紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
── 「たかのがくしゅう」
という四字熟語かと思ったら違いました(笑)。
鷹狩りの鷹ですね。


京おとこ 代々木公園でたまに
鷹匠の練習しているひとがいませんか?
── います!
京おとこ いますよね!
あすま女 革の手袋をして。
京おとこ そうそうそう。
今これを見て思い出しちゃいました。
── 猛禽類はかわいいですねえ。
きれいですよね。
鳥類というより獣に近いくらいの印象です。
目が表情に富んで、ほんとにきれい。
動物園でもじっと見ちゃいます。
あすま女 そうですよね。
── でも、猛禽類は、
一緒に住むのは大変らしいです。
あすま女 でしょうねえ(笑)。
京おとこ 戦国大名しか
飼えないと思いますよ。
あすま女 マンションじゃむりですよね‥‥。
── ということで、季節の魚は「虎魚(おこぜ)」です。
あすま女 虎魚。唐揚げ。夏だ!
京おとこ 唐揚げ以外っていうと?
あ、そうか、刺身もあるな。
あすま女 虎魚の刺身!
京おとこ 天ぷらも確かにありますね。
── これも関西の方が
豊かだそうですよ。
京おとこ うん。「おごぜ」ですね。
O・GO・ZE。
── ここに本山荻舟いわく、
つまり『飲食事典』の著者によれば
「河豚好きは夏の河豚代わりに愛好し、
 河豚嫌いは冬の河豚を
 虎魚とだまして食わされる」とあります。
京おとこ 多分、この人自体が
関西人的な発想ですよね。
河豚と虎魚へのこの執着ぶりが(笑)。
── しかも共通点として、毒があるんですね。
虎魚は「背びれに猛毒」。
あすま女 自分でさばくことは
まずありえなさそうですね。
── でもきれいな魚ですよね。
あすま女 きれい、色が。
── かっこいいですよね。
すっごいガンとばしてる。
それにしてもおいしいですよね、虎魚ね。
あすま女 おいしい! へへへへへ。
── さあ、そして次、「レタス」。
あすま女 レタスにも旬があるんですね。
一年中、食べられるから。
── ねえ。
えっ、平安時代からあったんだ。
あすま女 「チシャ」っていうんですね。
京おとこ あ、ほんとだ「カキチシャ」。
あすま女 古名はそうです。
── へえー、あったんだ。
京おとこ てっきり明治以降の
新参者かと思ってましたけど。
あすま女 ちなみに『飲食事典』も
「レタス」とは出ていなくて
「ちさ」で出ております。
一同 「ちさ」!
── そして本当に鎮静作用と催眠効果が
あるんだ、レタスって。
『ピーターラビット』に
出てきますよね。
レタス食べて眠くなっちゃうみたいな話。
京おとこ
あすま女
へえー!
── 本当にあるんですよ。
「ポリフェノールの一種
 ラクチュコピクリン」って
かわいい名前の成分に
沈静と催眠効果があるそうです。
京おとこ そしてびっくり。「チシャ」の漢字は
「乳草」なんですね。
── 切り口から白い液体が出るから
それを「乳」。
あすま女 ああ、出る出る! 確かに白いのが。
── レタスの語源も
「ラテン語で乳を意味するLac」。
── ラクって、
日本でも酪農の「らく」?
あすま女 酪農のらく?!
── もしかしてつながりが
どこかにあるのかもしれないですね。
あすま女 あるかも。平安時代は
どうやって食べていたんですかね。
茹でて?
── 『飲食事典』に出てないですか。
あすま女 ないですねえ。
── 「加熱調理をしていたが
 戦後はサラダになった」とありました。
あすま女 あんまり生野菜は
食べなかったんですね。
── 衛生的に食べなかったのかもしれないですね。
さっと煮付ける?
おひたし系かなという気が。
あすま女 ありました! 「チシャ膾(なます)」。
── 膾にしたんだ。
あすま女 ほーっ。
「平安時代には伝わり、
 栽培されていました」。
── なるほどね。
シャキシャキするから
膾、いいかもしれないですね。
京おとこ あ、でもそのまま食べたふうな
ことも書かれてありますよ。
『食物和漢本草』には
「京童の戯れに銭を苣(ちさ)の葉に包み
 噛み割るに歯痛まず、銭欠くるなり」。
銭って、お金の銭ですけど、
てことはこのまま生で食ってる?
