デザイナーの岸山沙代子さんひきいる
人気ブランド「saqui」(サキ)。
幾度か重ねてきた「weeksdays」とのコラボも、
毎回、たいへん好評をいただいています。
そして2022年の夏の第一弾は、
ダンガリーのワンピースと白いバッグ!
岸山さんと伊藤さんのふたりに、
その制作にかかわるお話をききました。
(夏のコラボは第二弾もあります、おたのしみに。)

岸山沙代子さんのプロフィール

岸山沙代子 きしやま・さよこ

大学の家政学部で被服を学んだのち、
手芸・服飾系の出版社へ。
働きながら「東京立体裁断研究所」に通い、
立体裁断を学ぶ。
別の出版社に転職後、伊藤まさこさんの担当に。
編集者歴10年を経た頃、
デザイナーになる夢をかなえるべく、渡仏、
パターンの学校へ通う。
パリでの3年を経て帰国、自宅をアトリエにして
「SAYOKO KISHIYAMA (サヨコキシヤマ)」名義で
自身のデザインによる服づくりをはじめる。
2016年「saqui」をスタート。
そこから年に2回のコレクションを発表しつづけている。

[interview]saqui 岸山沙代子さんのこと。

その2
ダンガリーをエレガントに。

伊藤
それでね、saquiだったら、
ダンガリーという素材を使っても、
きっとカジュアルになりすぎない
ワンピースをつくってくれるに違いないと思ったんです。
──
ダンガリーには「薄手のデニム」に近い印象から、
うんとカジュアルでタフな、ウエスタンなシャツを
イメージするかたもいらっしゃいますからね。
それをエレガントなものに。
岸山
そうなんです。「ダンガリー」というキーワードだけで
「weeksdays」らしいワンピースを考えるのに、
少し迷ってしまって。
だから、「伊藤さん、どんなワンピースがいい?」って
逆に聞いたんです(笑)。
そうしたら、伊藤さんが、
すぐにアドバイスしてくださったんですよ。
saquiの今年の春夏ものにあった、
白いギャザーのVネックの
ちょっとチュニックぽいブラウスを指して、
「あのかたちをベースにした
ダンガリーのワンピースがあったら、
かわいいんじゃないかな?」と。
それで「ほんとだ!」と思ったんですよ。
伊藤
そうしたら、さすが! なんです。
ただ長くしただけじゃなく、
ワンピースとしてすばらしいものを
つくってくださった。
丈感とか裾のカットとか、もう!
岸山
ああ、よかった。
伊藤
このデザインがあまりにすてきなので、
ダンガリーで、とは言ったものの、
おもいっきりエレガントな生地にしてもいいのかな? 
どうなるんだろう? と、saquiでおなじみの
イタリアのサルティのきれいな生地で
サンプルをつくっていただいたんですよ。
岸山
はい、つくりましたね。
伊藤
で、それは、すごーく素敵だったんだけれど、
わたしの思い描く夏のイメージとは少し違うかなと思って。
岸山
しかも、サルティを使うと、
値段がかわいくないんですよね。
──
服はかわいいけれど、
値段がかわいくない?(笑)
伊藤
でもね、ものは値段だけじゃないですよ、
いいものはちゃんと通じます。
岸山
そうですよね。人が物を買うって決めるのって、
値段だけじゃないと聞いたことがあります。
購買のきっかけになることって、
言葉に表せない何かがあるらしいです。
その「何か」が決め手になる。
私も、ほんとうに欲しいときって、
値段が関係なくなります。
もちろん、ほんとうに、という場合だけですけれど、
そういうときは「えいっ!」って。
伊藤
不思議ですよね。何が決め手なんでしょうね。
「weeksdays」を続けて、
商品の説明文を毎回書いているんですけれど、
ある作家のかたのマグカップを販売するとき、
わたしがキャプションで
「プロダクトのマグカップって結構持ってるんだけど、
作家さんがつくる、1個1個ちょっと違う、
温かみのあるものも欲しいな」
みたいなことを書いたら、
「そのことばで買うことを決意しました」と言われました。
そういう、その人の心に刺さる言葉や、
思いのようなものが、あるのかもしれないですね。
岸山
オンラインだと特に、文章って大事ですよね。
私も文章で、なるべく丁寧に、
きちんと説明しなくちゃ、って思います。
蘊蓄と思われる情報まで、
わかることはすべて伝えたいです。
(つづきます)
2022-05-31-TUE