
日本語のわからない海外の人が、
翻訳ツールを使って
ほぼ日を毎日読んでいるとしたら?
世界のどこかにひとりくらいは、
そんな人もいるのかなぁと思っていたら、
なんといました! ほんとうにいたんです!
彼女の名前は、マデリン。
オーストラリアに住む16歳の女の子からでした。
自動翻訳の精度に満足できず、
「公式の英訳記事をもっと出してもらえませんか?」
というメールをほぼ日に送ってきたのです。
日本語のわからない彼女が、
どうしてそんなにほぼ日を読むようになったのか、
ちょっと気になりませんか?
メールでのやりとりを通して、
彼女が読んでいる「HOBONICHI」のこと、
もっとくわしく教えてもらうことにしました。
それでは、マデリン、よろしくね。
Madeleine(マデリン)
オーストラリア在住。
現在は17歳になり、
高校の最終学年を迎えました。
地元のスピーチ大会では、
3度の優勝経験を持つそうです。
好きな科目は「数学」。
好きなゲームは「MOTHER」。
翻訳ツールをつかいながら、
いまも毎日ほぼ日を読んでいるそうです。
※プロフィールは随時更新予定です。
- きょうから6回にわけて、
このコンテンツがはじまった経緯、
そのプロローグ部分をおとどけします。 - はじまりは1通のメールでした。
- 送り主は、
オーストラリアに住む16歳の女の子。
名前はMadeleine。
ここでは親しみを込めて
「マデリン」と呼ぶことにします。
彼女からのメールは、
今年の創刊記念日の翌日、
6月7日にほぼ日にとどきました。 - メールは自己紹介からはじまり、
ほぼ日手帳をきっかけにほぼ日を知ったこと。
パソコンの翻訳ツールを使いながら、
糸井重里が毎日書いている文章や
読みものコンテンツをたのしんでいること。
心にグッときた一文に出会ったときは、
それをコピーしてフォルダに保存しているそうで、
その数は100個ほど溜まっていること、などなど。 - そんな彼女のメールには、
「公式の英訳記事をもっと出してほしい」という、
ほぼ日へのお願いも含まれていました。
翻訳ツールによる英語では、
内容を正しく理解できないと感じたそうです。 - メールを読んで、おどろきました。
日本語のわからない海外の読者が、
こんなにも熱心にほぼ日を読んでいるなんて
想像していなかったからです。
それと同時に、ほぼ日のコンテンツは、
ことばの壁を越える可能性があるのかもしれない。
彼女のメールを読んでいると、
そんなふうにも思えてうれしくなりました。 - この連載のはじまりに、
マデリンから届いた最初のメールをご紹介します。
メール上の「Japanese」のボタンを押すと、
いつでも日本語訳に切り替えることができます。
原文とあわせておたのしみください。
Hello Hobonichi.
My name is Madeleine, I am a 16 year old girl from Australia, and every day I read Shigesato Itoi’s Today’s Darling (but… it is not called that now).
I first found the website when I was purchasing my Hobonichi Techo last year in August (which I found out about through Hobonichi Mother Project Earthbound Techo covers…). Although most of the articles were in Japanese, including the Today’s Darling, I used Google Translate over the entire website and as such I could read almost everything.
You know, as far as I am aware, there are no English websites that do anything like Hobonichi. I was really impressed by everything I was reading. Conversations and thoughts that were simple and succinct contained such deep insights.
I started to collect quotes. Whenever I came across a line that I felt in my heart, I copied it and saved it in a folder. I started visiting 1101.com regularly last October, but already I have around 100 quotes saved in that folder. The very first one was from the 2025 Hobonichi Techo Theme article:
“There are things that will never come to the surface if you don’t dig.”
Well, it is with that sentiment that I would like to ‘dig’ and ask if more of your articles (or even the Today’s Darling!) could have an official English translation. Recently the translation of the company motto 「やさしく、つよく、おもしろく。」changed. Previously the English translation had been “Kind, strong and interesting.” This spoke to me, and I even incorporated it into an artwork I made. However, now Google Translate translates it as “Gentle, strong and fun.” Well, which is more true?
