
ほぼ日が「マンガ部」をはじめます。
「マンガ部って、なあに?」という問いを、
じぶんたち自身にも投げかけるように、
「ほぼ日マンガ部」最初のメンバーである
「糸井」「皆川」「サノ」の3人で話をしました。
募集ページを読んでいただいている今この時間が、
誰かにとっての「新しい夢」の
幕開けになっていたらいいなと、
そしてこの募集がそんな「あなた」と
出会える場になっていったらいいなと、
部員一同、心から思っています。
ぜひ、応募の参考にしていただけたら幸いです。
- 糸井
- ああ、今、聞いてわかった!
- サノ
- それがぼくらはもう、
めちゃくちゃおもしろかったんですよね。
- 皆川
- ね。うれしそうではなかった(笑)。
- サノ
- 「すごくいい!」と言われたうれしさよりも、
「もっとわかられないものをつくりたい」
っていう気持ちのほうが大きくて、
わかられちゃったことをすごく悔しがってたんです。
あれは、「ほぼ日マンガ部」を象徴するワンシーンでした。
- 糸井
- 君たちは、本当にいいところに気がついた!
- 全員
- (笑)。
- 糸井
- いや、そうなんだよ、そうなんだ。
岡本太郎だって「太陽の塔」を全面的に認められたら、
「なあんだ、俺はそんな簡単に
わかられる程度のことを言ってたのか‥‥」
って凹んだと思うんだよ。 - それと同じで俺もその話を聞いたとき、
「もっと行こう」って思ったの。
ファイトが湧いたのよ。
「もっとわからないところまで行こう」って。 - それは、なんていうのかな、
その「わかってくれた人」と、
俺は次の、「新しい夢」を見たいわけ‥‥!
ああ、もう、年寄りの言うことじゃないね(笑)。
- サノ
- いや、でも部員としても、
やっぱりそこがいいなあって思います。
「今はまだない夢」を見ようよっていう。
- 糸井
- それこそ、
さっきサノ君が読んでくれたぼくの宣言文、
じつはこの募集のポスターをお願いするために、
横尾忠則さんにも持っていったんだよ。 - 横尾さん、寝そべってこれを読んでて、
「おもしろいですか」って言ったら、
「おもしろい、おもしろい」って言って。
「興奮して書いたんで、興奮だけなんですよね」
ってぼくが言ったら、こう、バッと起きて、
「興奮から始まるのがいいね」って言ったんだよ。
- 皆川
- へええー。
- 糸井
- 「マンガ部は絶対あったほうがいい」と言って、
横尾さんに「マンガ部」のポスターを
描いてもらえることになったんだけど。
横尾さんってさ、
それこそ岡本太郎の「太陽の塔」があった
1970年の大阪万博のときに、
「未完成のパビリオン」っていうのをつくってるんだよ。
横尾さんは当時、30代くらいだったと思うんだけど。
- サノ
- 「未完成」?
- 糸井
- 「せんい館」の建築デザインを
やってくれって頼まれたんだけど、
横尾さんは「人類の進歩と調和」っていうテーマに、
あんまり乗り気じゃなかったんだよね。
それで、建物が完成間近になったとき、
工事現場の足場をそのまま残させて、
工事の人のマネキンを置いたり、
剥製のカラスが止まらせたりして、
「万博がせっかく始まったのに、まだ始まってない」
っていうパビリオンをつくったんだよ。
- サノ
- なんとかっこいい‥‥。
- 糸井
- よく、新しい商品の名前を考えるときに、
ボトルなのに「ノットボトル」みたいな、
「こう見えて、それじゃないんだよ」
みたいな名前のつけ方がありますけど、
これはまさに、「ノット万博」みたいなことで。
「万博だけど、万博じゃない」。 - そういうことを70年代にやっていた横尾さんが、
そしてかつてはマンガも描いていた横尾さんが、
ほぼ日で「マンガ部」のポスターを描いてくれるって、
なんだか....すごくいいじゃないですか。 - マンガ部もそういう、
「ノットマンガ」みたいなわかりにくさが、
なんとなく伝わったらいいなと思うんですね。
「マンガだけど、マンガじゃない」っていう。
- サノ
- それこそマンガ部がこの、
「マンガのプロじゃない3人」から始まったのも、
いわゆる「マンガ」をつくるチームじゃなくて、
「マンガ的発想」を使って
「連載雑誌の大人気マンガ家」じゃないところにも
「マンガの夢」を広げていくチームなんだってことを
象徴してるようで、すごくいいなあと思いました。 - そういう意味でもやっぱり、
今回の募集が決して狭くない、
ものすごい「広い募集」なんだっていうところが、
この座談会で伝わったらいいなと。
- 糸井
- ‥‥ってサノ君が言うと、いまこれは、
「広くする」っていう「狭さ」になってるんですよ。
- サノ
- !?
