REPORT

デザイナーとスタイリスト、
ふたりの目から。(1)

つくり手の岸山沙代子さん、
服づくりのアイデアをだした伊藤まさこさん、
デザイナーとスタイリスト、
ふたりの目から、同じ商品を紹介します。
どんな服? どう着るのがおすすめ?
2回にわけて、ご紹介します。

ストラップドレス

肌への馴染みがよく、
シワになりずらく、上質さもあって・・・。
一目見た時、まずは生地の質感に惹かれました。
動くたびに揺れるたっぷりのギャザーは、
動作をしなやかに、
そして美しく見せてくれます。

肌の露出が多いと
気にする方もいらっしゃるかもしれませんが、
羽織ったり重ね着することによって、
また違った表情が生まれる、
「コーディネートのしがいのある服」
そう感じています。

これ以上そぎ落とすところはない、という
シンプルなデザインながら、
胸元のラインやストラップの幅など
ちゃんとsaquiっぽさがある。
岸山さんの裁量がそこかしこに見られる一枚です。
(伊藤まさこ)

リゾートで着る、大人のかわいいサンドレス、
ストラップドレスです。
ふだん、肩なんて出せないと思っているひとも、
リゾートに行くと、
かわいいワンピースが着たくなるものですよね。
そういう時に、こんなドレスがあったら!
という理想をかたちにしました。

イタリア製のストレッチの入っている生地なので、
自分のバストよりも若干小さめのサイズを選び、
素肌に直接、着ていただくこともできます。
裏はつけていませんが、しっかりした生地です。

ハイウエストで、そこからたっぷりのギャザーが、
足首のあたりまでのびています。
オールシーズン着られる生地ですから、
街では透け感のあるTシャツを重ねたり、
カーディガンを羽織ったり、
テーラードジャケットをあわせたり。
上からニットを着れば冬のマキシ丈スカート風にも。

肩ひもが細いことを心配なさるかたも
いらっしゃるかもしれませんが、
胸でちゃんと支えていますから、
肩に重さがかかる印象はありません。
また、とてもじょうぶなコードを使っていますので
華奢に見えても、切れやすいということもありません。
この肩ひもをできるだけ外側につけたことと、
胸元のライン直線的にしたことで、
スタイルがすっきりと見えるようになっています。
(岸山沙代子)

タックワンピース

夏はさらりと一枚で着られ、
かつそれだけでおしゃれに見える
ワンピースが着たい。
太陽の日差しに負けることのない
あざやかな色が着たい。
二の腕もきれいに、
そしてどこかしら品のよさも感じられて‥‥、
と言えるだけのわがままを伝えて
作ってもらった一枚です。

横から見ると分かるように、
開きすぎず、せますぎずの袖ぐりが絶妙。
襟ぐりもまたしかり。
今回は黒いヒールとコーディネートしましたが、
ゴールドなど光る素材の
華奢なサンダルも似合いそう。
少し肌寒くなってきたら、
トレンチコートを羽織ればまた違った雰囲気にも。
トレンチからちらりとのぞくピンクがまたいいんです。
(伊藤まさこ)

「とにかくきれいな色が着たい」
そんな伊藤さんのリクエストで、
はっきりとしたピンクのワンピースをつくりました。
つよい色ですから、デザインはミニマムに。
袖がなく、襟もないことで、素敵に決まる!
と、そう考えたのですが、
ふつうのノースリーブふうにならないよう、
後ろと前に大きくタックを入れています。
脇線も前に来ていて、キューっと中に入っている、
立体的なパターンです。

後ろから見るとわかりやすいのですが、
裾がほんのすこしすぼまっている
コクーンシルエット。
裾は膝下です。
大人の女性が着ることを考え、
ウエストはしぼらず、
膝も出ないという丈感で、
足が細く見える位置にしています。

二の腕だけは気になる、
というかたもいらっしゃるかもしれないけれど、
私は出したほうがいいと思っています。

生地はイタリア製のコットンシルク。
目が詰まっていて、とても着心地がよい素材です。
透け防止に、裏地を付けました。
(岸山沙代子)

ボーダーブラウス

saquiのアトリエに行くと、
盛り上がるのが布談義。
岸山さんが見つけてきた布見本を見ながら、
これかわいい、こっちもすてきと
布好き同士でワイワイするのです。
「布からデザインを考えることが多い」
と言う岸山さんが、
この薄くて華奢なボーダーでブラウスを作ったら
どんなものになるんだろう?
襟はなく、七分袖で‥‥。
大まかなデザインの枠組みだけ伝えて
やがてできあがってきたのがこの一枚。
軽やかでしなやかな素材とほどよい透け具合、
落ち着いた白が魅力的な一枚。
デニムとかごを持って‥‥、
なんてカジュアルなコーディネートも合いそうです。
(伊藤まさこ)

私が持っていたこの生地を
「伊藤さん、これ、かわいいでしょう?」
とお見せしたら、
「こんなブラウスにしたらかわいいじゃない?」
と、パパッとデザインの提案が。
最初は1枚で仕立てたのですが、
身頃が透けることを避けるため、
袖以外は前も後ろも、
生地にグレイベージュの布で裏打ちをしています。
とはいうものの、まったく透けないように
しているわけではありませんから、
ベージュ系のインナーを着けることをおすすめします。

とても繊細な布で、すずしい着心地。
改まった席にも着られる一枚です。
(岸山沙代子)

Vネックワンピース

このワンピースの色違いの
グリーンを持っていますが、
あずき色も欲しいなぁ、
きっと違った印象になるはず。
そう相談してできたのがこちら。

岸山さんは
「きちんとメイクして、
アクセサリーもつけて着て欲しい」
そう言っていましたが、
私も賛成。
ウェストのないデザインだからと気を許さずに、
おしゃれをしてやるぞという心意気で着て欲しい。
背筋を伸ばして、隠れるお腹の部分もきゅっとしめて
さっそうと歩いてくださいね。

また、ベルトをきゅっとしめると
ラインが変わって新鮮。
ハリのあるコットンのギャザーが
生き生きとした表情を生み出します。
(伊藤まさこ)

白のVネックブラウスをもとに、
「ぜったい、かわいいから!」
という伊藤さんからの提案で、
ワンピースをつくりました。
「weeksdays」の糸井さん、伊藤さん対談で
伊藤さんが着ているのが、このかたちのグリーンです。

今回は、ボルドーをえらんだ伊藤さん。
シンプルに見えますが、
ポケットをステッチにすることで表情が出て、
かわいいアクセントになっています。
袖は五分。肘がかくれるくらいの長さです。

裏地なしで1枚仕立てですが、
透け感はなく、風がとおって涼しい!
ふんわりこのまま着ていただいてもいいですし、
ベルトをしてもかわいい。
下にデニムを合わせてもいいですよ。

わたしからの提案は、ぜひアクセサリーを
合わせていただきたいなということ。
ピアスだけでも、腕輪だけでも、
ひとつ加えるとずいぶん印象がかわります。
きちんとしたメイクも、おすすめです。

生地は日本製の上質な、
ハリのあるコットンタイプライターです。
(岸山沙代子)

2018-07-23-MON