ほぼ日の20年以上蓄積された読み物のなかから、
いろんな人にいろんな切り口で
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
おすすめのコンテンツを選んでしまう企画です。
去年の年末にはじめてやってみたところ、
たいへん好評だったので、今年もいろんな人に
お願いしてつくってもらいましたよー。
12人の方がつくった「ほぼ日のプレイリスト」、
年末年始にのんびりおたのしみくださいー。

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2.塩野米松さんのプレイリスト

何が出てくるか? 自分がびっくり箱

 >塩野米松さんプロフィール

私の聞き書きは、話し手二人でやりとりするが、
できあがった作品は語り手の言葉だけで仕上げてある。
自分を消しても、話し手の応えのなかに、
聞き手が映し出されていると思っているからだ。
自分がどう映っているかは、相手によって大きく変わる。
正確には会う人ごとに「自分の違った姿」が
そこにでてくる。
ほとんど計算外のことだから、不思議なものだ。

ほぼ日には、聞く話、話す話が満載だ。
そんななかから「映り方」のおもしろかったものを
選んでみた。


ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

余命宣告された癌爺さんの日々。
死という鏡に映った自分を長いこと連載してくださった。


木村くんは、そういうとこあるよね。

木村拓哉さんの番組に出た糸井さんとの対談。
糸井さんの毎日のエッセイとは違った姿が、
年下の友人との会話に頻繁に出ていた。


コロッケパンを食べて
ラグビーを語ろうか。
(中竹竜二、生島淳、糸井重里)

3、4の二つは鼎談の妙味が楽しめる。
二人の対談では互いの意見や話が相手をくすぐる。
互いが触発し合う。
相手の言葉に自分がどう反応するか、
それがおもしろさをつくる。
3人になると、同意するか異見を述べて刺激する。
そこで思わぬ自分が出てくる。
その上、この二つは雑誌掲載という枠がついた。
条件は話の香辛料になる。
対談では応えを返さねばならないが、
一人が応えている間に、間ができる。
その時間に体験や意見、感想が浮かんでくる。
これが話に屈折をつくる。


7歳のときから空想だけで地図を作る男

こんな変わった人はいない。
まるで空想なのだから作られた地図に、
この人が丸映りするわけだ。
たくさんの人に会ってきたが、
こんなことをし続ける人は初めてだ。

多分、インタビューも対談も鼎談も、
もちろんお話を聞きたいのだが、
自分が刺激を受けて何を言い出すか、
それが楽しみでやっているのだと思う。
私はそうだ。
無意識の層や忘れていた記憶のなかから何が出てくるか、
誰でも自分はびっくり箱なのだ。
開けてくれるのはおしゃべりの相手。
それが如実に見える、5点のおすすめ。

2021-12-26-SUN

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