『人間は何を食べてきたか』は
誰が観るのか?
あ、オレか。
小山薫堂さんと、軽めに食を語る。
人気テレビ番組のテロップロールには、
かなりの確率で「小山薫堂」の名前がでてきます。
『料理の鉄人』の放送作家も、この人でした。
雑誌メディアなどに、食にまつわる話も、
たくさん書いています。

この人と、『人間は何を食べてきたか』を話したら、
きっとおもしろいんじゃないかと、お呼びしました。
おもしろくて、情報もたっぷりのいい時間になりました。
かなり「重い」とも言える『人間は・・・』ですが、
とてもいい感じに軽く語り合えて、たのしかったです。

この人が「放送作家に憧れられる放送作家」である理由も、
なんだかよくわかったような気がします。

小山薫堂さんの、テレビ番組があります!
今回のお話でも話題に上った、
「グルメ・ガーディアンズ」
フジテレビ(東京ローカル)にて
4月3日(木曜日)、 24時35分〜25時35分放送です。
ぜひご覧ください!

3月6日発売の「dancyu」(プレジデント社)
4月号の小山薫堂さんのエッセイ「一食入魂」で、
『人間は何を食べてきたか』について
ご覧になった感想を紹介してくださっています。
こちらのサイトからもご覧いただけます。

http://www.president.co.jp/dan/20030400/002.html

最終回 つながる、食と食
 
  (小山薫堂さんプロフィール)
糸井 米は、今ね、「僕はこれだな」、
っていうのがあるんで
その米を小山さんに送りますね。
小山 ええ、シェフが炊きますよ。
糸井 いろんなとこで、ご飯を美味しく炊く人もいるし、
美味しいご飯をみんな仕入れているんだけど、
ああいう基礎的な何かっていうのがね、
やっぱり、基準値ですよね。
その後で、枝葉のところは変化していくんだよね。
小山さんにとって
事務所にシェフを入れるってことの
次の時代っていうのは、あるんでしょうか?
小山 個人的にっていうことであれば、
それはやっぱり、自給自足じゃないですかね。
糸井 はぁー…、やっぱりっていう感じですね。
今は僕が農業関係の仕事を
やってるせいもあるんだけど、
話をすると、みんなそういう話になるんですよね。
都会に住居を1ヶ所持ってて、
もうひとつそういう場所を持ってて。
そこで、全部とはいわなくても、
作ったものを食うような生活。
そのもう一軒にあたる場所はね、
ものすごくいっぱいあるんですよ。
捨てられた土地がいっぱいありますから、
そういった土地を使えばいいんですよね。
ほんとに流行るかもね。
今、僕、貸し菜園みたいなもの(※註1)を、
インストラクターを育てながら
作っていくっていうのを、
やろうとしてるんですけども。

※註1 貸し菜園みたいなもの
その構想については
「ダウンタウン・セブン」という番組で
darling自ら、プレゼンテーションをしたことがある。
プレゼンテーションについては
こちらでみることができます。
https://www.1101.com/today/2003-01-21.html
小山 へぇー。
糸井 「どうやって育てると美味しいのができるか」
っていうのは、やっぱり指導員が必要なんですよ。
その指導員を育てるために、
家庭菜園を切り売りして、
そこで採れた作物を、営業する
っていう循環を作っていく指導員を
作って行こうと思ってるんですよね。
それともう1コはね、
小山さんなんかの側から言うと、
ぜひ、そっちを発展させてほしいんですけど
素材の名産地に、料理人がいないんです。
小山 うんうんうん…あっ!(パンッと手を叩いて)
それはそうですね。ほんっとそうですね。
素材が良すぎるが故に、
料理人が生まれない
というか。
僕も天草出身なんですけど
天草の魚とか、ものすごく美味しいんですけど…。
結局は、そのまんまが
いちばん美味いという結論になって
料理人がやっぱ育たないんですよね。
糸井 それとやっぱりカツカツで生きてたことも
影響していると思うんです。
30年前にコレステロールが足りない時代には、
採れた魚を食うっていうときに、
醤油に金かけちゃったら、もうコストになるし、
料理をする時間のコストもかかるしっていうことで、
やっぱりカツカツで生きていた時代の名残があって。
つまり、料理番組でコーディネートを
する人はいても、産地をコーディネートする人は、
いない
んですね。
僕、生まれは上州なんですけど、
小麦の産地なんですよ。
うどんは旨いんだけど、「つゆ」がまずいんです。
みんな「旨い」って言ってるけど、
あれはうどんが強すぎるから、
話が「つゆ」にまで及ばないんですよね。
お店に置いてある七味も
そこらのスーパーで買ってきたような七味で
あることも多いですし。
あれを鉄砲伝来みたいに、
やったらいいなぁと。
海のものを扱ってた人たちには、
山国に行って料理を作らせるとか、
そういう、料理技術の流通っていうのが
どうも僕の手に余るんで、
小山さんに何か考えてもらいたいと。
小山 (笑)
糸井 もったいなくて。
「素質に甘えるな!」みたいな感じなんです。
地肩の強いやつにコントロールを教える、みたいな。
小山 それは、あるかもしれないですね。
糸井 そういうときに、料理人たちが、
さっきのフードコーディネーターの方の
恩返し的な気持ちで、
「じゃあ僕は、この地域でやってみます。」
みたいなことをやったら、いいねえ。


