ほぼ日が「マンガ部」をはじめます。
「マンガ部って、なあに?」という問いを、
じぶんたち自身にも投げかけるように、
「ほぼ日マンガ部」最初のメンバーである
「糸井」「皆川」「サノ」の3人で話をしました。
募集ページを読んでいただいている今この時間が、
誰かにとっての「新しい夢」の
幕開けになっていたらいいなと、
そしてこの募集がそんな「あなた」と
出会える場になっていったらいいなと、
部員一同、心から思っています。
ぜひ、応募の参考にしていただけたら幸いです。

>マンガ担当:山本さほ

山本さほ(やまもと・さほ)

1985年生まれ。幼少時代からの
親友「岡崎さん」との友情や
子供時代の思い出を描いた
自伝的作品『岡崎に捧ぐ』を
ウェブサイト「note」に掲載し、大きな話題になる。
現在、『無邪気な16bit』(週刊ファミ通)、
『おかあさんクエスト』(文春オンライン)を連載中。

X
instagram

前へ目次ページへ次へ

糸井
ああ、今、聞いてわかった!
サノ
それがぼくらはもう、
めちゃくちゃおもしろかったんですよね。
皆川
ね。うれしそうではなかった(笑)。
サノ
「すごくいい!」と言われたうれしさよりも、
「もっとわかられないものをつくりたい」
っていう気持ちのほうが大きくて、
わかられちゃったことをすごく悔しがってたんです。
あれは、「ほぼ日マンガ部」を象徴するワンシーンでした。
糸井
君たちは、本当にいいところに気がついた!
全員
(笑)。

糸井
いや、そうなんだよ、そうなんだ。
岡本太郎だって「太陽の塔」を全面的に認められたら、
「なあんだ、俺はそんな簡単に
わかられる程度のことを言ってたのか‥‥」
って凹んだと思うんだよ。
それと同じで俺もその話を聞いたとき、
「もっと行こう」って思ったの。
ファイトが湧いたのよ。
「もっとわからないところまで行こう」って。
それは、なんていうのかな、
その「わかってくれた人」と、
俺は次の、「新しい夢」を見たいわけ‥‥!
ああ、もう、年寄りの言うことじゃないね(笑)。
サノ
いや、でも部員としても、
やっぱりそこがいいなあって思います。
「今はまだない夢」を見ようよっていう。
糸井
それこそ、
さっきサノ君が読んでくれたぼくの宣言文、
じつはこの募集のポスターをお願いするために、
横尾忠則さんにも持っていったんだよ。
横尾さん、寝そべってこれを読んでて、
「おもしろいですか」って言ったら、
「おもしろい、おもしろい」って言って。
「興奮して書いたんで、興奮だけなんですよね」
ってぼくが言ったら、こう、バッと起きて、
「興奮から始まるのがいいね」って言ったんだよ。
皆川
へええー。
糸井
「マンガ部は絶対あったほうがいい」と言って、
横尾さんに「マンガ部」のポスターを
描いてもらえることになったんだけど。
横尾さんってさ、
それこそ岡本太郎の「太陽の塔」があった
1970年の大阪万博のときに、
「未完成のパビリオン」っていうのをつくってるんだよ。
横尾さんは当時、30代くらいだったと思うんだけど。
サノ
「未完成」?
糸井
「せんい館」の建築デザインを
やってくれって頼まれたんだけど、
横尾さんは「人類の進歩と調和」っていうテーマに、
あんまり乗り気じゃなかったんだよね。
それで、建物が完成間近になったとき、
工事現場の足場をそのまま残させて、
工事の人のマネキンを置いたり、
剥製のカラスが止まらせたりして、
「万博がせっかく始まったのに、まだ始まってない」
っていうパビリオンをつくったんだよ。

