今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。

写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子

坂井真紀さんのプロフィール

坂井真紀 さかい・まき

1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近では日本テレビ系列の朝の情報バラエティ
『ZIP!』で金曜パーソナリティを務めた。
「weeksdays」では2021年のコンテンツ
「同世代。」に登場。

●公式サイト

01
新人の頃のように

伊藤
真紀さん、今日は撮影モデルを
ありがとうございました。
デビュー31年の凄みを感じましたよ。
みんな鳥肌が立って! 
坂井
ふふふ、うれしいです、
こちらこそありがとうございました。
私がまさこさんの世界観が
好きだからだと思います。
伊藤
わたしもとても嬉しいです。
今年は、お洋服、買いました?
坂井
今年‥‥うーん、私。
「ずっと働いてたよね」って、
マネージャーさんによく言うんです。
伊藤
あら。
坂井
仕事ばかりで、買い物に行っていないんですよ。
サンダルを買ったくらいかもしれない。
伊藤
そっか、そんなにたくさん
仕事をしていたんですね。
坂井
仕事をしてましたね。
まさこさんはお買い物は?
伊藤
それがわたしも減ったんです。
半年ぐらい前から、
買う機会を少なくしようと決め、
すぐにとびつかずに、
なるべく手持ちのものでやりくりしよう、
っていうふうに考えるようにしよう、って。
坂井
とはいうものの、お仕事上、
買うことは必要ですよね。
伊藤
そうなんです、まさしく「仕事だから」を
言い訳に買い物をしていたんです。
だからそこから考えをあらためよう! って。
坂井
ハハハ! どうですか、
実際にそうなさってみて。
伊藤
それがまだ実感がないんです。というのも、
決意したのが、
秋冬ものが立ち上がった半年前、
いろいろとオーダーした直後で。
その服が今、届きはじめたので、
「買い物に行く」という行動は減ったものの、
家にはあたらしい服があるんですよ。
だからたぶん、来年の春夏シーズンくらいに、
なにも届かなくなって、
実感するんじゃないのかな。
真紀さんは、
スタイリストさんが集めてくださった服を
撮影や取材で着る機会があると思うんですが、
そういうものを買い取ったりも?
坂井
あまり、していないですね、
買い物といえば、
まさこさんにおつきあいいただいて、
お正月に横浜の中華街に行きましたよね。
私、もう一回、
中華街に買い出しに行きたいです。
伊藤
そろそろ、季節もいいし、ぜひ! 
あの頃から今までお目にかかる機会が
ありませんでしたが、
お買い物をしなかった、というほかにも、
真紀さん自身の変化ってありましたか。
坂井
変化‥‥なんだろう? 
まさこさんはありましたか? 
伊藤
娘がだいぶ大きくなったなと感じていることが、
一番かもしれないです。
坂井
その変化は私もわかります。
私の娘も6年生になったので、
随分と楽になりました。
そのおかげもあって、
仕事も忙しく過ごすことが出来たんですが、
だからこそ、改めて、よりこまやかに
仕事への努力をしなきゃいけないと思いました。
伊藤
お仕事への姿勢、すごい!
忙しいと、ちょっと雑になったりしそうだけれど、
そんな時にこそ? 
坂井
はい。一個一個大変だからこそ、
一個一個丁寧にやろう、
忙しいからといって雑になっちゃいけないなって。
雑になりそうだったら、駄目だ、待て待てよって、
そう思いました。
それって生活でもなんでも同じですよね。
ちゃんと自分に積み重なっていく気がします。
だから、ずいぶん、歯を食いしばりましたね。
伊藤
歯を食いしばる! そんなに。
坂井
まさこさんは、食いしばったこと、ありますか。
伊藤
なんだろう、そうだなぁ‥‥どんなお仕事も、
わたしが雑になったら、いけないじゃないですか。
それではチームのみんなも困ってしまう。
だから「ここでわたしがちゃんとしないと!」
っていう意味では、わたしも、
ちょっと食いしばっているのかもしれないです。
坂井
そう思いますよ。
でも、食いしばるっていう表現は、
あんまりよくないかな? (笑)
伊藤
どっちかっていうと「踏ん張る」感じ?
坂井
そうですね! 私も「踏ん張り」ました。
伊藤
具体的には、どんなふうに? 
坂井
もう寝たいな、と思っても、
もう一回ちゃんと
台本を整理してから寝たほうがいいな、とか。
伊藤
新人の時に戻ったような感じ?
坂井
そうですね。
長く仕事をさせていただいてきた分、
“ちょうどいい抜き方”を覚えてきたんですけれど、
あえて、仕事については
新人の頃のように考えました。
そして家のこと、子どものことも、
しっかりやろうと。
お弁当をつくることもそうですし、
娘のおやつの準備や、
習い事の先生とのやり取りや、
夜にはまた次の日の段取りを考えて、
また仕事のことも考えて、と。
そんなとき、まさこさんの
『する、しない。』の本を読んだんですよ。
あの本で、私、すごく頭の整理ができたんです。
伊藤
わぁ、ありがとうございます! 
坂井
忙しいからこそ、することとしないことが
クリアになるんだって思いました。
それこそ、忙しいけれども、
玄関の掃除は「する」。
その方が気持ちいいですし。
伊藤
じゃあ逆に「これはしない」っていうことも?
坂井
ありました。本に書いてあったことですが、
子どもって、片付けてって言っても片づけないし、
どうしても、物が多くなるって。
それを読んで、まさこさんの家も
そうだったんだ、そうだよね! って
気持ちが楽になりました。
片づけても片づけても片づかないことが
ストレスになっていたのですが、
「今は仕方ない」って。
だからものを減らすことも、
そこに時間や手間を使うことも「今はしない」。
「今はこういう時期なんだもの、これで大丈夫!」
って思えるようになったんです。
伊藤
どうにもならないことっていっぱいあって。
前だったら
「どうしてうまくいかないんだろう? もう!」
なんて思うこともあったけれど、
最近は「しょうがないよね、
なるようにしかならないし」
って思うようになってきたんです。
坂井
さっき踏ん張るって言いましたけど、
それも自分に無理をするわけじゃないんですよね。
「こうじゃなきゃダメ」なんて。
伊藤
ね。
それは50代に入ったゆえの図太さなのかな。
(つづきます)
2023-10-29-SUN