時代を超えて長く着られる
「ニューベーシック」を提案する日本のブランド、
「TICCA(ティッカ)」が
「weeksdays」に初登場します。

 traditional /伝統的な、歴史的な、正統の
 individual /個性的、個々の、個人
 contemporary /現代的な
 comfortable /心地よい、快適な
 attractive /魅力的、かっこいい
という5つのキーワードが名前の由来。
形はベーシックでも、10年後、20年後、30年後と、
ヴィンテージになっても残っていくような、
うつくしくて長く着られる製品をつくるため、
TICCAはどんな努力をつづけてきたのでしょう?

ブランドがスタートした年に営業として加わり、
現在はデザイナーを務める上村功さんに、
ブランドのあゆみや服づくりの技術のこと、
そして今回扱う
「シャツチュニックプルオーバー」の魅力について、
伊藤まさこさんがお話を聞きました。

上村功さんのプロフィール

上村功 うえむら・いさお

TICCAデザイナー。
ブランドのディレクションや商品開発を担当。
桑沢デザイン研究所
ファッションデザイン専攻科夜間部を卒業後、
レディースブランドやメンズブランドで、
商品企画、営業、生産など
服作りに関わるさまざまな仕事を学び、
株式会社FLAPPERSに入社、現在に至る。

「好きなことが仕事になりました」
という、生粋のものづくり人。

03
4色、4通りの織り方で

伊藤
今回扱わせていただくシャツは、
TICCAの定番でしょうか。
上村
はい。
定番をベースに作ったシャツチュニックです。
今年10年目になるTICCAの定番アイテムで
「スクエアビッグシャツ」というのがあって、
それをベースに、
スリットやタックのようなディテール部分に
ヴィンテージの要素を加えたりしています。
襟が小さめなのがTICCAのシャツの特徴ですね。
伊藤
丈も長めなところがいいですね。
それにしても、
ステッチや縫い代の始末が本当にきれい。
シャツはとくに、縫製がすごく大切な気がします。
上村
そうなんですよね。
シャツの縫製は、普通のとはまったく違います。
一般的なシャツの場合、
ステッチの本数って
3cmの間に10~15針くらいなんですけど、
これは18~19針くらい。
そのぶん縫う時間はかかりますけど、
細かいから丈夫に仕上がりますし、
見た目の美しさにも現れます。
伊藤
うん。
しっかりした感じが伝わってきます。
生地はどんなものになりますか。
上村
これはヨーロッパの老舗ファクトリーで
作ってもらっている、
シャンブレー(タテ糸とヨコ糸で
異なる色の糸を使った平織り生地)生地を使っています。
そのファクトリーは、
綿100%のシャツ地が本当に素晴らしくて、
有名なメゾンからも受注されているんですよ。
TICCAからも別注で生地を依頼していて、
毎年定番アイテムと、
新しい柄もいくつかお願いをしています。
伊藤
シャンブレーにしては
つるっとして光沢感がありますね。
もしかして、糸が細いんでしょうか?
上村
おっしゃるとおりです。
一般的なシャツの番手(糸の太さを表す単位で
番手の数字が大きいほど細い糸になる)は60番ほどで、
細くても100番くらいですが、
TICCAのシャツは140番という
とても細い糸を使っています。
織ったときに目も細かくなるので、
艶が出て品よく仕上がるのは意識している点です。
女性のメイクでたとえるなら、
目立つ色を使うわけではないけれど、
化粧水で土台の肌がきれいに見える感じでしょうか。
服の場合は着た人をどこか光らせるのが、
丁寧な縫製や生地の艶から生まれる「品」だなと思って、
とても大切にしています。
伊藤
たしかに撮影でも、
モデルの方の魅力を差し引いても
すごく品よく映えてました。
上村
2色の糸を使うことで
動いたときに角度の変化でニュアンスが生まれるので、
着る方の所作もきれいに見えたらいいな、
という思いがあります。
伊藤
すごい! 
所作まで考えられているんですね。
今回取り扱わせていただく4色は、
素材は同じですか?
上村
素材はすべて綿100%ですが、
織り方がそれぞれ違います。
チャコールグレイだけ綾織り(タテ糸とヨコ糸を
何本かずつずらして交差させ、生地表面に
斜めの線〈綾目〉が現れる織り方)で、
他の3つが平織り(タテ糸とヨコ糸を
1本ずつ交互に交差させる織り方)です。
シャツ生地の色の作り方には、
でき上がった生機を染める「後染め」と、
先に糸を染めてからシャツ生地に織っていく
「先染め」とあるんですが、
TICCAのものはほとんどすべて「先染め」です。
伊藤
「先染め」は「後染め」よりも
立体感がある感じになりますね。
上村
そうですね。
とくにブルーは「刷毛目(はけめ)」模様が入った、
TICCAの特別なカラーです。
ブルーと白の2色の糸を使って織っていて、
ブルーの糸はすごく深い青ですけど、
白糸と合わさって落ち着いた色味になります。
タテ糸にブルーと白が交互に、
ヨコ糸にも白、ブルー、白と、順番に入れて織ることで
刷毛でサッと描いたような表情ができ上がります。
伊藤
あ、タテ糸は全部ブルー、
ヨコ糸はすべて白、ではないんですね。
上村
はい。それぞれ交互に色を入れてあるんです。
「刷毛目」模様って
もっとはっきりしたものはよく見かけるんですけど、
これは糸が細いぶん、限りなく無地に近い刷毛目です。
けれど、無地よりも奥行きが出て、
すごくいい色に仕上がります。
この色と細い糸、織り方からできる、
一番美しい生地だなと感じます。
伊藤
ブルーだけでなく、
他の色も糸の配列や織り方が違うんですか。
上村
はい。
それぞれの色ごとに、
ベストな織り方と糸の配列で作っています。
ブラックロンドンストライプも、
糸が細いから縦の線がパキッと出せるんですよね。
ホワイトは、糸の細さや原料のよさが出た
艶やかな色になっています。
4色とも、永遠のベーシックカラーだと思います。
伊藤
TICCAのお客さまは、
おいくつくらいの方が多いですか?
上村
ブランドとしては世代を問わず
着ていただける服を展開していますが、
今は40代~50代のお客さまが多いです。
伊藤
品よく着られるし、
グレイヘアにもかっこよく似合いそうですね。
上村
そうなんです。
親子で買ってくださっている方もいますし、
「今は自分で着てるけど、
いつか娘に譲るためにコレクションを揃えてる」
という方もいらっしゃいます。
伊藤
わぁ、素敵。
ベーシックだから長く着られますものね。
リピート率も高そうな気がします。
上村
ありがたいことに、
続けて購入される方は多いですね。
伊藤
このシャツも、
これからの季節に出番が多くなりそう。
たのしませていただきますね。
どうもありがとうございました。
上村
こちらこそ、ありがとうございました!
(おわります)
2026-09-23-WED