ほぼ日の20年以上蓄積された読み物のなかから、
いろんな人にいろんな切り口で
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
おすすめのコンテンツを選んでしまう企画です。
去年の年末にはじめてやってみたところ、
たいへん好評だったので、今年もいろんな人に
お願いしてつくってもらいましたよー。
12人の方がつくった「ほぼ日のプレイリスト」、
年末年始にのんびりおたのしみくださいー。
テクノロジーと
アートをつなげるコンテンツ
前田 知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学でAIを研究していながらも
マジシャンという奇妙な仕事を続けています。
天皇皇后両陛下をはじめ、
歴代の総理大臣にも披露しました。
ぼくが仕事にしているマジックは、
テクノロジー(技術)とアート(芸術)が
つながって出来ています。
でも、世の中を見まわすと、
テクノロジーはテクノロジー、
アートはアートと、
分けて語られることが多めです。
その理由は、それぞれの専門家が
心の奥底に秘密の部分をすこし残していて、
二つを接着剤のようにつなげている。
ぼくは、そう思っています。
でも、ほぼ日では、
空気感なのか、聞き手の魔法の力なのか、
みんな、心の奥の秘密を話してしまう。
そんな気がしています。
テクノロジーとアート。
どちらの仕事をする人も、
そんなプロフェッショナルをめざす人、
ただ眺めて楽しむだけの人にも、
二つをつなぐコンテンツを選びました。
ほかでは読めない、
いろんな達人の心の奥の秘密の話。
どうぞ、お楽しみいただければ幸いです。
「月に表と裏がある」という
マジックで使うトランプみたいな話や、
旧ソ連とアメリカのせめぎ合いで生まれた
「アポロ計画」の話など。
いつも見上げる月なのに
「ぼくらは月のことをあんまり知らなかった」を
気づかせてくれるコンテンツです。
誰かに話すのではなく、
心の奥でコッソリと知っておくだけでも豊かな人生になる。
そんなエピソードがたくさん紹介されています。
とにかく不思議な対談です。
「修行」とか「極意」って、マジシャンを含め、
何かの達人を目指す人の心の琴線に
ビンビンと触れるキーワードかもしれません。
この対談で、達人、ふたりの会話は
禅問答のようでもあり、
ゆっくりとける「浅田飴」のように
心と体に染みていきます。
ときどき拝読しなおしますが、
いつも新しい発見がある、
ファンタジーのような不思議な対談です。
このコンテンツに登場するのは、
魔法の世界にあるような本。
「コレクションするけど読まない」
そんな禁断な愛書家(ビブリオファイル)の
存在を知ることができ、世界の深さを実感できます。
マジックの道具コレクターにも
「買うけど演じない」なんて人がいるので、
なんとなくその気持ちもわかるんですよね。
読みはじめたら止まらない、
魅惑で不思議な愛書家、荒俣ワールドへ、
どうぞ、いってらっしゃいませ。
ずっと考えていると、
わけわからなくなってしまうことがあります。
たとえば、マジックのことや、人生のこと。
アートとテクノロジーの関係もそうです。
そんなとき、この対談を読むと
「丁寧に考える、想う」って、
どういうことかがわかる気がします。
やさしい山登りガイドというか、
洞窟探検ガイドというか。
いざというとき、大切なことを考えるとき、
命綱になるコンテンツ。
ぼくは勝手にそう呼んでいます。
乱暴にいえば、マジックは「ニセモノの魔法」です。
だから、このコンテンツに登場する
江戸時代の偽文書「椿井文書(つばいもんじょ)」の話は、
第0回からワクワクします。
テクノロジーとアートの関係も複雑ですが、
そこに「フィクション」や「秘密」が加わると、
すごい三角関係になりそうな気がします。
でも、混ざらない水と油に卵が加わることで、
ちゃんと混じってマヨネーズが生まれるように、
作り方や作り手の気持ちがわかる、推測できると、
わかりやすくなることってある。
そんなことがわかる、スゴいコンテンツです。
ぼくたちが知っているタモさんは、いつもホスト。
ゲストの話を上手に聴き出して、盛り上げる達人です。
手前味噌な話かもしれませんが、
ぼくが番組でご一緒させていただいたときも、いつもそう。
でもこのコンテンツでは、
糸井さんがホストで、タモさんが自分語りする
宝物のような歴史に残る対談です。
これは「タモさんの種明かし」なのかもしれません。
ぼくは器の小さいヤツなので、
ほんとうは秘密にしておきたかったコンテンツ。
でも、この企画に指名してもらえたうれしさに、
悔しいけれど、教えちゃいます。他の人には内緒だよ。
2021-12-28-TUE
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イラスト&タイトル:あーちん
あーちん
2002年生まれ。9歳のとき、お母さんのすすめで
「ほぼ日マンガ大賞2012」にエントリーし、
約1000通の応募のなかから見事入選。
小学生漫画家として、『くまお』の連載をスタート。
初の単行本『くまお はじまりの本』を出版。
2年半の連載の後、小学校卒業をきっかけに、
『くまお』は246回で終了。
続く、中学時代は、好きなたべものを描く
『たべびと』を連載。
終了までに144品のたべものを描きあげた。
現在、日本の北のほうで、大学生活エンジョイ中の19歳。