こわくなんかない
ギリシャの名物の一つに、タコ料理があります。
食べ方としては、グリル、マリネ、
煮込み、パスタなどが人気で、
見た目からしてゴージャスで食欲をそそるのは
グリルですが、結構当たり外れもある気がするので、
最近の私のお気に入りはマリネや煮込みです。
ギリシャのタコは柔らかくてジューシーと
よくうたわれますが、その仕込み方に
ギリシャならではの伝統的なやり方があります。
それは海から捕獲したばかりのタコを、
100回程も岩に激しく打ちつけ、
その後数時間天日干しにするというもの。
そうすることでタコの身から水分が取り除かれて
食感がよくなり、また風味が高まるんだとか。
このタコが岩に打ちつけられる様子を
youtubeで見たことがありますが、
私はそれを見てからというもの、
来世はギリシャのタコにだけはなりたくないと
思うようになりました。
天日干しされている様子は、夏の間
海近くのタベルナ(大衆食堂)の傍なんかでよく見られ、
その風景はギリシャらしい風物詩となっています。
今回の絵はまだ娘が小さかった頃の思い出。
干されているタコの下を恐がりながらも興味津々に通る様子が
とても愛らしかったのを覚えています。
確かに全身を広げられたタコの姿って、
大人からしてもちょっとギョッとするものがあります。
とは言えそんな風に感じたのも最初のうちだけで、
一度ギリシャでのタコの美味しさを知ってしまってからは、
干されているタコを見ても「美味しそう…」としか
思わなくなってしまったのでした。
升ノ内朝子
2024-11-12