新型コロナウイルス騒動が始まってから、
ギリシャで二度目の春が訪れました。
今のギリシャの状況はというと、いまだ第三波の真っ只中。
コロナの波が来るたびに
厳しいロックダウンが敷かれてきましたが、
今回が今までで一番長いものでした。
しかも去年秋の第二波ロックダウンから
ほぼ間をおかず続いており、にも関わらず
新規感染者数は減少するどころか上昇し続けました。
しかしもうこれ以上は経済的にも
国民の精神衛生的にも限界と踏んだのか
ピークの最中の3月22日に、制限措置が一部緩和されました。
今まで市外はおろか徒歩圏外への外出を禁止されていたので、
限られた場所で毎日毎週同じような日々を
ひたすら繰り返してきましたが、
それが緩和されたということで先週末、
久しぶりに少しだけ足を伸ばして、イミトス山へと出かけました。
イミトス山はアテネを囲む4つの山の一つで、
気軽にハイキングを楽しむことができます。
折しも季節は春。前回ここへ来た時は秋で、
オリーブやどんぐりが実をつけ、岩の合間から
小さなシクラメンが顔を覗かせていたりしていましたが、
今回は衣替えをしたように黄色い花々が咲き乱れていました。
野山で花を摘む伝統のあるメーデーももうじきやってきます。
その日もまたこの時のような穏やかな時間が過ごせますように、
と願いつつ、この日この山にあふれていた春の息吹は、
暗い影に浮かぶ木漏れ日のように、私を温めてくれたのでした。
升ノ内朝子
2021-04-22