幸せな食のために
糸井 そういえば、さっきから話に出ている
永田先生が自分で作った野菜があるんですよ。
小山 へぇーっ(笑)。それは、すごそうですね。
ワインで言うと、ドメーヌものっていう(笑)。
糸井 これはね、ひどいんだよ。
小山 ひどいって何ですか?もう、硬派?
糸井 もう、買えっこない、
つまり、売りようもないし、すぐダメになっちゃうし、
大根も、すごく小っちゃかったりするんですけど、
これがもう、ほんっとうに旨いです!
葉ものなんかは、
生でも調味料加えたくらいの味がしますね。
それってほんっとになんでもない狭いとこで、
遊び程度に作ってるんですけど
本人が手を下してるんじゃなくて、
近所の大工さんがやってるんです。
小山 へぇー。
糸井 だから、ノウハウとして、
手練手管がいるわけじゃないんです。
永田先生に言われたことを
その通りに守ってるだけなんで。
その意味ではね、
あれをみんな日本中がやるっていうのが、
僕の夢なんですよね。
今、うちのサイトで連載している大学生が
弟子入りで行ってるんですけど(※註2)


※註2 今、うちのサイトで連載している
大学生が弟子入りで行ってんですけど。
浜松で修業中の「ゆーないと」さんのこと。
最近、食べ過ぎであるらしい。
https://www.1101.com/joshi/index.html
小山 ハハハッ、ほんとに?
糸井 そこで朝飯っていうは、
ボールいっぱいの野菜らしいんだけど、
食えちゃうらしいんですよ。
美味しいから。
小山 へぇー!
糸井 今そこで、すっごく雑に作った
カモミール・ティーを、
永田先生から貰って。
これがビニールの袋に、
ただ詰ってるだけなんですけど。
このカモミール茶の2番ダシが効くんですよね。
他にいいのを探しても
あれほどの強さはないんだよ。
小山 へぇー…。
糸井 だから、生命力なんでしょうね。
素材は、まだ研究のしようがないですもんね。
いま名産地って言われてるとこって、
たくさん作ってるところが
名産地っていうことになるんですよ。
適地で、こういう時期にこういう育て方で、
っていう意味での名産ではないんで。
だから、みんな南高梅、南高梅(※註3)といっても、
梅を作ってる人がいっぱいいるという意味が強い。

※註3 南高梅
梅の最高品種の一つ。
母樹選定調査に深くかかわった
南部高等学校の園芸科の生徒たちの
努力に敬意を表し、
南部高校を通称「南高(なんこう)」
と呼ぶことから、
この梅を「南高梅」と命名したのだとか。
小山 (笑)へぇー。
糸井 じゃ、最後に一言ずつ言いましょうか。
現在、奇形的にさえ発達した食文化と、
食うっていうことが、
生きることそのものだったものっていうのが、
ホントは繋がる。
別の道だと思ってたら
大間違いじゃないかなと思うんです。
お互いがお互いを知るっていう時代が来てるんで、
そこは繋がるといいな
っていうのが、
僕の結論ですね。
そのためにもこの「人間は何を食べてきたか」を
やっぱり、怖がんないで見たほうがいいよね。
小山さんはどうですか?
小山 僕は、さっき言ったこととおんなじなんですけど、
「生きるために食べる」ということを、
これを観て、知った上で、
「食べるために生きていく」のが幸せかな

という気がしますね。
糸井 いいね。ありがとうございました!
今日はホントに面白かったです。

(おわりです。)

ジブリ学術ライブラリー 人間は何を食べてきたか』
「腰を据えて食べることを考える。
 NHKのドキュメンタリー番組が、人々を動かした。」


※「人間は何を食べてきたか」の
ご購入を検討されている方へ
ただいまお申込の方は、3月19日より発送開始となります。
申し訳ございません。あらかじめご了承ください。

第1回 小山薫堂さん、自分の生っちょろさを知る

第2回 失敗というよりは 良い見本を見せてもらいました

第3回 食の知識と鑑賞力

第4回 人間って、ほんとはこうやって物を食べてきたんだ

第5回 今、自分たちは何を食べているか

第6回 豊かな食卓って?

第7回 感激する食、のめりこむ食

第8回 生きるために食べること

このページへの感想などは、メールの表題に
「小山 さんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2003-03-11-TUE

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