REPORT

あのひとの
かごのつかいかた。
[2]菓子研究家
長田佳子さん

ベトナムで、市場や大量の仕入れ、
庶民の買い物カゴとして使われている、
プラスチックのかご。
これを、オリジナルの素材で、
「weeksdays」がオーダーメイドしました。
ものをはこんだり、日用品を入れたり、
ストック入れにつかったり。
どんなふうにも使えるこのかごですが、
「あのひとだったら、どう使うだろう?」と、
3人のかたに取材をしてきました。
ふたりめは、菓子研究家の長田佳子さんです。

(取材・文・写真=藤井志織)

長田佳子さんのプロフィール

おさだ・かこ
foodremediesという屋号で活動する菓子研究家。
パティスリーやレストランで経験を積んだ後、
YAECAのフード部門、PLAIN BAKERYを経て独立。
心と体に優しく寄り添うお菓子は、
ひと口食べるとほっとする味わい。
著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、
『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)
などがある。
Instagram

やさしく甘いお菓子で、
心と体を喜ばせることができたら。
そんな想いを込めて活動している長田佳子さん。
作るお菓子は素朴でありながら、端正な佇まいで、
ご自身も一見、もの静かでたおやかな雰囲気ですが、
実はとっても“男前”、
お菓子を作るときの手早い動作には惚れ惚れします。

長田さんは、イベント出店ともなれば、
材料やお菓子などたくさんの荷物を一人で持って、
日本全国、どこまでも出かけて行きます。
「とにかくいつも荷物が多いので、
普段は大きなビニール素材のバッグや布バッグばかり。
天然素材のかごバッグも可愛いなあと思うけれど、
実用性を重視してしまうから、
意外と持っていないんです」

と長田さん。

「ほら」と見せてくれたのは、
唯一、持っているマルシェバッグ。
アトリエの隅で荷物入れになっているそのかごには、
大きな穴が空いていました。

「大きなサイズだと、
つい入るだけ荷物を入れてしまうんです」

という長田さんですが、
このベトナムのかごには満足しているとか。

「強度があるので、たっぷり入れても安心だし、
底が四角くて広いので、何を入れても収まりがいい。
段ボール箱に入れていたものを
そのまま詰められるんですよ」

アトリエの作業台の下に3つ並べられたかごの中には、
お菓子の材料となる小麦粉や、
仕事で使う大きなクロス類、
増える一方のレシピや資料などの紙ものが
まとめられていました。

「通気性があって湿気がこもらないから、
粉ものを入れても安心。
段ボール箱やプラスチックケースに収納していたものを
このかごに入れ替えたら、
見た目もすっきりして気持ちがいいです」

出かけるときも、活躍してくれます。

「天然素材のかごより編み目がきっちりしているから、
底から中身がもれたりする心配がありません。
また、仕上がったお菓子は
バットに入れて保管していますが、
このかごは、バットが平らなまま入るので、
納品場所への移動もラクチン」

持ち手にビニールのカバーがついているので、
たくさん入れても手が痛くならないのも
うれしいところだそう。

また、雑誌などの撮影のとき、
スタイリングも担当することが多い長田さん。
このお菓子にはあの器、というふうに、
前もって準備しておきます。
そんな撮影セットも、このかごにまとめておけば安心。

「このまま持って行けばいいだけなので、
当日、現場でアレ忘れた! なんてことが
なくなりますね(笑)。
持ち上げても箱型のままで安定感があるので、
器などの割れ物も、神経質にならずに入れられます」

いつも、ゆったりと着心地の良さそうな服を
おしゃれに着こなしている長田さん。

「リネンやコットンなどの服が多いので、
自然素材のかごを合わせると、
少しほっこりしてしまうことも。
このビニールのかごの、あっさりした感じは
全体のバランスがとりやすいですね」

ホワイトを選んだものの、
使ってみるまでは「汚れやすいかな?」
と心配していたそうですが、
実際に使ってみたら、気にならなかったとのこと。
働き者の長田さんにとって、
ベトナムのかごがよき相棒となっていることは
間違いないようです。

2019-08-27-TUE