hobonichi

Greetings from Greece ギリシャからのおたより。Greetings from Greece ギリシャからのおたより。

Sweet nothing

イサカ島について前回書きましたが、
そもそも私が行ってみたいと思うきっかけとなったのは
「オデュッセイア」の話そのものではなく、
コンスタンティノス・カヴァフィスによる
有名な詩「Ιθάκη」(イサキ)からです。

この島がギリシャ神話の英雄、オデュッセウスが
困難や誘惑に満ちた長い長い旅路の末、
たどり着く故郷の島ということを踏まえた上で、
この詩の中でカヴァフィスは、

君がイサカに旅立つ時、
その道が長いものでありますように。
イサカ島は目的地だが、その旅路を急ぐことは全くない。
冒険や発見に満ち、知識や経験を積む
その旅路にこそに意味があるのだ。

という内容のことを書いています。

そして結びの一文はとても哲学的で、
人生について考えさせられます。

旅路の末、たとえイサカ島が
つまらないものであったとしても、
イサカ島が君を欺いたということではない。
賢くなり経験を積んだ君は、
イサカが何を意味するのかすでに知っているであろう。

この詩を知ってから、なんというか逆説的に、
イサカ島に行って、イサカ島にはきっと
何もないだろうということを確かめたくなりました。
そして実際、イサカ島が特段派手なところもなく、
のんびりと落ち着いたところであったことにある意味満足し、
またこの詩の意味や人生について思いを馳せた旅路こそが、
この旅の醍醐味だったんじゃないかと思っています。
升ノ内朝子

2021-12-25

乗組員フジタのひとことギリシャメモ

イサカ島には空港がないので、
隣のケファロニア島まで
アテネから飛行機で行き、そこから船で渡るか、
あるいはギリシャ西部の港まで高速バスか
車で行き、そこから船で渡ることができます。
アテネから飛行機や船で直接行ける島に比べると
アクセスはなかなか大変ですが、
そのぶん静かで美しい風景を
堪能できるんだろうなと思います。