本当に大事で、
少しの時間でも見つけて、
本を読んだり映画を観たり舞台に行ったり、かな。
あと、人と会うことですね。
だからまさこさん、一緒にご飯行ってください。
伊藤
もちろんです! 
わたしは絶対5時には仕事を終えるので、
お誘いください。
坂井
そうですよね、まさこさん、5時まで。
そのためにちゃんと組んでるんですもんね。
伊藤
息切れしちゃうから、
マイペースに仕事させてもらってるんです。
坂井
それでも朝のルーティンだったり、
お片付けしてっていうことを毎日ちゃんとやられて。
伊藤
決めごとではないんですけれどね。
真紀さんには朝のルーティーンとかありますか?
坂井
玄関をきれいにすることと、
娘がしないカメの世話をすること、
植木に水をあげることかな。
伊藤
ふふふ。真紀さん、今日はほんとうに
ありがとうございました! 
またぜひご一緒させてくださいね。
坂井
ほんとうに! ありがとうございました。
(おわります)
2023-11-01-WED