
ギリシャの北西部に、コルフ島という島があります。
ギリシャの海の中でも、このコルフ島を含むイオニア海は
とても鮮やかなエメラルドグリーンをしていて、
絶景と言えるビーチが数多く存在します。
また、コルフ島はヴェネツィアを始め
フランスやイギリスに支配された歴史があることから、
西欧の影響が色濃く残った街並みや食文化が魅力で、
ギリシャ人のみならず、他のヨーロッパの国からも
人気のリゾート地です。
コルフ島には、忘れがたい思い出があります。
それは旧市街のカフェにて、まだ1歳だった娘が
ソファから前のめりに落ちて、おでこを強打したこと。
旧市街の美しいとされる石畳は、
私にとってはこの胸の痛む思い出に直結しています。
慌てて現地で診てもらえる病院を見つけ出したはいいものの、
えらく遠くて、実際に診てもらえた時には
娘は既にすんとしていたのですが、
一応何の問題もないとお墨付きをもらえて一安心したのでした。
今回は描いたのは、そんなすったもんだのあった翌日に行った
名物カフェからの風景。このカフェでは、
広々とした海にポツンと浮かぶ「ポンディコニシ(ねずみ島)」
という名の小さな島と、その手前にある修道院の上を、
いくつもの飛行機が低空飛行で通り過ぎる独特の風景を、
近距離で楽しむことができます。
飛行機好きな私は、アイスコーヒーを飲みながら
のんびりこの風景を楽しんでいましたが、
当時の写真を見返すと、その傍らにいた娘のおでこには
紫色した大きなたんこぶ、また落下防止のベルトが
ぎっちぎちにつけられていたのでした。
そんな娘も今は、落下の心配も(多分)ないですし、
苦い思い出を上書きしに、いつかまた訪れたいです。
升ノ内朝子
2024-12-12