展示会で「わぁ!」と目を惹いた、
イタリア製の白いコート。
洗いをかけたカジュアルな素材感、
袖を通すと軽くて着心地よく。
きちんと見えて、ちゃんと大人っぽい。
そしてどんな服とも合わせやすそう‥‥。
それがTANDEM(タンデム)という
イタリアのブランドとの出会いでした。
このブランドを日本で紹介してきた
STOCKMANの尾上久美子さんに、
TANDEMのこと、このコートのことをお聞きしました。

(聞き手=伊藤まさこ)

尾上久美子さんのプロフィール

尾上久美子 おのうえ・くみこ

2002年(株)ストックマン入社。
第2営業部にてイタリアブランド
TRANSIT PAR SUCH、
TAMDEM、TRANSIT UOMO、
デンマークブランドKRISTENSEN DU NORDの担当として
ホールセールに従事。
一時都合により退職、
その後2019年再入社し現在に至ります。

ちなみに、TANDEMを輸入販売しているのは
株式会社ストックマン(STOCKMAN)。
1974年、青山のキラー通りに
ウエスタンショップ「Bailey Stockman」
(べーリー・ストックマン)として誕生、
78年からヨーロッパの服の輸入販売を始めました。
「TRIPPEN」「Harriss」などを扱う
「金万」の金子誠光社長
STOCKMANの先代社長の弟さんなんですよ。

