REPORT

ごはんの時間。
伊藤まさこ

メニューを考えてから食材を揃える、
というスタイルから、
いまあるもので工夫するスタイルへ
みんなの暮らしがちょっと変化しているいま、
伊藤まさこさんはどうしているのかな? 
と気になりました。
きいてみたら「なるべく外に出ないように、
ストックや乾物を使ってやりくりしているんですよ」と。
冷蔵庫のなかに食材がたくさんあるときよりも、
あんまりない中からあたらしい味が生まれることがあると、
知人の料理家のかたから聞いて、
「よしっ!」と思ったのだそうです。
どうやら伊藤家の食卓は、
いまある食材を無駄にせず、
足りない食材は工夫して、
テーブルやうつわも考えて(ここはプロ!)、
ごはんの時間をたのしくする
アイデアにあふれているみたい。
そこで、伊藤さんに、いまの気持ちで、
ほんとうにつくっているものを
紹介してもらうことにしました。

[1]春キャベツの蒸し煮

家に1日いられる! 
一年のうちでも、そうなかなかなかったことが、
今では毎日のことになりました。

最初は、よし! いつもは作らない凝った料理にでも
挑戦するか、と思ったけれど、
そんな気持ちも最初の1週間でおしまい。
だんだんシンプルなものを欲するようになってくるし、
あんまり動いてないから、
お腹も空かないのです。

それでもせっかくのごはんの時間、
おざなりにはしたくない。
あまり手をかけずに、
でもおいしいものを。

今日、作ったのは春キャベツの蒸し煮。
ふかふかとやわらかい葉のキャベツは今が食べごろ。
作っている途中から、ちぎっては食べ、を繰り返しちゃう、
私の大好物です。

材料はキャベツとアンチョビとにんにく。
用意するのは、ふたができる厚手の鍋。
(厚手の鍋がなかったら、
火加減をやや弱くすれば大丈夫ですよ。)

キャベツは手でざっくりちぎります。
芯の部分もおいしいから、そのまま入れてしまいましょう。
鍋にキャベツを入れたら、
皮をむいてたたいたにんにくと、
アンチョビを入れて、水をほんの少々入れたら、
ふたをして蒸し煮にします。
焦げないように鍋の様子を見ながら、
キャベツがくたくたになるまで中火で約10分。

お皿に盛って、
黒こしょうとオリーブオイルをまわしかけたらできあがり。
アンチョビがなかったら、
塩だけでもじゅうぶんおいしい、春のごちそうです。

今夜は、この蒸し煮とサフランをきかせた
ホタイルイカの炊き込みごはん、
キャロットラペ、それから白ワイン。
きちんとテーブルセッティングして、いただきます。

明日は、私が子どものころ大好きだった、
トーストを紹介します。

2020-04-10-FRI