サノ
なんとかっこいい‥‥。
糸井
よく、新しい商品の名前を考えるときに、
ボトルなのに「ノットボトル」みたいな、
「こう見えて、それじゃないんだよ」
みたいな名前のつけ方がありますけど、
これはまさに、「ノット万博」みたいなことで。
「万博だけど、万博じゃない」。
そういうことを70年代にやっていた横尾さんが、
そしてかつてはマンガも描いていた横尾さんが、
ほぼ日で「マンガ部」のポスターを描いてくれるって、
なんだか....すごくいいじゃないですか。
マンガ部もそういう、
「ノットマンガ」みたいなわかりにくさが、
なんとなく伝わったらいいなと思うんですね。
「マンガだけど、マンガじゃない」っていう。
サノ
それこそマンガ部がこの、
「マンガのプロじゃない3人」から始まったのも、
いわゆる「マンガ」をつくるチームじゃなくて、
「マンガ的発想」を使って
「連載雑誌の大人気マンガ家」じゃないところにも
「マンガの夢」を広げていくチームなんだってことを
象徴してるようで、すごくいいなあと思いました。
そういう意味でもやっぱり、
今回の募集が決して狭くない、
ものすごい「広い募集」なんだっていうところが、
この座談会で伝わったらいいなと。
糸井
‥‥ってサノ君が言うと、いまこれは、
「広くする」っていう「狭さ」になってるんですよ。
サノ
!?

糸井
だってほんとは、
「マンガが描ける人」が来てくれたら、
ぼくら、ものすごくありがたいじゃないですか。
サノ
ああ、ああ、そうですね。間違いない。
うれしさ、半端ないですね。
糸井
でしょう?
サノくんは今、
「マンガ部」っていう言葉を、
「マンガ的発想をするチーム」
って言葉に置き換えたんですよ。
サノ
はっ‥‥‥‥「定義」しちゃったんですね、今!?
糸井
定義しちゃった。
「マンガ部っていうのは、
マンガ的な発想をする部門ですよ」って
わかりやすくまとめようとして、
「マンガ的な発想」って言葉から、
「なんだってあり」にしちゃったわけ。
さっきぼくが
「マンガ家だけの募集じゃない」って言ったのは、
「マンガを描いてる人ばっかだと困る」って話で、
「素人だけで集まりたい」って話ではないんで。
「マンガの可能性を広げていきたい」っていうときに、
さっき例に出した「営業の人」みたいな
人たちばっかりが集まってきたら、
それはそれで困っちゃうわけじゃないですか。
そういう狭さに、今、なりかけたんですよ。
ぼくとしてはちょっと‥‥それはさあー?
サノ
やってしまいました。

皆川
これはもはや「部室トーク的」な、
マンガ部の「いつもの感じ」ですね。
いま糸井さんが、サノさんの「邪魔」をしてます(笑)。
サノ
まさにいつもの‥‥(笑)。
ぼくが何かとすぐ定義したがって、
そこを糸井さんがぐいっと
「いや、そこはな?」って広げてくれるという。
糸井
サノくんは、
「わかりやすい秤(はかり)」
に置いちゃう癖があるからね。
そこは「わかりにくいまま」にしておいたほうが、
もっとちゃんと伝わってたじゃないっていう。
たとえばお腹が空いて
「なにか美味しいもの食べたいな」って思ったときに、
料理をつくってくれる人は、
「午後3時だったらケーキを」とか、
「午後6時だったらこのお料理を」みたいに、
3時は3時、6時は6時で考えて、
ちゃんと違うことをやってくれるんですよ。
「この料理をお願いします」って
こっちで勝手に狭くしちゃうより、
そこは「なにか美味しいもの食べたいな」っていう
「わかりにくい言葉」のままにしといたほうが、
つくる人に「あ、それなら」って思ってもらえたりする。
サノ
なるほど。
糸井
それと同じで、
「マンガ部」っていう言葉のわからなさも、
そのわからなさを真ん中に置いたままで進んだほうが、
ややこしくならないんだよ。
今日のこの座談会もさ、なんか、
「よくわかんないのにしゃべれてる」じゃん。
全員
(笑)。

糸井
でも、心配しなくてもちゃんと伝わってるよ。
無理に「わかりやすく」しようとして、
伝えたいことが抜け落ちてっちゃうことのほうが
もったいない。
サノ
ものすごく腑に落ちました。
今のサノの不甲斐ないやり取り、
そのまま書きます。
糸井
どうぞ、どうぞ(笑)。

(つづきます)

2026-02-13-FRI

前へ目次ページへ次へ
  • マンガ部に興味がある方はこちらから!