
「ほぼ日のアースボール」について、
よくこんなお声をいただきます。
「学校や塾にピッタリですね!」
たしかに教育関係者のみなさんにも
使ってもらっているのですが、
実は、その実態はよくわかっていません。
そんな折、「ほぼ日のアースボール」を
ファーストモデル(ビーチボールタイプ)のころから使って
授業をされているという方からメールをいただきました。
女子美術大学付属高等学校・中学校
地理教諭の近藤千鶴さんです。
この学校は、日本で唯一の「美術大学の付属校」で、
描く・つくるのが大好きな生徒が集うところ。
なにやら、「地理」の授業の課題として、
ほぼ日のアースボールの
コンテンツのアイデアからデザイン、
実際に使える状態にする方法までも、
生徒さんたちがガチで考えているというのです。
アースボールチームの松田は興味津々。
何やら扮装して、現地へ足を運ぶことにしたみたいです。

ゴホンッ。
わしは、ほぼ日のアースボールの「ハカセ」じゃよ。
アースボールのことなら、世界で一番くわしい。
アースボールの話をするのが大好き。
アースボールを、世界で一番愛している!
え? タイムマシンを作ってる人の
コスプレじゃないのか、って?
若いひとにはわからん話をするんじゃないよ。
ほぼ日のアースボールの使われ方を聞いてまわったり、
研究したりするのが、わしの役目なのじゃ。
‥‥という設定の「ハカセ」姿で、
女子美術大学付属高等学校・中学校にやってきました。
あらためまして、ほぼ日の松田です。
メールをくださった近藤千鶴さんに、
アースボールを使ってどんな授業をしているのか、
たっぷりお話をうかがってきます!
近藤 千鶴(こんどう・ちず)
女子美術大学付属高等学校・中学校 教諭
社会科教員として19年間、中学校社会科および高等学校地理を担当。専門は教育地理・開発教育実践。大学・大学院ではネパールをフィールドとし、卒業論文では旧市街地の変遷、修士論文ではNGOにおけるカウンターパート形成について研究した。現在は、地理的な見方・考え方をもとに国際理解教育や探究学習、ICTを活用した授業づくりに取り組むとともに、国際交流・海外研修の企画運営を通して生徒が世界とつながる学びを実践している。
- ──
- 高校3年生を対象にする「地理総合」の
授業は、どんな内容でしょうか?
- 近藤先生
- そうですね、「ほぼ日のアースボール」に
搭載できるコンテンツを企画するという、
探究的な内容になりますね。
- ──
- 今ここにある資料が、グループワークですか?
それとも個人の成果ですか?
- 近藤先生
- どちらもあって、取り組むのは
1名から3名までOKと言っています。
女子美付属ではクラスの呼び方が
梅、松、竹、桜、菊っていうんですけど、
桜組はひとりでやった子が多いんですね。
一方、竹組はグループで取り組んだ子が多くて、
ひとりでやった子はたぶん1人か2人しかいません。
- ──
- その授業は、何年間ぐらいやられてるんですか?
- 近藤先生
- えーとですね‥‥、4年間やってますね。
最初は夏休みの前の課題で、まずレポートを書くんですよ。
ここにレポートもちょっと持って来ました。
私がコンセプトシートを渡しています。
コンセプトシートを提出してもらうのが6月中。
最後は9月にプレゼンを課しています。 - コンセプトシートの提出のときに
テーマとか、ターゲットはどこにするのか、
それからどこからデータを持って来るのかをまとめます。
あとは、かざしたときのビジュアル、
それからアイコンのマーク、
実際にアイコンをタップした後の説明文、
それから実際の展開図。展開図の中のボタン。
ぜんぶ考えさせるんですよ。
とにかく具体的にしなさいと言っています。
- 近藤先生
- コンセプトシートに私がコメントを入れて、
それで1回返すんですね。
返し終わったら今度は、彼女たちは
プレゼンテーションの準備を開始します。
例年、6月に始めますが、2025年は9月にシートを配って、
プレゼンをしたのが11月なので、
足掛け2か月ちょっとぐらいで完成させる流れでした。
- ──
- 何コマの授業でやる、という点は
あんまり決まってないんですか?
