REPORT

Faliero Sartiの
ポリエステル生地のこと。

今回ご紹介するsaquiの服は、
いずれも素材がポリエステル。
でもこれ、ただのポリエステルじゃないんです!
そのひみつを、
saqui主宰の岸山沙代子さんに、教えていただきました。

Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)の名前を
聞いたことがあるというかた、
きっと、いらっしゃることと思います。
高級なショールやスカーフ、パシュミナなどで有名な
イタリアのストールのブランドなんですけれど
公式ウェブサイトはこちら)、
じつは、もともとここは、
1949年にフィレンツェで創業した、
テキスタイルのメーカーなんですね。
創業者がファリエロさん、現社長はその息子さん、
ブランドデザイナーは
ファリエロさんの孫であるモニカさん。
家族ぐるみで経営をしているメーカーです。

彼らは、シルクやカシミアなどの天然素材はもちろん、
そのなかでもいちばんいいものを使うという姿勢ですし、
新素材も積極的に取り入れ、
また自社での開発をしています。
ストールのブランドとしてのファリエロ サルティも
とても人気がありますけれど、
テキスタイルメーカーとしても一流。
彼らのつくるテキスタイルは、
フランスやイタリアの、
誰もが知る“超”のつく一流ブランドが
こぞって使っているほどです。

今回の服は、見たかた、
手でふれたかた、試着したかたから、
「いったい、この素材は何?」と訊かれます。
しわになりにくく、わたしが1年ほど穿いているパンツが
いまでも新品のようであることにも驚かれます。
年中着られそうな風合いで、
高級感があるのに、扱いやすい。

これ、簡単に言えば
「ポリエステルです」となりますが、
しっかり説明をさせてくださいね。
今回の生地は
「ファリエロ サルティが日本で作らせた、
特別なポリエステルです」
と──。

ポリエステルというのは「シルク的」な素材ですが、
代用品というよりも、シルクに利便性、
つまり洗いやすさや扱いやすさを
加えたものだとも言えます。
そして、シルクにしても、ポリエステルにしても、
上等なものと、そうではないものがあります。
シルクも、そのままではあの光沢は出ず、
「セリシン」という外側のたんぱく質を
どれくらい削ぐかで、光沢の度合いが決まります。
この生地に使用するポリエステルは、
多孔質で切断面に空洞がたくさんありますから、
バイオ技術で「痩せさせる」ことで、
うつくしい光沢、いい感じの風合い、
そして深い色味を出すことができます。
この痩せさせる加減がとてもむずかしいので、
うまく痩せさせることができたポリエステルにだけ、
うまく染料が入り、
たとえば同じ黒でも「漆黒」と呼べるような
深い黒に仕上げることができるんです。

この「ポリエステル加工技術」を
高い精度で持っているのが、日本の染色工場なんですね。
だからファリエロ サルティは、
あえて、日本でこの生地をつくっているんです。

今回「weeksdays」で展開する
パンツ、プルオーバー、ワンピースはすべて
「ファリエロ サルティのポリエステル生地」
を使っています。
この素材に惚れ込んで、服をつくったとも言えます。

いまぐらいの季節(秋)や春によい素材ですが、
パンツだったら防寒インナーを、
トップスだったらタートルに重ねたり、
ワンピースはタイツを組み合わせたりすれば、
寒い季節でもへっちゃらです。
しわになりにくいという個性は、
「weeksdays」がもつテーマのひとつ
「旅」にもぴったり。
ぜひたのしく着ていただけたら、うれしいです。

(岸山沙代子)

2018-09-23-SUN