この春夏、「weeksdays」で
3週にわけてお届けする
「ワンピースとかごバッグ」の特集。
今週は、nooy(ヌーイ)のワンピースと
warang wayan(ワランワヤン)のかごバッグです。

若山夏子さんと平山良佳さんが主宰するnooyは、
伊藤さんも、立ち上げからのファン。
6年ほど前に購入し、
うんと気に入っているというワンピースを原型に、
今回のアイテムが完成しました。
nooyにとって「定番」は、いきどまりではなく、
「続けてゆくもの」。
だからシーズンごとに、すこしずつ進化をしているんです。
今回のワンピースも、まさしくそう。
さきに決まっていたかごバッグのデザインから、
それにぴったりのかたちを模索していった経緯を、
伊藤まさこさんがふたりにインタビューしました。

若山夏子さんのプロフィール

若山夏子 わかやま・なつこ

文化服装学院メンズデザイン卒業。
雑誌『装苑』の連載を経て、
洋服や小物づくりの本を出版。
ニューヨークに留学しパタンナーとして活動。

平山良佳さんのプロフィール

平山良佳 ひらやま・よしか

大学卒業後、エスモード・ジャポンで服づくりを学んだ後、
ニューヨークに渡り、州立ファッション工科大学を卒業。

nooyについて

旧知の仲だった若山さんと平山さんだが、
同時期の渡米はまったくの偶然。
再会をきっかけに、
ともに持っていた服づくりへの情熱をひとつにして、
2001年春、スカートの制作からブランドをスタート。
2003年、拠点を東京にうつし、再始動。
2008年よりパリAtmosphereにて展示会を開始。
ファッションを楽しむ全ての女性に向け、
クラシックなラインをベースに
独自の遊び心と時代のスパイスを加え、
自由なスタイルを提案。
上質で心地よい素材使い、繊細な色使い、
メンズのパターンを取り入れたカッティングが特徴。
nooyと並行し、ユニフォームラインである
nooy kitchenを展開し、
カフェ等のユニフォームデザインを手がける。
また、洋服や小物作りの本を出版するなど、
幅広く活動している。