- 近藤先生
- 決まってないですね。
私の授業は週に2時間なんですけど、
コンセプトシートの説明と、
グループ決め、おおまかなテーマで1時間。
それからテーマがほんとうにできるかどうかを
調べてもらうので1時間ぐらい。
あとはもう“自主制作”で、このシートを出させて。
返却するときのコメントにだいたい1時間。
あと実際にプレゼンは2.5時間ぐらいなので、
合計で5.5〜6時間ぐらいですかね。
- ──
- わりと少ないコマ数でギュッとやるんですね。
アイコンも自分たちでデザインするわけですか。
美術系ならではだと感じます。かわいい。
- 近藤先生
- 全部デザインさせますね。
ここに変更後って書いてあります。
これは私が提出されたコンセプトシートに対して
「これってどうなの?」って書いたり言ったりすると、
「こういうふうに変更します」って考えてくるんです。
この班は、世界の食べ物・飲み物で
「ハート」を使ったんですけど、
「それって伝わらなくない?」「わかるかなあ」って
話をするんですよね。
返すときに1ページずつめくって、
私が赤入れたところを示しながら。
- ──
- ちゃんと、デザインのフィードバックまで
されるんですね。
- 近藤先生
- そうですね。
「なんでハートが『甘い』の象徴になるの」
って伝えるんです。
そうしたら、アリが角砂糖を食べている
ようなマークに変更されました。
ここの班は、よくできていて。
もう展開図までかなりぎっちり書いているので、
プレゼンは楽々というか、
ほぼプレゼンの準備が終わってます。
- ──
- ‥‥うまい、ほんとに。
ちゃんとキャラ化されてますね。
- 近藤先生
- そうなんです。私はこの課題を課すときに
「ほぼ日さんに売り込めるコンテンツにしなさい」って
言ってるんです。アプリに実装できるかどうかが、
評価の大きなポイントだよって伝えています。
デザインがいいとか、
テーマが目新しくて素晴らしいっていうのは、
この課題にとっては、
実はあまり評価のポイントではないんです。 - 女子美の子たちはイマジネーションが強いので、
いろんなアイディアが出てくるんです。
でも、ほんとうに実現できるかどうかが、
すごく大事なポイントです。
というのも、彼女らが高3だから。
これから大学へ行ったり、社会人になったりしたときに、
「好き」だけだと説得力がないですよね。
なんでこの色を置いたのか、とか説得力がないと。
その前段階みたいな感じです。
- ──
- そのとおりですね。弊社で採用です(笑)。
- 近藤先生
- 2024年度は「子守歌」というテーマの子がいました。
子守歌ならアプリ上で
音が出ないとつまんないよね、
とかって話をしたんですが、
その子は実は声楽部なんですよ。
- ──
- え、じゃあ歌うんですか。
- 近藤先生
- はい、アプリには自分の声で
歌ったものを入れる、と。
プレゼンのときに音をどうするのかを聞いたら、
「そこも私が歌います」って。 - それってすごく説得力ありますよね。
彼女が歌う。歌えなかったら評価低いんですけど。
- ──
- なんて楽しい授業なんだろう。受けたい。
- 近藤先生
- 面白いですよ、とか自分で言って(笑)。
生徒たちは大変ですけどね。 - でもね、やっぱりテーマを決めるのが、
すごく大変なんです。
最初はけっこうみんな簡単に決めるんですけど、
著作権や肖像権に触れるテーマは基本的に扱えなくて、
世界のキャラクターとかはだめなんです。
世界のイケメンもだめなんですよ。
- ──
- 世界のイケメン(笑)。
やりたい子が出てくるんですね。
- 近藤先生
- やりたいんですよ。
でもイケメンの基準って人によって違うから、
それはよくないよねとか。
あと正確なデータがとれないものも評価が低くなる。
予想は立つけれども、
それを支えるデータがない場合はだめなんです。
ま、やってもいいんですけど、
客観的な視点が低いものは
この課題としての評価は低いよって伝えます。
課題をクリアできないテーマは
難しいテーマとは異なるので、
それをクリアするのが第一関門です。 - あとは、日本で見つかるデータは、
ヨーロッパとアジアと北米に偏るんですよ。
ほぼ日のアースボールは地球儀なので、
どこからでも地球を俯瞰できるんです。
それって、言い方を変えれば、
すべての大陸にデータがないと
コンテンツとしては足らない。
だからアフリカと南米とオセアニアで
すごく苦労するんです。
- ──
- そうですね、普通に探していても、
見つからないですからね。
- 近藤先生
- データもそろった、テーマも
決まった、デザインも考えた。
その次はいくつここに表示するのか?
