REPORT

saquiの冬のコレクション、
岸山沙代子さんが解説します。
[3]

緑に囲まれた静かなエリアに
アトリエを移転したばかりのブランド、
saqui(サキ)。
伊藤まさこさんといっしょに
ひざしのあたたかな制作室におじゃまして、
主宰でありデザイナーの
岸山沙代子さんのお話をうかがいました。
「weeksdays」に並ぶこの冬の新作、
どれも、すてきなんです!
3回にわけて、おとどけします。

[3]ビッグスリーブブラウスと、
キャロットパンツ。

かわいいでしょう? このブラウス。
透け感がありますが、袖以外には裏地がついているので、
1枚で着ても問題ありません。
逆に、袖がほのかに透けることで、
かたちのかわいらしさに、大人っぽさが出ているんです。

実は袖のふんわり感を出すために、
ちょっとだけテクニックを使っていて。
それは、袖の内側の縫い目に沿って、
紐を通して、脇から吊るようにしているんです。
それで、ちょっと「つれる」感じで、
くしゅくしゅっと引っ張られ、袖がふんわりとなる。
それで立体的な印象を、強く生んでいるんですね。

この服、リモートに便利なんですよ。
モニターに映るとき、上半身に、
ちょっとした華やかさが欲しくなりますよね。
お客様のなかにも「リモート会議のときに着られる、
ちょっとあでやかなデザインのものがほしい」と、
そんなリクエストをいただくこともあって、
そんなとき、このブラウスはぴったりだなって思います。

私も最近、オンラインで英会話を受けていて、
先生に見えてしまうので、
それなりにきちんとするんですが、
コーディネートに気をつけているつもりが、
結局Tシャツしか映っていない、ということも。
アナウンサーのみなさんも同じかなって思うんですが、
このリモート時代、上半身にポイントがある服って、
とても便利だと思っています。

デザインの原点は、私が、
こういうクラシックなフワッとした
デザインが好きだということ。
しかも、そんなに派手ではなく、
“お嬢様”ぽくもならないよう、
ポッコリ膨らむ場所を、袖に近くすることで、
大人が着られるものにしています。
袖をきゅっと肘のほうに上げると、
また印象がかわって、かわいいですよ。

ボタンはくるみボタン、後ろはファスナー。
生地の素材は、綿56%・ナイロン31%・シルク13%。
着やすく、軽くて、気持ちのいいブラウスができました。

「ウールブレンドデニム」
という、経糸にウール、緯糸にポリエステルを使った
デニム生地でつくったキャロットパンツです。
いわゆるジーンズのデニムの印象とはちがうでしょう? 
私は「きれいめデニム」と呼んでいるんです。
形状記憶をしているわけじゃないのに、しわになりにくく、
タックがなかなか消えないこともあって、
「きれいさ」が持続するんですね。
タックがぼやけてきても、
脱いだときに、ちゃんと掛けておけば大丈夫です。

身体のラインを気にせずに
穿いていただけるように考えました。
私自身が、ヒップが大きめなので、
そんな人でも快適に、動きやすいように、
それでいて、スッキリと見えますよ。

この生地は、イタリアの有名なテキスタイルメーカー、
ファリエロ・サルティ(Faliero Sarti)社のもの。
こうして使うには高価な素材だと思いますが、
この生地のおかげで、
きっちりと、メンズライクな印象を残しつつ、
レディースとしての機能性、うつくしさを保った
1本になったと思います。

(おわります)

2020-11-04-WED