ほぼ日の20年以上蓄積された読み物のなかから、
いろんな人にいろんな切り口で
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
おすすめのコンテンツを選んでしまう企画です。
去年の年末にはじめてやってみたところ、
たいへん好評だったので、今年もいろんな人に
お願いしてつくってもらいましたよー。
12人の方がつくった「ほぼ日のプレイリスト」、
年末年始にのんびりおたのしみくださいー。
何が出てくるか? 自分がびっくり箱
塩野 米松(しおの よねまつ)
秋田県角館町(仙北市)に生まれる。
東京理科大学理学部応用化学科卒業。作家。
近年は故郷角館に仕事場を置き、半分はここで執筆。
芥川賞候補に4回も(もらわず)、
小説と職人の聞き書きを中心に執筆活動を行っている。
法隆寺・薬師寺の棟梁であった西岡常一氏や
その弟子の小川三夫氏、
さらにその弟子の若者たちの聞き書き
『木のいのち木のこころ』(新潮文庫)など
ベストセラーも多い。
古老たちや職人、漁師、農民などの生き方や教育法、
技の伝達や職業倫理に関心を持ち、
そうした人々の生き方を追った著書も。
『木の教え』『手業に学べ(心)(技)』
『にっぽんの漁師』(ちくま文庫)、
『失われた手仕事の思想』(中公文庫)、
『刀に生きる』(KADOKAWA)など多数。
絵本『なつのいけ』(絵・村上康生)で日本絵本大賞。
2017年には
「定価0円」の聞き書き作品『中国の職人』を
電子書籍として「ほぼ日」上で公開しました。
私の聞き書きは、話し手二人でやりとりするが、
できあがった作品は語り手の言葉だけで仕上げてある。
自分を消しても、話し手の応えのなかに、
聞き手が映し出されていると思っているからだ。
自分がどう映っているかは、相手によって大きく変わる。
正確には会う人ごとに「自分の違った姿」が
そこにでてくる。
ほとんど計算外のことだから、不思議なものだ。
ほぼ日には、聞く話、話す話が満載だ。
そんななかから「映り方」のおもしろかったものを
選んでみた。
1
ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。
余命宣告された癌爺さんの日々。
死という鏡に映った自分を長いこと連載してくださった。
木村拓哉さんの番組に出た糸井さんとの対談。
糸井さんの毎日のエッセイとは違った姿が、
年下の友人との会話に頻繁に出ていた。
4
コロッケパンを食べて
ラグビーを語ろうか。
(中竹竜二、生島淳、糸井重里)
3、4の二つは鼎談の妙味が楽しめる。
二人の対談では互いの意見や話が相手をくすぐる。
互いが触発し合う。
相手の言葉に自分がどう反応するか、
それがおもしろさをつくる。
3人になると、同意するか異見を述べて刺激する。
そこで思わぬ自分が出てくる。
その上、この二つは雑誌掲載という枠がついた。
条件は話の香辛料になる。
対談では応えを返さねばならないが、
一人が応えている間に、間ができる。
その時間に体験や意見、感想が浮かんでくる。
これが話に屈折をつくる。
こんな変わった人はいない。
まるで空想なのだから作られた地図に、
この人が丸映りするわけだ。
たくさんの人に会ってきたが、
こんなことをし続ける人は初めてだ。
多分、インタビューも対談も鼎談も、
もちろんお話を聞きたいのだが、
自分が刺激を受けて何を言い出すか、
それが楽しみでやっているのだと思う。
私はそうだ。
無意識の層や忘れていた記憶のなかから何が出てくるか、
誰でも自分はびっくり箱なのだ。
開けてくれるのはおしゃべりの相手。
それが如実に見える、5点のおすすめ。
2021-12-26-SUN
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イラスト&タイトル:あーちん
あーちん
2002年生まれ。9歳のとき、お母さんのすすめで
「ほぼ日マンガ大賞2012」にエントリーし、
約1000通の応募のなかから見事入選。
小学生漫画家として、『くまお』の連載をスタート。
初の単行本『くまお はじまりの本』を出版。
2年半の連載の後、小学校卒業をきっかけに、
『くまお』は246回で終了。
続く、中学時代は、好きなたべものを描く
『たべびと』を連載。
終了までに144品のたべものを描きあげた。
現在、日本の北のほうで、大学生活エンジョイ中の19歳。