●STOCKMANのwebsite

全1回
STOCKMAN 尾上久美子さん
インタビュー

伊藤
尾上さん、今日はどうぞよろしくお願いします。
TANDEMの白いコートがとても素敵で、
「weeksdays」で
取り扱わせていただくことになりました。
はじめまして、のブランドになりますので、
成り立ちなど、お聞かせいただけたらと思っています。
尾上
どうもありがとうございます、
よろしくお願いします。
TANDEMは、1997年に立ち上げたブランドになります。
もともとはイタリアのヴィチェンツァという、
ベニスに近い、イタリア北部の町に拠点を持つ
TAM & COMPANYっていう会社が所有している
ブランドのひとつなんです。
先にTRANSIT PAR SUCHというブランドがあって、
その妹ブランド的な形で
TANDEMがスタートしたんです。
イタリアの会社なんですけれども、
販売会社がドイツに拠点を置いていることから、
ヨーロッパの各地で取り扱いがあるんです。
伊藤
STOSKMANが日本に紹介したのは、
いつ頃からだったんですか。
尾上
TAM & COMPANYとは、
TRANSIT PAR SUCHが立ち上がった1986年の
翌年ぐらいからのお付き合いなので、
もう35年を超えました。
伊藤
なんと! 長いお付き合いなんですね。
尾上
TANDEMも25年を超えました。
長く続いているブランドなんです。
伊藤
どういう感じのお客様に? 
やっぱり大人のお客様ですよね。
尾上
ブランドの対象年齢は
ノーエイジと言っているんですけれども、
実際、20代半ばぐらいの方から40代、50代と、
幅広いんですよ。
伊藤
日本には、直営店が? 
尾上
TANDEMという名前での
屋号のお店はないんですけれども、
TRANSIT PAR SUCHというお店があるので、
そこで一緒に展開しています。
伊藤
玉川高島屋で拝見したことがあります。
尾上
はい、玉川高島屋でも扱っています。
そこはセレクトなので、一部の取り扱いになっていますが、
TRANSIT PAR SUCHの直営店ですと、
TRANSITが6割、TANDEMが4割ですね。
メンズのもあるので、そちらも展開しています。
ほかには、各地のセレクトショップでも
お取り扱いいただいています。
伊藤
これだけ長い歴史のあるブランドですから、
日本のお客様も、長くファンでいる方が多いでしょうね。
尾上
はい、長い方も多いですし、
新しくファンになっていただく方もいらっしゃいます。
素材重視ですので、一度、袖を通していただくと、
好きになっていただくことが多いですね。
それでリピーターになってくださるんです。
もうTANDEMしか買いません、
なんておっしゃってくださる方も。
伊藤
わぁ!
尾上
TANDEMの専門店があっても
いいのかなとは思うんですけれど、
なかなかそこまでは。
伊藤
その2つのブランドの違いは、
どんなところにあるんですか。
尾上
デザインから出荷まで全て一貫しておこなっているのは
TRANSITもTANDEMも一緒なんです。
原糸1本から選んで、製品をつくりますから、
素材感や工程は同じなんです。
工場も、ハイテクな機械から、
昔のいわゆる機織りみたいなものを使ったりして、
新旧いろいろな技術を駆使し、
他にはないみたいなものをつくりあげています。
ただ、ターゲットにしている方として、
TRANSITのほうは強い女性のイメージ。
TANDEMはロマンチックな
デザインを得意としていますから、
もう少しフェミニンな印象ですね。
伊藤
なるほど。
展示会を拝見していると、
すごくアイテム数が多いですよね。
すごいことだなと思います。
尾上
デザイナーが1人じゃなく、チームなので、
いろんなタイプのデザインをつくることができるんです。
そして工場はすぐ隣にありますので、
アイデアからデザイン、製作まで
一貫したものづくりができる。
これが工場の風景です。
原糸が山積みになっていて、
その隣には、反物の生地が
バアーっと並んでいます。
イタリアの、いわゆる職人さんの技で
つくられているっていうのは、
過言ではないと思います。
伊藤
ナチュラルなカラーが多いと思うんですけど、
今回のコートは、白といっても、
ちょっとニュアンスがありますね。
尾上
そうですね。これは「サンド」と表現しています。
こんなふうに独特な色合いなものが多いのも
TANDEMの特徴の一つです。
ほとんどの製品が、製品染めをおこなっているんですね。
だからやさしい風合いと、
こうした微妙な色が出せるんです。
伊藤
着てみると、とても軽くて、気持ちいいですよね。
尾上
ありがとうございます。
気持ちいいですよね、ほんとに。
薄手の春物のコートですけれど、
重ね着をすると保温効果もありますから、
長くお使いいただくことができますよ。
伊藤
そうですね。夏以外は大丈夫。
3月ぐらいから着られそうですよね。
尾上
全然、大丈夫です。
形もきれいですしね。
伊藤
きれいですね、ほんとうに。
着るとわかりますよね。
尾上
そうなんですよ。
ほんとうは着ていただくのが一番いいんですけど、
このコートに関しては、
どんな体形の方が着てもきれいになる形に
デザインされているので、
サイズさえ合えば、身長も関係なく。
伊藤
ほとんどのアイテムがご自宅で洗濯できる、
というのも、嬉しいですよね。
尾上
そうなんです。それも特徴の一つです。
おしゃれ着用の洗剤で、単体で、手洗いしていただければ。
愛着がわくんですよね、自分で手で洗うと。
それゆえに長く使っていただけるんだと思います。
伊藤
そうですよね!
尾上
乾かす時は、ラグランスリーブの
肩が出ないように気をつけてくださいね。
伊藤
はい。このラグランスリーブっていいですよね。
尾上
そうなんですよ。
でもスポーティというよりはきれいにすっきり見える。
そこもちゃんと計算して、パターンを引いているんです。
伊藤
この形は初めてだとか?
尾上
初めてです。
トレンチっぽいものはよく出すんですけれども、
毎回、形を変えていて、
このタイプはこれが初めてです。
伊藤
色は、TANDEMではおなじみの印象ですね。
尾上
はい、ベーシックカラーなので、
こういった色はよく出てきます。
ただ染料も独自でつくっているので、
いつも全く同じ色っていうわけじゃないんですよ。
同じサンドでもシーズンによって変わってきます。
けれども、新旧の色に統一感がありますから、
合わせやすく、それゆえ買い足しができて、
長く使っていただけるブランドになっているんです。
伊藤
全部をTANDEMで揃えるのもいいでしょうね。
けれども他のブランドとかにも合いそうです。
ベーシックゆえに。
尾上
そうなんですよ。
存在感はあるんですけど、
主張しすぎないというか、
優しい色合いということもあり、
たとえばハイブランドでも
じょうずに合わせらますよ。
伊藤
この、ほどよいハリ感もいいんです。
旅行のお供にいいな、って。
尾上
クシャクシャってバッグに入れておいても、
全然、シワが気になることはありません。
伊藤
そうですね。
そのシワがきれい、というか、
シワがすてきなんですよね。
尾上
はい、逆にちょっとシワがあるほうが、風合いがあって、
ちょっとかわいいなって思います。
でもきっちり伸ばしていただいてもいいですよ。
強い折りじわができたときや、
きれいめに着たいときなどは、
スチーマーをあててくださいね。
伊藤
アイロンはかけないですよね? 
尾上
はい、基本はかけずにお願いします。
洗いをかけているので、
その風合いを楽しんでいただけたら。
伊藤
よくわかりました! 
尾上さん、お忙しいなか、ありがとうございます。
母体のSTOCKMANが輸入なさっているブランド、
毎シーズン、注目しています。
またぜひご一緒できたらと思います。
尾上
嬉しいです。ありがとうございました!
(おわります)
2023-02-26-SUN