That is just one example of the troubles of using Google Translate. Well, as your audience becomes more international, I humbly ask that you might consider translating more articles for faithful readers like myself.
Thank you for your time and consideration.
I am currently enjoying Mr Itoi’s conversation with the high schoolers.
“Even if things look the same, there are no two that are truly the same.”
Love from Madeleine.
こんにちは、ほぼ日さん。
私の名前はマデリン。
オーストラリアに住む16歳です。
糸井重里さんの「今日のダーリン」を毎日読んでいます。
(もう、いまはそう呼ばれていませんが‥‥)
はじめてこのサイトを見つけたのは、
去年の8月に「ほぼ日手帳」を買ったときでした。
(手帳のことは「MOTHERプロジェクト」の
「Earthbound」のカバーで知りました)。
そのあと「今日のダーリン」を含め、
ほとんどの記事は日本語でしたが、
ウェブサイト全体を自動翻訳にかけて、
ほぼすべてを読むことができました。
私が知る限り、
海外には「ほぼ日」のようなことをしている
英語のウェブサイトはひとつもありません。
読んだものすべてに感銘を受けました。
簡潔でわかりやすい会話や考えの中に、
とても深い洞察が含まれていました。
私は、心に残った言葉を集めはじめました。
心に響く一文に出会うたびに、
それをコピーしてフォルダに保存しています。
ほぼ日に定期的に訪れるようになったのは
去年の10月からですが、
フォルダには100ほどの言葉が保存されています。
いちばん最初の言葉は、
2025年のほぼ日手帳のテーマに関する
記事からの一文でした。
「掘らなければ、決して表面に出てこないことがある」
まさにその気持ちで、
ひとつ「掘り下げて」お願いしたいことがあります。
それは、もっと多くの記事
(あるいは「今日のダーリン」も!)を、
公式に英語に翻訳していただけないかということです。
最近、ほぼ日のモットーである
「やさしく、つよく、おもしろく。」の
英訳が変わりました。
以前は「Kind, strong and interesting.」でした。
この言葉は私に響き、
自分のアート作品に取り入れたほどです。
ところが最近の自動翻訳では、
「Gentle, strong and fun.」と訳されます。
どちらがより本来の意味に近いのでしょうか?
これは、自動翻訳を使うときの
悩みの一例にすぎません。
海外の読者が増えているいま、
私のような忠実な読者のために、
より多くの記事を翻訳することを
検討していただけないでしょうか。
お時間をいただきありがとうございました。
最近は、糸井さんと高校生たちとの会話を
たのしく読んでいます。
「同じように見えるものでも、
ほんとうに同じものはふたつとないんです」
Love from マデリン
- ね、すごいでしょう?
- とくにおどろいたのは、
「やさしく、つよく、おもしろく。」
についての部分です。 - この英訳については、
社内でも話題になったことがありました。
どんなふうに英語で訳したら、
日本語のニュアンスを伝えられるだろうと、
わたしたちも悩んでいたからです。
言語のちがいを痛感しているからこそ、
彼女の理解度の深さにおどろいてしまいました。 - このメールは糸井重里の目にとまり、
社内に向けてこんなふうにつぶやきました。 - 「この人は、なにをきっかけにこんなに
ほぼ日を読んでくれるようになったのだろうか?
返事を出して、
もうちょっとやりとりしてみてはどうだろうか?」 - マデリンのメールには、
ほぼ日手帳がきっかけと書かれていました。
でも、それにしても、です。
ほぼ日手帳がきっかけだったとして、
そのあと、どうして翻訳ツールを使ってまで、
毎日ほぼ日を訪れるようになったのか。
そこまで彼女を惹きつけるものは、
いったい何だったのでしょうか? - 海外から見ると「ほぼ日」は、
どんな場所に見えているのだろう。
彼女はいったいどんな人なのだろう。 - もっといろんな話が聞いてみたい。
そう思ったわたしたちは、
さっそく彼女に返事を送ることにしました。
(つづきます)
2025-09-29-MON