さあ、冬季五輪です。今年はイタリア。
ミラノとコルティナダンペッツォ(長い!)で
2月6日から2月22日まで開催されます。
かつては膨大な量のメールを
狂気じみた長さで翌日に掲載していた
「観たぞオリンピック」シリーズですが、
東京オリンピックでその形式は終わり、
その後に開催されたオリンピックからは、
ぼくが1日に1本、原稿を書く
というスタイルでひっそり続けています。
あ、ぼくというのは、ほぼ日の永田です。
さて、今回のオリンピックでは、
さらにのんびりと、書けたら書きます、
というくらいの感じで行きたいと思います。
そしてリアルタイムの観戦実況的な発信は、
Xの「#mitazo」をご覧ください。
さあ、はじまったらはじまっちゃうよ?
開会式から閉会式まで、よろしくお願いします!

 

永田のX(旧Twitter)アカウントはこちらです。
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#08

テレビとアプリとオリンピック

 
ものごとがよくなってその状態が続くと、
当たり前になって意識しなくなってしまうので
いちどしっかり言っておきたいのだが、
テレビでオリンピックを観ることって、
めちゃめちゃ便利になってませんか。
あ、ドローンの迫力ある映像が、
とかそういうキャッチーなことじゃなくて
(あれマジですごいけど)、
もっとOS的な、インフラ的な意味で
スポーツ観戦の環境の進歩って、
なかなかすごいぞとぼくは思っているのです。
たとえば映し出された選手の名前がすっと出たり、
順位やスコアがじゃま過ぎない位置に出ていて
それがリアルタイムに入れ替わったり。
いま滑る選手の名前はもちろん、
つぎとそのつぎの順番の選手の名前も表示されてたり、
英語名だけでも日本語名だけでもなく
両方の表記がほどよい時間差で切り替わったり。
文字のほうがわかりやすい情報は文字で、
記号でぱっとわかるものは記号で、
結果はもちろん、競技中のリアルタイムな数値も
ひとつの画面のなかに的確に表示されている。
しかもそれらがみんなほどよく控えめで、
これみよがしじゃないのがいい。
また「昔は不便だったおじさん」になってぼやくけどさ、
こういうのって以前はなかったからね。
ぼくはこういう記事を書いてるから覚えてるんだけど、
画面に映った海外の選手が気になったりしたときは
ゼッケンの数字をメモして
オリンピックの公式ページに行って、
選手名鑑を検索してたからね。
そこに世界中のアスリートたちの
免許証の写真みたいなのがずらっと並んでて
それはそれでおもしろかったからね。
あと、専門的なことはわからないけど、
カメラワークや切り替えもすごく洗練されていると思う。
スローもふつうのスローと
スーパースローっぽいものがあって、
その競技の動きや流れをわかっている人が
しかるべき場所でそれを映像に収めて、
競技を分断しないタイミングでそれを
放送のなかにリアルタイムで巧みに入れ込んでいる。
不便おじさんがぼやき続けるけど、
昔は「どこ映してんだオイ!」みたいな映像
けっこうあったからね。
覚えているのはアテネオリンピックの野球の放送で、
どうやら現地のスタッフは
野球中継にあんまりノウハウがないらしくて、
終盤のひりひりする場面でも
「客席ではしゃぐ子どもたち」
「ビールを飲む美人」みたいなのがしょっちゅう映るし、
なんなら「汗を拭くおっさんのスロー」とか映って
それが終わるとすでに2球投げてましたみたいな感じで
ほんとどうにかしてほしかったからね。
あと、ベンチで大野コーチがやたら映るなと思ったら、
どうやら中畑監督代行と間違えてたからね。
ま、それくらいはいいか。しかたないか。いやよくないか。
ともかく、いまのオリンピックの映像って、
技術と親切とセンスの粋が集まった
そうとうハイレベルなものだと思う。
たぶん、生き物の進化といっしょで、
いろいろ工夫しながらとりあえずやってみて、
あっ、これはいいな、と思えたものだけが
いまに生き残っているのだろう。
だから、フィギュアスケートの左下にある
