- 糸井
-
清水さんがいい気にならないモードを保っていられるのは、
いい気になっちゃいけないと思ってるからですか?
- 清水
- いえ、そんな立場にないから(笑)。
- 糸井
-
ああ‥‥。
でも、役割としてさ、
多少偉ぶってくれないと困るんですよね
っていう場面に呼ばれることはないですか。
- 清水
- あ、審査員とか?
- 糸井
- それとか、新人が集まってる場所とか。
- 清水
- ああ、そうですね、あるある。
- 糸井
- そのときは、役目としてなにかこう、しますよね、当然ね。

- 清水
-
うん、そうですね。
やっぱりちょっと偉そうなほうが、
その場合いいんですよね、おさまりが。
- 糸井
-
おさまり、ね。
で、それを経験していくと、
そういう人にどんどんなっていっちゃうじゃないですか。
けっこう大勢の方々が(笑)。
- 清水
-
そうね。
キャリア長いと、こういう面倒くさいこともあるかね
っていうことがありますよね。
糸井さんもやっぱりそう?
- 糸井
- うん。だって俺、大体どこ行ってもいま、年上になってるしさ。
- 清水
- ああ、そうかそうか。
- 糸井
-
うん、そんなんだったり、まあ、とにかく、
おだてれば機嫌がいいだろう
って思う場所に行くことはあるよね。
- 清水
- あれショックですよね。
- 糸井
-
ね。自分はいい気に多分なってないと思うんです。
いい気になってないのは、
なんないようにしようとしてるからだと思ったんですよ。
で、清水さんもなってないのは、なんでかなっていうのは‥‥
ひとつはさ、なんない理由っていうのは、
失われるものが大き過ぎるからだよね。
- 清水
- ああ、そうかもね、うん。
- 糸井
- そうなっちゃったらこれできない、あれできないが、あるよね。
- 清水
-
うん。しかも、モノマネしてる人間から
「ちょっと笑いのつかみがね」とか言われたら、
腹立つと思う(笑)。

- 糸井
- 誰でもいい気にはなれるじゃない? 28、9だって。
- 清水
- うんうんうん。
- 糸井
- それを逃げてきた人はちゃんと逃げてる。
- 清水
-
ああ、そうね。
でも、気がつかずにいい気になってたかもしれないけどね。
- 糸井
-
ああ、なるほど。
こういうとこなんだよなあ、清水ミチコのおもしろさは。
でも、いい気になってたんだ。
証拠写真はここにあります。
(いい気になってる風の清水さんの写真を出す)
- 清水
- しまったー! 自白した(笑)。
- 糸井
- あ、なってる!(笑)
- 清水
- 歯見せて笑ってる(笑)。
- 糸井
-
(笑)
でも、奪われるもののほうが多いよっていうのは、
ちょっとなんか、気づくね。
- 清水
- うん。
- 糸井
- 大損ですよね。
- 清水
-
そうね、うん。
あとやっぱりほら、私たちは、
自分を客観的に見てナンボの商売だから。
- 糸井
-
ああ、そうかそうか。
「こう見えてるよ」が仕事だからだ。
- 清水
- そうそう。それもあると思う。
- 糸井
-
そうだ、そうだ。なるほどね。
「こう見えてるよ」っていうの、
じつはプロデュースの原点だね。
- 清水
- あ、そうかね、うん。
- 糸井
-
モノマネがプロデュースの原点です。
ほら、終わった。
- 清水
- やめてよ、軽薄(笑)。

- 糸井
- 「やめてよ、軽薄」までで(笑)。
- 清水
- 「やめてよ、軽薄」まで(笑)。
- 糸井
- いやあ、おもしろかった。
- 清水
- おもしろかった。あっという間。
(おわりです)