■nooy 公式サイト

その1
より着心地よく、よりすっきり。

伊藤
平山さん、若山さん、
今回もnooyのすてきな製品をありがとうございます。
このワンピースは、もう6年ほど前になるのかな、
わたしがnooyで購入して、
いまもずっと着ているワンピースがあるんですけれど、
それをチームのみんなも「いい!」と
言ってくれたのが、決め手のひとつになったんですよ。
若山
ありがとうございます。
春夏のものですね。
平山
そう、ちょうどいい中厚、という感じでした。
伊藤
そうですよね。そして、ちょうどその時、
「ワンピースとかごバッグ」という
何週かにわたる特集をしたい、
と考えていたところだったんです。
ワランワヤンさんでつくっていただく
かごバッグの企画が先行して進んでいたものですから、
それにマッチするワンピースを探していて。
平山
そこに、うまくはまったんですね。
よかったです!
──
わたしたち、急にこちらにお邪魔して、
かごバッグをお見せして
「これに合うものを」などと
乱暴なお願いをしてしまいました。
伊藤
すみません、急に思いついてしまって。
若山
いえいえ、事前にメールで
画像をいただいていていましたし、
伊藤さんが着てくださっていたあのワンピースを
原型にするのがいい、というアイデアも、
わたしたちが最初にいくつか提案したなかにも
ありましたね。
伊藤
それでわたしも「そっか!」と、ピンときて、
リボンがあるので、それが目立つような生地を、
ということと、柄はやめて無地にしましょうよ、
というような提案をしましたね。
若山
はい、リボンを引き立てるような無地を、と。
伊藤
かごバッグが小さめで、
持ち手が革のリボン仕様なんです。
持つとちょうど腰のあたりに目がいくので、
ワンピースのリボンとぶつからず、
引き立てあうようなものになるといいなと思って。
それでシンプルな方向に。
若山
わたしたちとしては、夏のワンピースですから、
やっぱりスポッとかぶれる、ラクなものということ、
どなたでも似合うものであること、
体型を気にせず、大人っぽく見えるものであることが
大事だって思っていました。
伊藤
このワンピースは、ずん胴にならず、
ちょうど腰のあたりでたまって、すとんと落ち、
きれいなドレープが出ますよね。
すごく楽なのに、だらしなく見えないんです。
若山
これ、平面に置くと四角っぽいんですよ。
でもドレープがきれいに出るという
生地の特性を生かしてつくっています。
袖を通すと、身体にそって独特の立体感が出るんです。
伊藤
ほんとうに、そうなんです。すごい。
若山
肩で着るので、全体がストンと落ちて
ドレープが生まれるのとともに、
すっきりして見えるパターンになってます。
首まわりが開いてる服は苦手という方も、
着た印象は開いてるという感じがしないと思います。
とても着やすいと思うんです、すっきり見えて。
伊藤
今回お願いしたモデルのかた、
ふだんは年齢よりも若く見えるんですけれど、
これを着たらすごく大人っぽくなりましたよ。
生地感が、上質で、とてもきれいでした。
若山
コットン100なんですけど、
たしかに大人っぽく見えますよね。
平山
強撚(きょうねん)といって、
強く撚(よ)っている糸を使っているので‥‥。
若山
シャリッとするんです。
平山
さらに後で加工をすることで、
ちょっとポリエステル的にも見えるというか、
コットン100に見えないサラッとした感じになっています。
──
シャリシャリしてて、
でも伸縮性もあるんですね。
平山
そうなんです、ストレッチも少し。
──
ほんの少しのストレッチ。
ウールで言うギャバみたいな
高級感のある厚みがあって。
若山
そうですね。ナチュラル過ぎず、
でも着ていても心地いい、
そんな生地なんですよ。
平山
シワにもなりにくいです。
ちなみに、浜松でつくっています。
伊藤
特に、今回はかごと合わせるから、
あんまりほっこりしすぎないようにと思っていたので、
まさしくぴったりでした。
そして、6年前のものと比べると、
あきらかに進化をしていますよね?
若山
そうなんです。より着心地よく、
よりすっきりして見えるように工夫しています。
伊藤
それっておふたりが着たり、
お客様が着ているのを見たり、
そういうなかで進化していくんですか。
若山
そうです。普段、着て仕事をしていると、
ちょっとここが突っ張るなぁとか、
ちょっとここが開きすぎるかなぁとか、
もうちょっと丈が欲しいかな、など、
気づくこともあるんです。
それで、少しずつ改良を加えていきます。
伊藤
袖のすぼまり方も絶妙ですよね。
若山
袖のところは生地がバイアスになっているので、
ちょっと肘が当たっても、
斜めに伸びて力が逃げ、つっぱらないんです。
伊藤
そうなんだ! バイアス使い。
若山
そうなんです。これが普通に縦づかいだったら、
こんなふうな快適さは出にくい。
伊藤
なるほど、これは聞かないと分からないことでした。
──
バイアス使いはここだけですか。
平山
前身ごろが、すこしだけバイアスになっています。
「すこバイ」って呼んでます。
若山
少しバイアス。
伊藤
「すこバイ」! だからすごく
身体に馴染む感じになるんですね。
もたつかず、落ち感が出るのは、
生地の特性だけじゃなく、
その使い方にもあったんですね。
そんな秘密があったんだ。
6年前のは、もうちょっと‥‥。
若山
真っ直ぐでしたね。
平山
Uネックのときですね。
──
なで肩の人も大丈夫ですか。
若山
大丈夫です。なで肩の人もいかり肩の人も。
伊藤
セットインスリーブじゃないから、
肩幅がいろいろでも大丈夫ですね。
うん、これはオンラインショッピングしやすい。
──
このワンピース、これからも進化するんでしょうか。
若山
このワンピースは、これで完成です。
もっと極めたいという気持ちもありますけれど(笑)。
伊藤
nooyは、洋服全部にそういう感じがありますね、
定番かと思いきや、年々進化している。
若山
そうですね。自然にそうなっちゃいますね。
平山
定番化してく商品こそ、
少しずつマイナーチェンジをしていますね。
パターンも修正を加えながら。
伊藤
このワンピース、
おふたりはどんなふうにして着るんでしょう。
若山
昨年までのものを何枚か持っているんですが、
真夏はふたりとも制服のように着ていますよ。
このワンピース、アクセサリーを使うのも楽しいんです。
何でも合うので、スポーティにもドレッシーにもなる。
平山
胸元も結構アクセサリーが映えます。
若山
お休みの日だったら、
ほんとかごバッグに麦わら帽をかぶって、
シンプルな外出を楽しんでもいいですよね。
伊藤
なるほど。カジュアルならスニーカーにも合いそう。
若山
合いますね。サンダルもスニーカーも。
でも仕事着にすれば、ちゃんとして見える。
そこもいいんですよ。
うんときちんとすれば、お呼ばれにもいけそう。
自由自在です。
伊藤
いいものができて、よかった!
(つづきます)
2022-04-10-SUN