「いまこのへん滑ってます」マップなんかは、
つぎのオリンピックで生き残るかどうかわからない。
あと、オリンピック中継の便利さでいうと、
ぜひ声を大にして、
大にした声をアンプで増幅して言いたいのだが、
Yahoo!系列のスポーツサイト、
スポーツナビ(アプリもある)のなかの
オリンピック特集ページが、
いつもいつもほんとうにすごい。
今回のミラノ・コルティナオリンピックにかぎらず、
ぼくはオリンピックのたびに、
ずっとここのサイトにお世話になっている。
速報性や結果の見せ方が正確で
わかりやすいのはもちろんだが、
「その競技のことを人が知りたいと思ったとき」のことが
ものすごくよく考えられている。
そしてこのページも生物の進化方式で
大会を重ねるごとによりつかいやすくなっていると思う。
なかでもぼくが毎回すごいなと唸るのが、
「各種目のシステム」を説明している部分である。
たとえばね、スノーボードクロスを
たまたま見かけるとするでしょう?
あるいは、偶然つけたテレビで、
男子モーグルをやってるとするでしょう?
すると、だいたいのルールが知りたいじゃないですか。
かといってルールブックが読みたいわけじゃなくて、
「どうやったら勝ちですか?」
「予選は何人が通過できますか?」
「本戦は何回チャレンジできますか?」
「スコアは持ち越しですか、一発勝負ですか?」
みたいなことが知りたいわけですよこっちとしては。
しかし、その競技の基本的なルールは
いろんなところで調べられるとしても、
「オリンピックにおける競技のシステム」みたいなものは、
観る側にとってめちゃめちゃ大切で基本的なことなのに
意外にどこにも書いてなかったりする。
スポナビのオリンピック特集ページには
それがきちんとわかりやすく競技ごとに書いてある。
しかも、オリンピック公式の競技に区分にのっとりながら、
そこにぶらさがるかたちで種目に分けて書いてある。
そもそもみなさん、
「種目」と「競技」って意識してますか?
そのへん、じつはすごくややこしいんですよ。
モーグルのことを知りたくても、
オリンピックの種目一覧にはモーグルなんてなくて、
「フリースタイルスキー」という競技のなかの
「モーグル」という種目を探さなきゃいけないんですよ。
ちゃんと説明すると国際連盟ごとに分かれている
スポーツの大きな区分が「競技」で、
そこから細かく分かれた
メダルがもらえるような単位が「種目」。
「スピードスケート」が「競技」で、
「女子1500m」が「種目」。
そういう公式の区分けのルールにのっとりながら、
「日程」や「スタートリスト」など独自の親切な項目を加え、
「番組表」とか「メダリスト一覧」とか
かゆいところに孫の手を添えつつも、
わかりやすく構成しているのが
スポーツナビのオリンピック特集ページなんです。
しかもしかも、そういったことをベースにしたうえで、
進行中の競技の情報がまったくラグなく、
超サクサク更新されて、
ときどきテレビを追い越すんじゃないかと心配になる。
いや、ほんと、すごいと思う。
ああ、日頃の感謝が爆発して、
タイアップ記事みたいになってしまいましたが、
スポーツ観戦ファンとして
純度100%の感謝のみを動機につづっております。
もう、ついでに言っちゃうけど、
これを製作しているチームのみなさん、
おつかれさまです、ありがとうございます。
‥‥って、いま我に返ったけど、
今回のこのテキスト、
いままでで最高にマニアックなんじゃないだろうか。
テレビやネットやアプリのわかりやすさを褒めつつ、
俺がいちばんわかりづらいんじゃないだろうか。
静かにしろと大声で叫び続ける
チョコプラのコントみたいになってたらすみません。
スポーツファンはスポーツを観ているようで
テレビやネットやアプリを観ている。
しかし、それらが意識されないことが、
すばらしいことだと思う。
今日もそれらを介してオリンピックを観よう。

(つづきます)

2026-02-13-FRI

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