── でも「京童の戯れ」ですよ。
あすま女 お金を苣の葉っぱに包んで噛むってさ、
南の国の人がさ‥‥。
── ビンロウ?
あすま女 そうそう、あれみたいね。
なんか噛み噛みしているっていう。
京おとこ なるほど。そっちですか。
── おもしろーい。
意外ですね、
レタスがそんなに古いとは。
ちょっとそんな目で見ると
楽しいですね。
あすま女 意外と和だったんですね。
── さあ、今度は洋でございます。
「ズッキーニ」。
おいしいですよね。
でもこれすごく最近ですよね、
馴染みになったのは。
あすま女 さいきーん。
京おとこ 90年代でしょうね。
── 花ズッキーニなんて
ごくごく最近ですよ。
あすま女 これ胡瓜の仲間だと思っていたら
南瓜?
── 南瓜の仲間でございます。
京おとこ ええ?
どう見てもこれ‥‥。
── 胡瓜っぽいでしょう。
── これ、南瓜ですよ。
でもまあウリ科ですからね。
カボチャ属であって。
あすま女 胡瓜と茄子って
やっぱり仲間ですかね。
色違うけど。
── 胡瓜はウリ科キュウリ属。
属が違いますね。
同じウリ科なのですが、
カボチャ属かキュウリ属で違うと。
これはカボチャ属である。
おいしいですよね、ズッキーニ。
ちょっと早めに花ズッキーニが出て
その後ズッキーニの旬になると。
あすま女 うん。生で食べます?
── 生では食べないですね。
あすま女 何かしら火を。
── 漬け物にもしませんね。
そういうところはやっぱり南瓜っぽいですね、
胡瓜だと思うと生で食べたくなりますが。
南瓜だと思うと、天ぷらにしたり
焼いたりする感じがよくわかります。
急に出てきた気がするんですよ。
きっと日本で栽培できるように
なったんでしょうね。
京おとこ ああ、そうでしょうね。
── 最初はきっと輸入品で
その後日本に定着したんじゃ
ないですか。
ええと、「日本には戦後導入され」と
書いてあります。
アメリカ大陸原産?
イタリアの印象がありましたが、
イタリアのものって
意外とコロンブスの時代に持ち帰ったものが多いので、
これもきっとそうなんですね。
京おとこ トマトとかね。
あすま女 あれも南米。うん。
── あ、わかりましたよ。
「細長い形状のものは19世紀後半の
 イタリアで改良されたもの」。
「もともとはメキシコの巨大南瓜が
 祖先種であると考えられている」。
あすま女 ずいぶんちがうんだ。
── 「植民活動により持ち込まれたが
 本格的に普及したのは20世紀である」と。
なるほど、イタリアで改良したから
このズッキーニというイタリア名が。
京おとこ 確かに名前が
イタリアっぽいですもんね。
あすま女 そうですね。
京おとこ サッカー見てたら
出てきそうな名前ですもんね。
── 「ズッキーニ2点目です!」みたいな?
さあ、季節のたのしみは「風鈴市」。
京おとこ 風鈴、いいですね。
── 市そのものは川崎大師だったり。
あすま女 水沢とか。
── ああ、そうですね。
奥州の水沢。
南部鉄器のいい音がするものですね。
風鈴は銀座なんかにも
風鈴売りが出たりしますよね。
あすま女 いいですよね。
耳で涼しくなろうっていう。
── 風鈴、つけます?
あすま女 やー‥‥。
── 町の暮らしでは、案外、うるさいですよね(笑)。
しまい忘れたりして。
あすま女 そうですね。
寒いのに、冬なのに
ちりんちりん(笑)。
── あと、昔の家だったら
縁側って、夜はだいたい開けっ放しにしないんで
平気だったんだけど。
あすま女 雨戸閉めちゃう。
── 今は密集する集合住宅で
風鈴ずっとしていると
たぶん、うるさいですよね。
あすま女 よその家が迷惑ね。
一晩中ちりちり言ってると。
── そうですね、怒られちゃいそうですね。
京おとこ 「風鈴殺人事件」とかあっても
おかしくないですよね。
── それにエアコンで窓閉めちゃうから
風もなにもあったもんじゃないし。
ということで、ありがとうございました。
次回は「桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)」。
7月23日にお会いしましょう。
2013-07-17-WED
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