「全部やる」って安直なんですよね。
全世界を網羅して表示するテーマって
なかなかないと思うんです。
ヨーロッパなんか特に、ひとつひとつの表示が
小さくなってしまいますし。 - じゃあ選んでいこう、となるんですが、
「選ぶときの基準はどうするの?
あなたの好きな国なの?
それじゃ、だめだよね。」
じゃあGDPの高さで選ぶとか、
人口の多さで選ぶっていう考え方もあるんですけど、
それだと人口の少ない国とか、
アフリカの国がひとつも入ってこない
っていう問題が出てくる。
そこをどういうふうに示すのか。 - こういう問題がクリアできなくて、ほんと泣くんですよ。
もうテーマ変えます、ってけっこう言うんです。
- ──
- そういうときは、
また最初からやり直しなんですか?
- 近藤先生
- いえ、生徒たちとじっくり話をします。
「ここで変えてもいいけど
絶対にどこかでつまずくよ」
って伝えるんです。
テーマを決めるところではつまずかなかったとしても、
データがとれなかったり、データがとれたとしても、
表示するものをどう選ぶかでつまずいたり。
どっかでつまずくんだから、よく考えて、
もう1回いろいろ調べてごらん、っていうふうに
渡すことがけっこうあります。
テーマ決めのところで、私が「できる」と思ったものは、
調べ方を変えれば、やれるものがほとんどだからです。 - で、ねばると見つかるんですよね。
松組だったかな、「世界のミュージアム」っていう
テーマでやった班がいます。
美大付属らしい、良いテーマですよね。
観光にもつかえますし。
でもミュージアムって、難しいんですよ。
来場客数が調べられる欧米のサイトがあるらしいんですが、
するとやっぱり、アフリカや南米の国が抜けるんですよ。
それどうするかってなったときに、見つからない大陸は、
大陸ごとで人口規模の多い国の中の来場者数で調べる
“ダブルスタンダード”でいこう、とかって考えてきます。 - 調べていくと、地域ごとに3か国ずつとか、
国連のなんとか区分で何か国ずつとか、
そういうふうに生徒たち自身が
適正な数のようなものを見つけてきます。
そこまでいったら、もう勝ったようなもんで。
コンテンツとして映し込むときのデザインをするのは、
彼女たちにとって苦ではないので。
- ──
- 美術系ならではですね。
- 近藤先生
- はい、そうですね。
あと最後はユーザビリティ。
使う人たちにとって、
どう使うのが一番使いやすいのか。
それこそボタンの位置や内容とか、
そこまで終えてプレゼンに臨む。
(くわしい企画の内容がつづきます)
「ほぼ日のアースボール」チームでは、
初代のアースボールをお使いくださっている方や、
後継モデルを含め教育に使ってくださっている方からの
ご連絡をお待ちしています。
ぜひみなさんの実例をお聞かせください。
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