日本語のわからない海外の人が、
翻訳ツールを使って
ほぼ日を毎日読んでいるとしたら? 
世界のどこかにひとりくらいは、
そんな人もいるのかなぁと思っていたら、
なんといました! ほんとうにいたんです!

彼女の名前は、マデリン。
オーストラリアに住む16歳の女の子からでした。
自動翻訳の精度に満足できず、
「公式の英訳記事をもっと出してもらえませんか?」
というメールをほぼ日に送ってきたのです。
日本語のわからない彼女が、
どうしてそんなにほぼ日を読むようになったのか、
ちょっと気になりませんか? 
メールでのやりとりを通して、
彼女が読んでいる「HOBONICHI」のこと、
もっとくわしく教えてもらうことにしました。
それでは、マデリン、よろしくね。

>マデリンのプロフィール

Madeleine(マデリン)

オーストラリア在住。
現在は17歳になり、
高校の最終学年を迎えました。
地元のスピーチ大会では、
3度の優勝経験を持つそうです。
好きな科目は「数学」。
好きなゲームは「MOTHER」。

翻訳ツールをつかいながら、
いまも毎日ほぼ日を読んでいるそうです。

※プロフィールは随時更新予定です。

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#02 ほぼ日からの返信

 
マデリンとのメールのやりとりに、
まっさきに手を挙げてくれたのは、
ほぼ日の西本でした。

▲ほぼ日の西本。2児の母で音楽好き。得意な楽器はベースだそうです。 ▲ほぼ日の西本。2児の母で音楽好き。得意な楽器はベースだそうです。

 
西本は、ほぼ日手帳やアースボールなど、
ほぼ日が生み出したコンテンツを
海外に広めていく仕事をしています。
ほぼ日に入る前、それこそ新卒のときから、
ずっと海外とかかわる仕事をしているそうで、
英語でのやりとりもお手のもの。
マデリンのメールに
大きな刺激を受けた西本は、
彼女がほぼ日を読むようになったきっかけが、
とても気になっていたようです。
今回はそんな西本から、
マデリンに送ったメールを紹介します。
前回と同じように、
本文の上の「English / Japanese」ボタンで、
英語と日本語を切り替えることができます。
お好きなほうでおたのしみください。

Dear Madeleine,

Thank you so much for your heartfelt message. My name is Tsubasa Nishimoto, and I work here at Hobonichi.

We carefully and gratefully read your message, which traveled all the way from Australia to our office in Tokyo.

The way you described your experience―discovering Hobonichi through the “MOTHER” (Earthbound) cover, reading “Today’s Darling” every day using translation tools, and collecting quotes that moved your heart―truly touched us. It’s not only impressive but also deeply moving to know that someone your age has been connecting so personally with words written in a language not your own.

Your message left us with a beautiful question we can’t stop thinking about:

– What was it that made you want to go beyond just using the techo―and start reading the articles, especially those in Japanese?
– Was there a particular feeling, phrase, or moment that made you think, “I want to keep reading this every day”?
–  And what is it, do you think, that keeps bringing you back?

We ask because what you’re doing―reading something daily, even with a language barrier―takes effort, curiosity, and perhaps something even deeper. We’d love to know more about that spark inside you. If you feel like sharing, please tell us how it began, and how it has continued.

Also, thank you for pointing out the change in the translation of our motto. Language is such a tricky thing―especially when it’s trying to carry feelings across cultures. Personally, I feel that “Kind, strong and interesting.” is a more accurate expression. At the same time, we ourselves haven’t quite arrived at a translation that feels exactly equal to the original Japanese.

Lastly, we’re happy to know you’re enjoying Mr. Itoi’s conversation with the high school students, who are around the same age as you. The quote you mentioned―“Even if things look the same, there are no two that are truly the same.”―is one of my favorites too.

We’re very glad to be connected with you.
Please feel free to write back anytime.

マデリンさんへ

心のこもったメッセージを、
本当にありがとうございます。
私はほぼ日ではたらいている西本と申します。

オーストラリアから東京のオフィスに届いた
あなたのメッセージを、
私たちは感謝とともに大切に読ませてもらいました。

「MOTHER」(Earthbound)の
手帳カバーをきっかけにほぼ日を知り、
翻訳ツールを使って「今日のダーリン」を読み、
心に響いた言葉を集めてくれている──。
そのように語ってくれたあなたの経験に、
私たちは心から感動しました。
あなたのような若い方が、
自国語ではない言葉で書かれたものを、
これほど自分自身のものとして受け止めてくれている。
それは、ただただ素晴らしいことであると同時に、
私たちの胸を深く打ちました。

あなたのメッセージは、
私たちに美しい問いを残してくれました。
その問いが、頭から離れません。

・なぜあなたは手帳を使うだけでなく、
日本語の記事まで読みたいと思ったのでしょうか?

・「毎日読みたい」と思わせてくれた、
特別な感情や言葉、瞬間はありましたか?

・何があなたを、何度も、
この場所に連れ戻してくれるのだと思いますか?

私たちがこんなふうに尋ねるのは、
あなたがしてくれていること
──言葉の壁がありながらも、
毎日何かを読むということ──には、
努力や好奇心、そしておそらくそれ以上に
何か深いものが必要だと思ったからです。

あなたの心の中にある、
その「ひらめき」についてもっと教えてください。
もしよろしければ、それがどのようにはじまり、
どのようにつづいてきたのか、
ぜひ私たちに聞かせてください。

「やさしく、つよく、おもしろく。」の翻訳について、
感想を教えてくれてありがとうございます。
言葉というものは本当に厄介なものですよね。
とくに文化を越えて感情を運ぼうとするときは。

個人的には、
「Kind, strong and interesting.」のほうが、
より正確な表現だと感じています。
と同時に、私たち自身も、
日本語の原文と完全にしっくりくるような翻訳には、
まだたどり着けていないのです。

最後に、あなたと同世代である
高校生たちのコンテンツをたのしんでもらえて、
私たちもうれしく思います。
あなたが引用してくれた
「同じように見えるものでも、
ほんとうに同じものはふたつとない」
という言葉は、
私のお気に入りのひとつでもあります。

あなたとこうしてつながることができて、
とてもうれしいです。
いつでも気軽に、またお便りをくださいね。

 
聞きたいことはたくさんあったのですが、
まずは3つの質問を投げかけました。
このほぼ日からのメールを、
マデリンはどんなふうに受け取るのでしょうか。
返事をするもしないも彼女の自由です。
わたしたちも過度な期待はせず、
返信が来たらラッキーくらいの気持ちで、
気長に待つことにしました。
運悪く「迷惑メール」になっていませんように‥‥。
マデリンからの2通目がとどいたのは、
メール送信から10日後のことでした。
そのメールは前回よりも長く、
さらに興味深いことがたくさん書かれていました。

(つづきます)

2025-09-30-TUE

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