- 糸井
- だってほんとは、
「マンガが描ける人」が来てくれたら、
ぼくら、ものすごくありがたいじゃないですか。
- サノ
- ああ、ああ、そうですね。間違いない。
うれしさ、半端ないですね。
- 糸井
- でしょう?
サノくんは今、
「マンガ部」っていう言葉を、
「マンガ的発想をするチーム」
って言葉に置き換えたんですよ。
- サノ
- はっ‥‥‥‥「定義」しちゃったんですね、今!?
- 糸井
- 定義しちゃった。
「マンガ部っていうのは、
マンガ的な発想をする部門ですよ」って
わかりやすくまとめようとして、
「マンガ的な発想」って言葉から、
「なんだってあり」にしちゃったわけ。 - さっきぼくが
「マンガ家だけの募集じゃない」って言ったのは、
「マンガを描いてる人ばっかだと困る」って話で、
「素人だけで集まりたい」って話ではないんで。 - 「マンガの可能性を広げていきたい」っていうときに、
さっき例に出した「営業の人」みたいな
人たちばっかりが集まってきたら、
それはそれで困っちゃうわけじゃないですか。
そういう狭さに、今、なりかけたんですよ。 - ぼくとしてはちょっと‥‥それはさあー?
- サノ
- やってしまいました。
- 皆川
- これはもはや「部室トーク的」な、
マンガ部の「いつもの感じ」ですね。
いま糸井さんが、サノさんの「邪魔」をしてます(笑)。
- サノ
- まさにいつもの‥‥(笑)。
ぼくが何かとすぐ定義したがって、
そこを糸井さんがぐいっと
「いや、そこはな?」って広げてくれるという。
- 糸井
- サノくんは、
「わかりやすい秤(はかり)」
に置いちゃう癖があるからね。
そこは「わかりにくいまま」にしておいたほうが、
もっとちゃんと伝わってたじゃないっていう。 - たとえばお腹が空いて
「なにか美味しいもの食べたいな」って思ったときに、
料理をつくってくれる人は、
「午後3時だったらケーキを」とか、
「午後6時だったらこのお料理を」みたいに、
3時は3時、6時は6時で考えて、
ちゃんと違うことをやってくれるんですよ。 - 「この料理をお願いします」って
こっちで勝手に狭くしちゃうより、
そこは「なにか美味しいもの食べたいな」っていう
「わかりにくい言葉」のままにしといたほうが、
つくる人に「あ、それなら」って思ってもらえたりする。
- サノ
- なるほど。
- 糸井
- それと同じで、
「マンガ部」っていう言葉のわからなさも、
そのわからなさを真ん中に置いたままで進んだほうが、
ややこしくならないんだよ。
今日のこの座談会もさ、なんか、
「よくわかんないのにしゃべれてる」じゃん。
- 全員
- (笑)。
- 糸井
- でも、心配しなくてもちゃんと伝わってるよ。
無理に「わかりやすく」しようとして、
伝えたいことが抜け落ちてっちゃうことのほうが
もったいない。
- サノ
- ものすごく腑に落ちました。
今のサノの不甲斐ないやり取り、
そのまま書きます。
- 糸井
- どうぞ、どうぞ(笑)。
(つづきます)
2026-02-13-FRI
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